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【書評】 武藤清 構造力学の応用

構造設計

本書は構造力学を学ぶ実務者向け。構造力学の基礎を着実に身に付けた後、物足りなくなったら本書を開きましょう。

著者は武藤清先生。

武藤清氏は東京大学で教鞭をとり鹿島建設の副社長となって、千葉工業大学を創設した人です。武藤先生の師匠は佐野利器でこの人も有名人。

 

武藤先生の功績は?

最も有名なのは『固定法』の発明です。固定法とは、ラーメン構造を手計算で解析できる計算手法です。小さい建物であれば手計算で解くことができます。

 

本書の特徴は?

文章が明快です。構造力学の基礎が分かれば読むことができます。また例題も豊富で、実際の設計事例をモデル化→計算という流れがあります。実務者としてはうれしいですね。

面白いのは『トラスもラーメンも同じである』という言葉。これまで勉強してきた構造力学と違う!トラスは軸力でラーメンは曲げ!という声が聞こそうです。

実は、そうでもないのです。

例えば、曲げを受けるRC梁を考えます。正曲げが作用していれば下端引っ張りで上端圧縮ですね?つまり曲げ応力とは、圧縮・引張りの合成した作用で、個別に考えれば圧縮力と引張り力です。

一方トラスは上弦材に圧縮力、下弦材には引張りが作用します。その上下材を部材で繋ぐことで曲げは生じません。大きな有効せいをとれることが、トラス最大のメリットです。

本書は現在の参考書には無い視点で、構造力学の根本が書かれている本です。構造力学の本からステップアップしたい人は特におすすめです。

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