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構造設計者に必要な3つのセンスとは?

構造設計

下手でも構造屋さんをやっていれば、何か感覚のようなものが身に付いてきます。建物をパッとみて、『あ、この建物無理してる』とか『なんか気持ち悪いなぁ』といった、虫のお告げに近い何かを感じ取れるのです。

女性の第六感みたいなものでしょうか。

この感覚が『構造的センス』と言うのでしょうが、実は特別な能力でも何でも無い。一般の方にも備わっている力なのです。

 

重力は、地球で生きるためには避けられない力です。生まれた時から重力に触れ、重力場の中で僕たちは生活をしています。茶碗に箸をおくとき、何も考えずとも、箸が落ちないように絶妙なバランスで置けます。

本を積むとき、あまりにも高く積むと崩れそうだから、と積む数を減らしてみたり。

これらは重力場で生活する僕たちならではの『感覚』です。構造設計者に必要なセンスの1つが、この重力に対する『感覚』です。

 

2つ目は、水平力に対する『感覚』です。平常時、建物には重力しか作用していません。しかし、地震や暴風時には横からの力が作用します。しかし、水平力は生活の中で、必ずしも体験するわけではありません。

ですから一般の方には、水平力に対する『感覚』が身に付いていないのです。地震は日本で多くの被害を齎した災害ですから、構造設計者には必須な感覚と言えるでしょう。

 

3つ目に必要な『感覚』が、『大きさに対する認識能力』です。例えば、10m×10mの建物を想像してください、と言われた時、パッとイメージできますか?

おそらく一般の方には理解しがたいでしょう。大きいような気もするし、実際の長さをみると小さいかもしれない。

これを正しく認識できる能力こそ、設計者には必要です。1の重力に関する感覚は、生活の中で身に付いています。構造設計の仕事をすれば自然と高まるでしょう。2の水平力に関する感覚も仕事の中で身に付けることができます。

3の大きさに関する認識能力は、設計事務所にお勤めの方は意外と身につけがたい環境にあります。なぜなら、『1/100や1/200の図面』を相手に業務をしているからです。

原寸で図面が描けると一番良いのですが、そうもいきません。設計図は、必ず縮尺があります。つまり、実際の大きさを目で見る経験が無ければ、『大きさを認識する感覚』は身に付きません。

 

では、この感覚はどうやって身に付けることができるのか?

『現場を見なさい』

ということです。

僕は残念ながら現場に行く機会が作れませんでした(自分の甘え、上司の方針等)。もし、優秀な構造的センスを身に着けたいのなら、現場に行くことです。大きさの感覚を身につけましょう。

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