構造設計に関すること

えーーっと。会社員と独立した設計者を比較しないでください。

ウチの事務所は構造部の規模が小さくて、結構外注を使います。僕の場合、外注さんを使う力量がないので、ひたすら自分で設計しますが。以前、かなり大きな規模の物件を担当しました。この物件は4棟合わせて1万5千㎡くらいあったと思います。僕一人で計算・図面は無理なので、2棟は外注さんへ依頼することになりました。

外注先はブラック部長がよく使う構造設計事務所。所員は奥さん、キャドオペさんと社長のみで経営されている典型的な零細企業。まぁ、社長とは名ばかりで、社長がバリバリ構造設計しています。要は独立された方ですね。年齢は50代、丸メガネが特徴です(以降、丸メガネ)。実務歴5年の僕とは雲泥の差があります。

物件は4棟に分かれていますが、同じ工事なので、同時期に設計スタート。しかし、実施が進むにつれて僕が担当する2棟が遅れ始めました。この遅れを取り戻し、設計工期に間に合わせないといけないため、掛かりっきりになって仕上げます。結論からいうと、無事間に合いました。

しかし、他の物件を止めたことになるので(もちろんスケジュール調整はしています)、ブラック部長は不満に思ったみたいです。僕は部長に言われました。

『外注先の丸メガネさんはなぁ、今やっている物件と他の仕事もやっとるんだぞ!設計は物件の2、3つ掛け持ちは当たり前なんだよ!』

はぁ・・・。何か、すみません。

この時は、部長の怒気に押されて謝ってしまいました。が、よく考えると外注先の丸メガネと僕では状況が全く違う気がしたのです。

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ちょっと待て、外注先はこの物件で数百万儲けてるんだよな?

よく考えると、僕は月に手取りで20.5万しかもらっていないのに、外注先には数百万の費用を払っています。

僕の構造に対するモチベーションの低さを差し引いても、金銭的に受給できる金額が大きいのなら、仕事も『やらなきゃ』という気になります。一方、会社員というのは、いかに仕事をしないか?が命題ですからね。同じ給料もらうなら、楽な仕事が良いに決まっています。

逆に独立された方は、今後の生活のため。稼げるときに稼ぐため多少無理をしても沢山仕事をしたいハズです。でも、僕の場合はいくら仕事をしたって給料は同じ。労働組合が無いので、仕事量を増やしたって明確な昇給基準やボーナスへの反映もありません。

両者を比較するのは、まったくナンセンスといえます。

 

問題は、業務に対する明確な評価基準がないこと。

僕は給料が少なくても良いから、まったり暮らしたい人間です。ですから、僕が仕事を掛け持ちできなくて仕事が遅いのなら、給料を下げてくれたって構いません(もちろん設計事務所で働くのは割りに合わないが)。その代わり、大きな規模は設計させないとか、物件を掛け持ちさせない、とか考えてほしいです。

要するに、給料めっちゃ欲しい人には上げればいい。但し物件は何件も掛け持ちしてもらうね、という制度です。

ところで設計事務所は、労働組合もなく設計業務に対する明確な評価基準がないことが大きな問題です(あ、他の事務所には評価制度があるかもしれないので、あしからず)。例えば、あるEVメーカーでは、『設計した物件数』に応じてボーナスのインセンティブが決定するみたい。

あなたの事務所ではどうですか?多分、社長の一存じゃないですかね?社長の一存や会社規定(規定があるとは言っていない。)でボーナスや給料が決まると、一体『何をどこまで頑張ればいいのか』分かりません。マラソンで、ゴールが分からない道を延々と走らされていると同じ。

『物件を2,3つ掛け持ちは当たり前』というのは、評価に対する明確な基準がないため、できる奴にもできない奴にも仕事を案分しているにすぎません。一方、明確な評価基準があって物件数に応じたボーナスが反映されるなら、やりたい人はやれば良いし、給料少なくても良いならやらない人もいるでしょう。

将来独立したいから、多くの物件をこなしたい人もいるでしょうね。ともかく、同じ組織にいても働き方に対する考え方は様々。『おれたちの時代はこうだった!』とか、『おれはこうやってきた!』なんて、若手はピンときてないのです。

 

設計者は減ってるし、自殺者は増えている。

人口が減少し、働き手が少なくなる中で、自殺者は年々増えています。警察庁の統計によると、自殺者は交通事故者数の5倍!3万人超の方が自殺でなくなっています。全て仕事の悩みではありませんが、1日の大半が仕事で費やされると考えれば、

3万人×8/16(8は仕事時間、16は睡眠と仕事時間を抜いた残り)=1.5万人

は、少なくとも仕事の悩みでなくなっていると考えても良い。日本の生産性が他国より落ちているらしいですが、『働け、とにかく働け』ではなく、根本を直さないと話になりません。

設計業界にめをうつせば、就職先で設計をしたい学生が明らかに減っています。『魅力がない』と思われているんでしょ。最近の学生にとっては『給料・休み・福利厚生』が魅力なんですから。そういったニーズをくみ取って、会社側が便宜を図るべきです。

そこまでやる必要があるのかって?

必要あるんです。このままだと優秀な人材が公務員だけに流れるから。公務員はいくら増やしたって日本の国益にはなりません。実務者がもっと必要です。かつて、建築系の倍率が高かった頃のように、もっと優秀な人材が入りたいと思えるような仕組みが必要ですね。

ですから、もっと流動的に。設計事務所も明確な評価基準と、仕事量の調整を行う必要があると、僕は考えます。どうせ、給料を上げることはできないんでしょ?

だから、知恵を使えっての。ブラック設計事務所の経営者ども。

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