来年、勤めているブラック事務所を辞めます。理由の半分は、田舎へのUターン。田舎で構造設計やればいいだろ、と思われるでしょうが構造設計という超マイナー職は地方には無いんですよ・・・。ド田舎だと割とマジな話です。
もう半分の理由が、『おれ、構造設計向いてないわ』ということ。誰でも思うかもしれませんが、6年目の今でも1年目と同じ気持ちです。と、いうことで田舎に帰って公務員します。この6年間、僕は構造設計がとことん向いていないと思いました。これを見た人が安易に構造設計をやる前に『気づく』ことを願っています。
第1の理由 のんびりした性格。
僕の出生地はとてものんびりした地域です。人口100の村で、村人のほとんどは顔見知り。陸地の孤島みたいな場所なので、のんびりした性格になるのだと思います。日本は島国なので争いを好まないといいますが、離島や僕の地元みたいに人口が少ない場所はその傾向が顕著になるでしょうね。
ともかく、僕はのんびりした性格です。人を待つことに抵抗はありません。中学校へバス通学でしたが、地元に戻るバスは1時間に1本しかありません。乗り遅れたときは、1時間待っていました。逆に、急ぐことが苦手です。これは性格以上に、DNAに刻み込まれていると思います。
さて、のんびりした性格の人は構造設計に向いていません。理由はご存じのとおり、構造設計は『忙しい仕事』だからです。忙しい仕事には、忙しいことが好きな人が集まります。うちのブラック部長が典型ですが、彼は常にセカセカしています。常に小走りです。のんびりした性格の人と、忙しい性格の人は根本的に合いません。僕は6年間、よくやってこれたと思います。本当に。
第2の理由 凡ミスが多い。
凡ミスが多いのは構造設計で致命的なミスと言っても良いですね。事務仕事でちょっと文字をタイプミスした、とかは凡ミスです。しかし、構造設計でちょっと入力ミスったという凡ミスは、もうヤバい。人の安全を守る仕事ですから、緻密な人が向いています。
凡ミス例を紹介すると、『入力ミスが多い』、『足し算、引き算を間違える』、『桁間違いをした』、『計算書と図面が合わない』、こんなとこでしょうか。これらは凡ミスですが、致命的なミスです。取り返しがつかなくなる前に構造設計辞めましょう。
第3の理由 ストレス耐性が低い。
仕事のストレスは誰にでもあります。が、構造設計のストレスは半端ではありません。まず、『ミスったら捕まる仕事』です。逮捕されちゃいます。そして、地震で人が無くなります。先ほど述べたように、凡ミスが致命的なミスにつながります。
良くあるミスで、配筋が図面と計算書で違うことがあります。もしこのまま建物が竣工していたら・・・。出来上がったあと、監査で構造計算書と構造図をチェックされ、ミスを指摘されたとき、どうしようもありません。もし、建物を取り壊しして、建て直す事態になったら、費用負担で事務所はつぶれます。
後は、仕事が忙しいとか、部長が最悪とか、毎日終電とか色々あります。ストレス耐性が低い人は構造設計をやっちゃダメです。心が壊れます。
いつ辞めるの?今でしょ。
僕が務めているブラック事務所で、33才になってまだ一級建築士もとれず建築を続けている先輩がいます。年齢的に転職も厳しいので、彼はブラック事務所に残るしかありません。一級建築士を持っていないので、どこも採用してくれませんし。彼が、これから劇的なステップアップをするとは到底思えません。多分40歳になっても同じようなポジションなんでしょうね。毎日怒られてビクビク仕事して・・・。建築辞めれば良かったのに、下手にしがみついたからヤメ時すら見失っています。
多くの人にとって、仕事は手段です。何が天職なのか、わからないかもしれませんが、少なくとも忙しいのが苦手な人は設計事務所はダメですよ。
人生が破綻しますから。