ブラック事務所に入所して早6年。1年目から、もう辞めると言い続けてまだ辞めていません。我ながら、頑張っていると思います。
いや、そんな話は置いといて、6年目になって仕事は、『質の良い仕事をする』それとも『量をこなす』のどっちが大事なんだよ、ということが気になりました。僕の考えは、仕事の『量をこなす』ことが、いかに無駄か。これを説明します。
『量の仕事』と『質の仕事』について
ここで言う、『質の仕事』っていうのは日○設計さんがやるような大規模で新建築にのるような建築。『量の仕事』とは耐震診断とか、ちっちゃな物件、団地系のマンションとか。
ブラック事務所の多くは量の仕事しかできません。設計料も安く数をこなさないと纏まったお金にならない仕事です。とにかく早く終わらせることが目標なので、社員は死んだ目をしながら設計します。死んだ目をして設計した建物は当然良いデザインにはなりません。
一方、日○設計や大手設計事務所がやるような質の仕事は、各メディアに紹介されます。例えば新建築のように、おしゃれ建築雑誌にとりあげられると、『あの事務所に頼んでみようかな・・・』と思う施主さんが現れます。質の仕事は面白くて魅力ある仕事なので、社員のやる気も引き出してくれます。
日本がバブル絶頂のころ(1960代頃か?)は、うちのブラック事務所でも良い仕事が溢れていました。弊社の老害営業マンに話を聞くと昔は提出すればプロポはとれた、なんて言っています。それだけ、物件が余っていたからですね。
しかし、僕らの時代は全く状況が違います。バブルに建物は膨大に増え続け、今は停滞期です。1つの仕事に一体何人集まるんですか?ブラック事務所にはケチな仕事しか残っていません。
結局、『良い仕事』をするには『質の良い仕事』に出会うしかない。
僕はこれまで、仕事の量をこなす指導を受けてきました。ケチな耐震診断やちっぽけな小物件を1ヶ月2物件ペースで計算・図面の両方をこなした時期もあります。
で、得られたこと⇒『壊れやすくなった身体』。
マジでこうなんです。仕事の量をこなしている時期、僕は何も考えずに設計をしています。もちろん、『安全である』という最低限のことは守っています。が、言われるがままに設計しているので、自分の実になっていません。
構造設計で重要なのは、構造計画ですよね?最も意匠、構造、設備とのコラボレーションできる瞬間です。量をこなす仕事は、この構造計画がごっそり抜け落ちています。弊社の事務所では、構造計画する時間は1日。後は実施設計スタート。
結局、仕事は質が大事だよ。
仕事の量をこなしているばかりでは、社員は成長しません。それは、僕が身をもって実感しました。それよりも、質の良い仕事が社員を成長させるのだと思います。楽しい仕事は社員のやる気が充ちますし、出来上がった仕事を誇りに思えます。
貴方は仕事量をこなして満足していませんか?あなたがしがみついているブラック事務所は社員の成長なんて考えていませんよ。彼らは『成長は自己責任』というスタンスです。
そんなブラック事務所はさっさと辞めちゃいましょう。