黄色本を初めから読み進めると、少し毛色の違う法文が書いてあります。p.46です。法第19条の「敷地の衛生及び安全」に関すること。
構造にあまり関係なさそうな気がして、いままでサラッとながしていました・・・実はそれは間違い。
ここでは崖地に関する法文が書かれているからです。
1項~3項は敷地の浸水、排水に関する安全性
1項~3項は敷地の浸水、排水に関する安全性についての規定。具体的には、建築物に接する敷地は接する道の境より高くなければならない、と書いてあります。
これは、接する道(例えば道路、歩道)が浸水したとき、そのまま水が建築物の敷地内に入ることを防ぐ目的です。また、大雨で雨水が浸水したとき、排水するために敷地を高くします。
住宅の地面に注目します。すると大抵の家は歩道よりもちょっと高い位置にあると思います。もちろん、敷地レベルを高くしなくても排水できるなら、上記の限りではありません。
4項は擁壁の安全性に関する規定
4項は擁壁の安全性に関して書かれています。黄色本を読むともっと詳しい説明がありますね。崖や斜面は、地盤の状況をしっかり確認しないと危ない、ということ。例えば、粘土層などの不透水層なのか、粘土層の間に礫層があるのか、土質の把握が必要。
既存擁壁には、コンクリートブロックの増し積みや、がけ地に建築物を増築するなどが原因となった被害も起きています。
都道府県によっては「がけ条例」といって、条例で別途規定する自治体があるので、注意も必要。例えば愛知県の場合は、下記のとおりです。
建築物の敷地が、高さ2mを超えるがけに接し、又は近接する場合は、がけの上にあってはがけの下端から、がけの下にあってはがけの上端から、建築物との間にそのがけの高さの2倍以上の水平力を保たなければならない、
と書いてあります。
(愛知県がけ条例から図解を参考にしました。)
このように自治体ごとに、がけ条例は確認したほうが賢明です。
宅地擁壁をチェックしたいなら、「我が家の擁壁チェックシート」がある
では既存擁壁の安全性を検証したいとき、どうすれば良いのか。例えば自分でやりたい方は、国土交通省の「我が家の擁壁チェックシート」があるそうです。これは誰でも無料ダウンロードできます。
大まかに、重力式擁壁かL型擁壁について判定するようですね。逆L型擁壁は書いてありませんでした。
ただ、このチェックシートで検証しても安全か否か判断するのは難しい。最終的には、自治体への連絡が必要、と書かれています。
それならば最初から、「自治体に連絡すればいいのでは・・・」と思いましたが。擁壁が怖い・・・という住民の方が行うには便利なものかなと。
毎回スルーしていた第19条ですが、けっして構造に関係のない法律ではないのですね。反省です。