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絶縁耐力試験の電圧は何倍か?公称電圧と最大使用電圧の取り違えで落とす

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1.5倍っていうのは覚えたよ。

でも、何の1.5倍なの?

この記事の要点

絶縁耐力試験とは、規定の試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加えて、これに耐えるかを確かめる試験のことです。

交流の試験電圧は最大使用電圧の1.5倍です。公称電圧の1.5倍ではありません。

試験は、掛ける相手と時間のどちらかを差し替えて出してきます。

絶縁耐力試験の数値は、電圧の基準と時間の2つに分かれます。

だから確認も、掛ける相手は何かと、何分間かで分けます。

公称電圧と最大使用電圧はどう違うか

1.5倍を掛ける相手は、公称電圧ではありません。

電気設備の技術基準の解釈 第1条第一号・第二号

一 使用電圧(公称電圧) 電路を代表する線間電圧

二 最大使用電圧 次のいずれかの方法により求めた、通常の使用状態において電路に加わる最大の線間電圧

イ 使用電圧が、…規定される公称電圧に等しい電路においては、使用電圧に、1-1表に規定する係数を乗じた電圧

1-1表の係数は次のとおりです。

使用電圧の区分 係数
1,000V以下 1.15
1,000Vを超え500,000V未満 1.15/1.1
500,000V 1.05、1.1又は1.2
1,000,000V 1.1

例えば、高圧受電でよく出てくる公称電圧6,600Vなら、1,000Vを超え500,000V未満の区分に入ります。

6,600Vに1.15/1.1を掛けて、最大使用電圧は6,900Vです。

1.5倍を掛けるのは、この6,900Vのほうです。交流の試験電圧は10,350Vになります。

1.5倍を掛ける相手は最大使用電圧 公称電圧 6,600V ×1.15/1.1 最大使用電圧 6,900V ×1.5 試験電圧 10,350V 公称電圧に直接1.5倍を掛けると9,900Vになり、答えが変わる 加える時間は交流も直流も連続して10分間(解釈 第15条第一号)
係数=解釈 第1条第二号 1-1表(1,000Vを超え500,000V未満は1.15/1.1)/倍率=同 15-1表

試験電圧と加える時間

試験電圧そのものは第15条にあります。

同 第15条第一号(高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能)

一 15-1表に規定する試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

15-1表のうち、高圧の受電設備が当たる行は次の2つです。

電路の種類 試験電圧
最大使用電圧が7,000V以下の電路のうち交流の電路 最大使用電圧の1.5倍の交流電圧
同じく直流の電路 最大使用電圧の1.5倍の直流電圧又は1倍の交流電圧

時間は条文の側に書かれています。表には10分間という数字は出てきません。

絶縁耐力試験は、竣工時に行う一連の試験の1つです。

ケーブルを直流で試験するとどうなるか

電線にケーブルを使う交流の電路には、直流で行う方法もあります。

同 第15条第二号

二 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、15-1表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

言い換えると、公称電圧6,600Vの高圧ケーブルでは次のようになります。

  • 交流で行う場合:10,350Vを連続して10分間
  • 直流で行う場合:その2倍の20,700Vを連続して10分間

2倍になるのは電圧だけです。時間は直流でも10分間のままです。

まちがえやすいポイント

10分間という数字は15-1表には出てきません。表にあるのは電圧だけです。

時間は第15条の第一号と第二号、つまり条文の本体側に書かれています。表だけを見て時間を探すと見つかりません。

混同しやすい語

公称電圧と最大使用電圧:公称電圧は電路を代表する線間電圧、最大使用電圧はそれに1-1表の係数を掛けた値です。1.5倍を掛ける相手は後者です。

電路の絶縁性能と変圧器の絶縁性能:電路は第15条、変圧器は第16条で、表も試験方法も別に定められています。

二次側の接地の扱い:出題では「試験の前に変圧器や計器用変成器の二次側の接地を外していることを確認した」が誤りとされています。手順は条文の側になく、絶縁耐力試験の手順で扱います。

過去問でどう問われたか

1級で4年度、2級で4年度出ています。引っかけは大きく4つです。

  • ①掛ける相手をすり替える:最大使用電圧を公称電圧にします。2級で出ます。
  • ②倍率をすり替える:直流の「試験電圧の2倍」を、交流試験電圧の1.5倍や最大使用電圧の2.0倍にします。1級で2年度。
  • ③時間をすり替える:10分間を5分間にします。令和7年度1級。
  • ④手順を反対にする:試験の前後にやることを逆に書きます。手順の側は別の記事にまとめました。
年度・級・問 問われ方 答えになった点
令和7年度 1級 第一次 No.64 公称電圧6,600Vの高圧ケーブル、誤っているもの 所定の直流試験電圧を、連続して5分間印加した ←①(10分間)
令和5年度 1級 第一次 No.67 高圧受電設備の試験、最も不適当なもの 試験の前に、変圧器や計器用変成器の二次側の接地を外していることを確認した ←②
令和8年度 2級 第一次(前期)No.43 穴埋め、適当なもの 「連続して〔 〕加えたとき」→ 10分間
令和5年度 2級 第一次(前期)No.45 交流の試験電圧、適当なもの 最大使用電圧の1.5倍(公称電圧の1.5倍・2倍が誤りの肢)
令和3年度 2級 第一次(後期)No.45 穴埋め、適当なもの 「最大使用電圧の〔 〕の交流試験電圧」→ 1.5倍

令和5年度2級の肢には、公称電圧の1.5倍公称電圧の2倍が並んでいました。数字だけ覚えていると引っかかります。同じ4択は令和元年度2級学科試験(前期)No.50にも出ています。

1級は直流の倍率を2年度で狂わせている

直流を「試験電圧の2倍」と定めているのは第15条第二号です。ここを崩した年度が2つあります。

平成26年度 1級 学科試験No.76 選択肢4(公表正答4)/平成29年度 1級 学科試験No.76 選択肢2(公表正答2)

直流試験電圧は、交流試験電圧の1.5倍とした。(平成26年度)

直流試験電圧は、最大使用電圧の2.0倍とした。(平成29年度)

どちらも、掛ける相手か倍率のどちらかがずれています。正しくは交流試験電圧の2倍で、最大使用電圧から見れば1.5×2=3.0倍です。

この正しい形は、令和7年度1級第一次検定No.64の選択肢2に「直流試験電圧は、交流試験電圧の2倍とした」として置かれ、正しい側のまま残りました。同じ問で答えになったのは時間のほうです。

1級は倍率・倍率・時間と狙う場所を動かしています。2級は掛ける相手と時間を交互に空欄にします。

1.5倍を掛ける相手は最大使用電圧。時間は交流も直流も10分間です。

試験の相手が電路か機器かで、当たる条文が変わります。機器の側は変電所の構成機器計器用変成器にまとめました。

どこを確認すれば読み分けられるか

絶縁耐力試験の肢は、次の順に見ます。

  • 掛ける相手を読む:公称電圧と書いてあれば誤りです。最大使用電圧が正しい相手です。
  • 倍率を読む:交流は1.5倍、ケーブルの直流はその2倍です。
  • 時間を読む:10分間です。5分間や15分間と書かれていれば誤りです。
  • 電路か機器かを読む:電路は第15条、変圧器は第16条と、条文が分かれます。

理解度チェック

Q.

交流の試験電圧は、何の何倍か?

最大使用電圧の1.5倍です。公称電圧の1.5倍ではありません。

Q.

公称電圧6,600Vの電路の最大使用電圧はいくらか?

6,900Vです。1-1表の係数1.15/1.1を掛けます。

Q.

ケーブルを直流で試験するとき、電圧と時間はどうなるか?

15-1表の試験電圧の2倍の直流電圧を、連続して10分間加えます。時間は交流と同じです。

まとめ

  • 交流の試験電圧=最大使用電圧の1.5倍。公称電圧ではない。
  • 公称電圧6,600V → 最大使用電圧6,900V → 試験電圧10,350V。
  • ケーブルの直流試験=15-1表の試験電圧の2倍の直流電圧
  • 加える時間は、交流も直流も連続して10分間
  • 電路は第15条、変圧器は第16条で、表も試験方法も別。
  • 1級は直流の倍率を2年度(平成26年度・平成29年度)、時間を1年度(令和7年度)狂わせている。
  • 2級は掛ける相手(令和元年度前期・令和5年度前期)と倍率・時間の穴埋め(令和3年度後期・令和8年度前期)。

参考資料

  • 経済産業省「電気設備の技術基準の解釈」第1条第一号・第二号イ・1-1表/第15条第一号・第二号・15-1表
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成26年度・平成29年度・令和5年度・令和7年度
  • 同「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」令和元年度(前期)・令和3年度(後期)・令和5年度(前期)・令和8年度(前期)
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