電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 施工管理法
  3. > 絶縁耐力試験の手順

絶縁耐力試験とは?手順の4点と試験電圧を解釈の条文で確かめる

T

T

手順の問題って、4つの肢がほとんど同じ文だよね。

どこを見れば違いが分かるの?

この記事の要点

絶縁耐力試験とは、規定の試験電圧を電路と大地との間に加えて、これに耐えるかを確かめる試験のことです。

手順そのものを扱う年度が2つあります。

誤りにされた論点は二次側の接地の1つだけです。

高圧受電設備の絶縁耐力試験には、決まった手順があります。

電圧の数値とは別に、作業の順序と確認事項が定まっています。

試験電圧と加える時間は解釈が定めている

手順そのものは条文に置かれていませんが、どの電圧を何分加えるかは解釈が決めています。

電気設備の技術基準の解釈 第15条【高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能】

高圧又は特別高圧の電路は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。

一 15-1表に規定する試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

二 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、15-1表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

15-1表(最大使用電圧が7,000V以下の電路) 交流の電路 最大使用電圧の1.5倍の交流電圧

直流は「試験電圧の2倍」であって最大使用電圧の2倍ではない 最大使用電圧 6,600V の電路など ×1.5 交流試験電圧 15-1表の値 ×2 直流試験電圧 第15条第二号 最大使用電圧から見れば 1.5 × 2 = 3.0倍 「交流試験電圧の1.5倍」も「最大使用電圧の2.0倍」も誤り 加える時間は、交流も直流も連続して10分間
倍率のかかり方をつかむための模式図です。実際の試験装置や結線を表したものではありません。正しいのは、直流が交流試験電圧の2倍だという点です。

交流なら最大使用電圧の1.5倍、直流ならその2倍です。時間はどちらも連続して10分間で変わりません。

平成26年度 1級 学科 No.76 選択肢4/平成29年度 1級 学科 No.76 選択肢2(いずれも正答肢)

直流試験電圧は、交流試験電圧の1.5倍とした。(平成26年度)

直流試験電圧は、最大使用電圧の2.0倍とした。(平成29年度)

条文は「試験電圧の2倍」です。試験電圧が最大使用電圧の1.5倍なので、直流は最大使用電圧の3.0倍になります。1.5倍でも2.0倍でもありません

この正しい形は、令和7年度に肢として置かれました。

令和7年度 1級 第一次検定No.64(公表正答3)

選択肢1 交流試験電圧は、最大使用電圧の1.5倍とした。(正しい側)

選択肢2 直流試験電圧は、交流試験電圧の2倍とした。(正しい側)

選択肢3 所定の直流試験電圧を、連続して5分間印加した。(答え)

選択肢4 所定の交流試験電圧を、連続して10分間印加した。(正しい側)

令和7年度は、倍率ではなく時間のほうを狂わせました。直流も交流と同じ10分間です。3年度を並べると、倍率・倍率・時間と狙う場所が動いています。

2級は数値をそのまま選ばせる

同じ条文を、2級は穴埋めや単純な選択で問います。

  • 令和元年度 2級 学科試験(前期)No.50 交流の試験電圧として適当なもの(最大使用電圧の1.5倍/2倍/公称電圧の1.5倍/2倍)
  • 令和3年度 2級 第一次検定(後期)No.45(公表正答3) 「最大使用電圧の  の交流試験電圧を…連続して10分間」→1.5倍
  • 令和5年度 2級 第一次検定(前期)No.45(公表正答3) 交流の試験電圧として適当なもの→最大使用電圧の1.5倍
  • 令和8年度 2級 第一次検定(前期)No.43(公表正答2) 「最大使用電圧の1.5倍の交流試験電圧を…連続して  加えたとき」→10分間

選択肢には公称電圧を使ったものが混ざります。条文が基準にしているのは最大使用電圧で、公称電圧ではありません。

令和8年度は時間のほうを空欄にしました。1.5倍と10分間の2つが、2級では交互に空欄になります。

手順は4つの論点に分かれる

2年度とも、次の4つが並びます。

論点 肢の書かれ方 扱い
絶縁抵抗測定 試験実施の前後に絶縁抵抗測定を行い、規定値以上であることを確認した 正しい側
二次側の接地 試験実施の前に、計器用変成器の二次側の接地を外していることを確認した 誤り
昇圧のしかた 試験電圧の半分ぐらいまでは徐々に昇圧し、検電器で確認したのち試験電圧まで昇圧した 正しい側
試験の終わり方 零に降圧して電源を切り、検電して無電圧を確認してから接地し、残留電荷を放電した 正しい側

誤りにされるのは2年度とも二次側の接地の肢だけです

二次側の接地を外すと書いた肢が答え

同じ趣旨の文が、2年度とも誤りにされています。

令和元年度 1級 学科試験No.76 選択肢2

試験実施の前に、計器用変成器の二次側の接地を外していることを確認した。

令和5年度 1級 第一次検定 No.67 選択肢1(答え)

試験実施の前に、変圧器や計器用変成器の二次側の接地を外していることを確認した。

令和5年度は「変圧器や」が加わっているだけで、趣旨は同じです。令和5年度のほうは公表正答1、令和元年度は公表正答2で、どちらもこの肢が答えです。

言い換えると、「接地を外すと書いてあれば、その肢を選ぶ」ということです。

4つの論点の並び順が、年度で入れ替わります。

令和元年度 1級 学科 No.76 令和5年度 1級 第一次検定 No.67
1 絶縁抵抗測定 二次側の接地
2 二次側の接地 絶縁抵抗測定
3 昇圧のしかた 昇圧のしかた
4 試験の終わり方 試験の終わり方

選択肢1と選択肢2が入れ替わっただけです。例えば、答えの位置を覚えると外します。

この肢は2年度とも正しい側です。

令和5年度は「試験前後で変わらないことを確認した」という言い方が加わっています。令和元年度は「規定値以上であること」までで、書き方だけが違います。

昇圧と放電は手順の後半に来る

昇圧のしかたも2年度とも正しい側です。

2年度に共通する書き方

試験電圧の半分ぐらいまでは徐々に昇圧し、検電器で機器に電圧が印加されていることを確認したのち、試験電圧まで昇圧した。

半分ぐらいで一度止めて、検電器で確認してから続けます

試験の終わり方は、2年度ともまったく同じ文です。

2年度に共通する書き方

試験終了後、電圧を零に降圧して電源を切り、検電して無電圧であることを確認してから接地し、残留電荷を放電した。

降圧、電源を切る、検電、接地、放電の順です。この5つの順序を入れ替えた肢は、どちらの年度にも出ていません。

まちがえやすいポイント

電気設備の技術基準の解釈が定めているのは、試験の電圧と時間までです。作業手順は条文の側にありません。

だから手順の肢は、条文と突き合わせても決まりません。接地を外すかどうかの一点で決めます。

一方で、電圧と時間は条文で決まるので、そちらは数値をそのまま当てられます。同じ絶縁耐力試験でも、手順を問う年度と数値を問う年度では、根拠にする場所が違います。

混同しやすい手順

試験の前と前後:二次側の接地は「前」、絶縁抵抗測定は「前後」です。

接地を外すと接地する:試験前に外すと書けば誤り、試験後に接地して放電すると書けば正しい側です。

検電器の使いどころ:昇圧の途中と、試験終了後の無電圧確認の2か所で出てきます。

電圧の倍率と手順:交流は最大使用電圧の1.5倍で10分間という数値の規定は、条文の側にあります。

同じ論点は、手順を正面から問う形は2年度分です。

この論点は、次の順に確かめます。

  • 1つ目 接地を外すと書いた肢を探す。あればそれが答えです。
  • 2つ目 残る3つは絶縁抵抗測定・昇圧・終わり方で、2年度とも正しい側です。
  • 3つ目 答えの位置は年度で動くので、位置では覚えません。

見る場所は接地を外すかどうかの一点だけです。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 接地という語を探す:外すと書いてあれば答えです。
  • 試験の後の接地は別:終了後に接地して放電するのは正しい側です。
  • 絶縁抵抗測定は飛ばす:前後に行うと書いてあれば正しい側です。
  • 昇圧の肢も飛ばす:半分ぐらいまで徐々にで正しい側です。
  • 数値の問と混ぜない:1.5倍や10分間を問う出題は別の系統です。

理解度チェック

Q.

試験の前に計器用変成器の二次側の接地を外すと書いた肢は、どう扱われているか?

2年度とも誤りにされています。この論点が答えになります。

Q.

絶縁抵抗測定はいつ行うと書かれているか?

試験実施の前後です。令和5年度は試験前後で変わらないことの確認まで書かれています。

Q.

試験終了後の手順はどうなっているか?

零に降圧して電源を切り、検電して無電圧を確認してから接地し、残留電荷を放電します。

Q.

2年度で違っているのはどこか?

答えの肢の位置です。令和元年度は2番目、令和5年度は1番目に置かれています。

まとめ

  • 二次側の接地を外すと書いた肢が2年度とも誤り
  • 絶縁抵抗測定は試験の前後、昇圧は半分ぐらいまで徐々に
  • 終了後は降圧・電源を切る・検電・接地・放電の順。
  • 答えの位置は年度で動くので、内容で覚える。
  • 電圧と時間は条文が決める=交流は最大使用電圧の1.5倍、直流はその2倍、時間はどちらも連続して10分間(解釈第15条)。
  • 1級は倍率を狂わせる年度が2つ(平成26年度・平成29年度)、時間を狂わせる年度が1つ(令和7年度=直流を5分間)。
  • 2級は同じ条文を数値で問う。公称電圧を混ぜた選択肢が出るが、基準は最大使用電圧。

参考資料

  • 電気設備の技術基準の解釈 第15条(高圧又は特別高圧の電路の絶縁性能)・15-1表 経済産業省(dengikaishaku.pdf
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成26年度・平成29年度・令和元年度・令和5年度・令和7年度
  • 同「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」令和元年度(前期)・令和3年度(後期)・令和5年度(前期)・令和8年度(前期)
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>