編集部
WBGTの式や「軽作業ほど基準値が大きい?小さい?」で混乱しますよね。WBGTは日射ありで乾球を足す、基準値は楽な作業ほど大きい(余裕がある)。重症の熱中症はむしろ汗が止まる、と押さえます。
この記事の要点
WBGT(暑さ指数)は、日射ありで0.7×自然湿球+0.2×黒球+0.1×乾球、日射なしで0.7×自然湿球+0.3×黒球。WBGT基準値は軽作業ほど大きく、暑熱順化していない人は小さいです。
重症の熱中症(熱射病)は発汗停止・体温上昇を起こします。寒冷では体温が下がり始めると筋緊張の増強・震え・酸素摂取量の増加が現れます。実効温度は気温・湿度・気流の総合効果です。
暑熱や寒冷は、作業環境測定でも気温・湿度・ふく射熱の測定対象となる労働衛生一般の論点です。問11で毎回、WBGTや熱中症・寒冷障害が問われます。
数値の大小や症状の向きを取り違えさせる引っかけが中心です。
WBGTは日射ありで乾球を足す。基準値は軽作業ほど大きく、暑熱順化していない人は小さい。重症の熱中症は発汗が止まります。
WBGTは、湿球温度・黒球温度・乾球温度をもとに算出する暑さ指数です。日射の有無で式が変わります。
| 条件 | 算出式 |
|---|---|
| 日射あり(屋外) | WBGT=0.7×自然湿球+0.2×黒球+0.1×乾球 |
| 日射なし(屋内など) | WBGT=0.7×自然湿球+0.3×黒球 |
つまり日射がある場合に乾球温度を加えるのがポイントです。「日射がない場合に乾球を使い、日射がある場合には使わない」とするのは逆で、誤りです。
WBGTには基準値があり、WBGT値が基準値を超えると熱中症のリスクが高まります。
基準値は身体への負荷が小さい(軽い)作業ほど大きい値になり、暑熱順化していない人は順化している人より小さい値になります。
着用する衣類によっては着衣補正値を加えます。
なお実効温度(感覚温度)は、気温・湿度・気流の総合効果を温度目盛りで表したもので、WBGTとは別の指標です。「実効温度=WBGT」とするのは誤りです。
熱中症は、高温多湿で体内の水分・塩分のバランスや体温調整が崩れて起こる障害の総称です。重症度でⅠ〜Ⅲ度に分類されます。
糖尿病・高血圧症・心疾患などの基礎疾患は、熱中症の発症に影響します。
寒冷環境で体温が低下し始めると、体は熱を作ろうとして筋肉の緊張が増し、震えが起き、酸素摂取量が増加します。
「筋肉の弛緩・酸素摂取量の減少」とするのは誤りです。さらに体温が下がると、震えの消失、筋の硬直という経過をたどります。
混同しやすいところ
WBGT の日射あり・なし
日射ありでは乾球温度を加えます(0.7自然湿球+0.2黒球+0.1乾球)。日射なしは0.7自然湿球+0.3黒球で乾球を使いません。
WBGT基準値 の大小
軽い作業ほど基準値は大きく、暑熱順化していない人は基準値が小さくなります。
重症熱中症 の体温
重症(熱射病)では発汗が停止し体温が上昇します。「体温が下がる」ではありません。
暑熱・寒冷は、労働衛生一般の問11で6回連続(令和5年8月〜令和8年2月の全6回)出題されています。WBGTの式・基準値、熱中症・寒冷障害の症状が中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和8年2月 | 問11 | 凍傷の表皮のみの障害を「凍瘡」とした選択肢が誤り。WBGT基準値は軽作業ほど大きい、は正しい。 |
| 令和7年8月 | 問11 | WBGTの式の違いを「日射なしで乾球を使い、日射ありでは使わない」とした選択肢が誤り(逆)。 |
| 令和7年2月 | 問11 | 「実効温度はWBGT値とも言われる」とした選択肢が誤り(別の指標)。 |
| 令和6年8月 | 問11 | 「熱中症が重症になると大量の発汗により体温が著しく下がる」とした選択肢が誤り(発汗停止・体温上昇)。 |
| 令和6年2月 | 問11 | 「寒冷で体温が低下し始めると筋肉の弛緩・酸素摂取量の減少」とした選択肢が誤り(筋緊張増加・酸素摂取量増加)。 |
| 令和5年8月 | 問11 | 温度感覚を左右する環境条件を「気温・湿度・気流の三要素」とした選択肢が誤り(ふく射熱を含む四要素)。 |
引っかけは次の型に整理できます。
WBGTは日射ありで乾球を足す、基準値は軽作業ほど大きい。重症熱中症は発汗停止・体温上昇、寒冷は筋緊張増加・震え・酸素摂取量増加です。
問題:WBGT値は、日射がない場合に乾球温度を使用し、日射がある場合には乾球温度を使用しない。
〇か×か。
答え:×
逆です。日射がある場合に乾球温度を加えます(0.7自然湿球+0.2黒球+0.1乾球)。日射がない場合は0.7自然湿球+0.3黒球で乾球を使いません(令和7年8月 労働衛生一般 問11の論点)。
問題:熱中症が重症になると、大量の発汗により体温が著しく下がることが多い。
〇か×か。
答え:×
重症の熱中症(熱射病)では発汗が停止し、体温が著しく上昇します(令和6年8月 労働衛生一般 問11の論点)。
問題:WBGT基準値は、身体に対する負荷が小さい作業の方が、負荷が大きい作業より大きい値となる。
〇か×か。
答え:〇
負荷の小さい(軽い)作業ほど暑さに余裕があるため、WBGT基準値は大きくなります。暑熱順化していない人は基準値が小さくなります(令和8年2月 労働衛生一般 問11の論点)。
WBGTは日射ありで0.7自然湿球+0.2黒球+0.1乾球、日射なしで0.7自然湿球+0.3黒球で求め、基準値は軽作業ほど大きく、暑熱順化していない人は小さくなります。
重症の熱中症は発汗停止・体温上昇、寒冷では筋緊張増加・震え・酸素摂取量増加が起こります。
問11で毎年問われる引っかけは、WBGTの日射あり・なし、実効温度との混同、重症熱中症の体温、寒冷時の生体反応です。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月