編集部
管理濃度と許容濃度、どちらも「濃度の基準」で混ざりませんか?誰が・何のために定めるかで分けると、すっきりします。管理濃度は行政、許容濃度は学会です。
この記事の要点
管理濃度は、作業環境評価基準(厚生労働省の告示)で定められ、作業環境測定の結果を評価して管理区分を決めるための基準値です。
許容濃度は、日本産業衛生学会が勧告するもので、労働者がばく露されてもほとんど健康影響がないとされる濃度の目安です(法的拘束力はありません)。
どちらも有害物質の「濃度の基準」ですが、定める主体も、使う場面も違います。
管理濃度は行政(評価基準・告示)が定める作業環境の評価基準、許容濃度は日本産業衛生学会が勧告するばく露の目安です。
管理濃度は、作業環境評価基準(昭和63年労働省告示第79号)で物質ごとに定められた値です。
A測定の評価値(第1評価値・第2評価値)や、B測定値と比べて、その単位作業場所を第1〜第3管理区分に分けるために使います。
管理濃度は、個人がそこまで吸ってよいというばく露の限界値ではなく、単位作業場所という「場」の作業環境管理の良し悪しを判断するための行政上の指標です。
許容濃度は、日本産業衛生学会が「許容濃度等の勧告」として示すものです。
労働者が1日8時間・週40時間程度、激しくない作業でばく露されても、ほとんどすべての労働者に健康への悪い影響が見られないと判断される濃度です。
これは学会の勧告であって、法令ではありません。
許容濃度のほかに、発がん性の分類、感作性物質の分類(第1群〜第3群)、騒音・振動・高温・寒冷などの物理的因子の許容基準も示されています。
米国のACGIHが示すTLV(許容限界値)も、同じくばく露限界の指標です。
| 観点 | 管理濃度 | 許容濃度 |
|---|---|---|
| 定める主体 | 厚生労働省(行政) | 日本産業衛生学会(学会) |
| 根拠 | 作業環境評価基準(告示) | 許容濃度等の勧告 |
| 用途 | 作業環境測定の評価・管理区分の決定 | ばく露の目安(リスク評価の参考) |
| 対象 | 単位作業場所(場の管理) | 労働者のばく露 |
| 法的位置づけ | 法令にもとづく(告示) | 勧告(法的拘束力なし) |
値も必ずしも一致しません。同じ物質でも、管理濃度と許容濃度は別々に定められた、別の目的の数値です。
混同しやすい用語
管理濃度 と 許容濃度
管理濃度は行政が告示で定める作業環境測定の評価基準、許容濃度は日本産業衛生学会が勧告するばく露の目安です。「管理濃度は許容濃度と同じ」「管理濃度は個人のばく露限界」とするのは誤りです。
管理濃度 と ばく露限界
ばく露限界(許容濃度・TLVなど)は、ほとんどの労働者がばく露されても健康影響がないとされるしきい値です。管理濃度は、これとは別に、場の作業環境を評価するために行政が定めた基準値です。
管理濃度と許容濃度は、労働衛生一般の問20などで問われます。両者の主体・根拠を入れ替える引っかけや、評価のしくみとあわせて問われます。
| 年度・問 | 正答 | 問われ方(引っかけの核心) |
|---|---|---|
| 令和8年2月 問20 | ② | 管理濃度(評価基準)と許容濃度(産業衛生学会の勧告)の問題。「第2評価値とは幾何平均濃度の推定値」=誤り(第2評価値は算術平均濃度の推定値)。許容濃度の勧告には物理的因子(騒音・振動・高温・寒冷)の許容基準も示される(選択肢5=正しい記述)。 |
管理濃度は行政(評価基準・告示)が定める作業環境の評価基準、許容濃度は日本産業衛生学会の勧告するばく露の目安です。両者は別物で、値も必ずしも一致しません。
問題:管理濃度は、日本産業衛生学会が勧告するばく露限界の濃度である。
〇か×か。
答え:×
それは許容濃度です。管理濃度は作業環境評価基準(厚生労働省の告示)で定められた、作業環境測定の評価のための基準値です。
問題:許容濃度等の勧告では、化学物質の許容濃度のほか、騒音や高温などの物理的因子の許容基準も示されている。
〇か×か。
答え:〇
許容濃度等の勧告には、許容濃度や発がん性分類のほか、騒音・振動・高温・寒冷などの物理的因子の許容基準も示されています(令和8年2月 問20)。
管理濃度は、作業環境評価基準(告示)で定められた、作業環境測定の結果を評価して管理区分を決めるための基準値です。
許容濃度は、日本産業衛生学会が勧告する、ばく露の目安です(法的拘束力はありません)。
定める主体(行政か学会か)・根拠・用途が違い、値も必ずしも一致しません。
「管理濃度=許容濃度」「管理濃度=個人のばく露限界」としないことが、混同を避けるポイントです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月