令和7年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問11は、暑熱環境とその人体への影響に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、暑さを表す2つの指標と、熱中症をめぐる基本知識を問うものです。
中心になるのは実効温度(感覚温度)とWBGT値(暑さ指数)という、名前も成り立ちも違う指標の区別です。
引っかけの核心は、実効温度をWBGT値と同じものとして扱うところにあります。
実効温度は気温・湿度・気流の総合効果を温度目盛りで表した指標で、輻射熱を取り込んだ別物のWBGT値とは一致しません。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢1(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ×(誤り) | 実効温度の説明として書きながら、最後に「WBGT値とも言われる」とつなげるのが誤り。実効温度とWBGT値は別の指標。 |
| 2 | ○(正しい) | WBGT値がWBGT基準値を上回ると、暑熱環境による障害のリスクが高まる、という関係は正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 同じ作業でも、熱に順化していない人のWBGT基準値は順化した人より小さい値になる、というのは正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 暑熱下で水分だけを過剰にとると、かえって熱けいれんを起こすことがある、というのは正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | 糖尿病・高血圧症・心疾患などの基礎疾患が、熱中症の発症に影響しうる、というのは正しい。 |
実効温度(感覚温度)は、気温・湿度・気流の総合効果を、温度の目盛りに置き換えて表した指標です。
湿度100%・無風のときに同じ温熱感を与える気温を基準にして、人の温熱感に基礎を置いて求めます。
選択肢1の前半、温熱感に基づいて気温・湿度・気流などの総合効果を温度目盛りで表す、という説明そのものは実効温度の特徴に沿っています。
誤りは末尾の「WBGT値とも言われる」です。
WBGT値(暑さ指数)は、自然湿球温度・黒球温度・乾球温度を組み合わせて算出する別の指標で、輻射熱の効果を黒球温度として取り込む点が実効温度と大きく違います。
両者は暑さを評価するという目的こそ近いものの、構成する要素も計算も別であり、実効温度=WBGT値ではありません。
指標の名前を入れ替えて同義に見せかけるのが、この肢の引っかけです。
問題:実効温度は、WBGT値と同じものとして扱ってよいか。
いいえ。実効温度は気温・湿度・気流の総合効果を温度目盛りで表した指標、WBGT値は自然湿球・黒球・乾球から算出する指標で、輻射熱の扱いも計算も異なります。目的が近くても別の指標です。
問題:同じ作業でも、熱に順化していない人のWBGT基準値は、順化した人と比べてどうなるか。
小さい値になります。順化していない人は暑熱に弱いため、より低いWBGT値の段階で対策が必要になり、基準値は安全側に小さく設定されます。
出典
※ 最終更新:2026年6月