令和6年8月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問11は、暑熱または寒冷の環境と、それが人体に及ぼす影響に関する問題です。
5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、暑さ・寒さによる代表的な健康障害の名称と中身が一致しているかを問うものです。
暑熱側は熱失神・熱けいれん・熱疲労・熱射病、寒冷側は凍瘡(しもやけ)や低温による腰痛などが出てきます。
あわせて、体温は産熱と放熱のバランスで一定に保たれるという体温調節の基本も土台になります。
引っかけの核心は、熱中症が重症になると「体温が下がる」とした一点で、重症化したときに体温がどちらへ向かうかが逆に書かれています。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢2(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 高温下で脳への血流が一時的に不足し、立ちくらみを起こすものを熱失神と呼ぶのは正しい。 |
| 2 | ×(誤り) | 熱中症が重症化すると、大量の発汗で「体温が著しく下がる」とするのが誤り。重症化すると発汗が止まり体温は著しく上がる。 |
| 3 | ○(正しい) | 体温が、代謝による産熱と人体と外気の温度差による放熱のバランスで一定に保たれるとするのは正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 凍瘡はしもやけのことで、低温下で手足の末梢に生じやすいとするのは正しい。 |
| 5 | ○(正しい) | 長時間の低温ばく露で腰痛症を生じることがあるとするのは正しい。 |
体温は、代謝で生まれる熱(産熱)と、汗をかいたり皮膚から逃がしたりする熱(放熱)のつり合いで一定に保たれます。
暑い環境では、汗をかいて放熱を増やすことで体温の上がりすぎを抑えようとします。ここまでは体の調節機能が働いている状態です。
ところが熱中症が重症化して熱射病の段階に進むと、この体温調節機能そのものが破綻します。
汗が出なくなって放熱の手段を失うため、発汗はむしろ止まり、体温は逃げ場を失って著しく上昇します。皮膚が乾いて熱いまま高体温になるのが重症熱中症の特徴です。
選択肢2は、これを「大量の発汗により体温が著しく下がる」と、向きを正反対に書いています。
重症化で起きるのは発汗の停止と体温の急上昇であって、発汗が続いて体温が下がるのではない、という一点が誤りです。
問題:熱中症が重症化すると、大量の発汗によって体温は下がっていくのか。
いいえ。重症化すると体温調節機能が破綻して発汗が止まり、放熱の手段を失うため、体温はむしろ著しく上昇します。皮膚が乾いて高体温になるのが重症熱中症の特徴です。
問題:高温下で脳への血流が一時的に不足して立ちくらみを起こすものを何というか。
熱失神です。高温状態で脳に十分な血液を送れず、一時的な脳虚血によって立ちくらみが起こるものを指します。
出典
※ 最終更新:2026年6月