令和6年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問11は、暑熱・寒冷の環境と、それが人体に及ぼす影響に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、熱中症の分類・WBGTの着衣補正・暑熱順化といった暑さ側の知識と、低体温症や寒さに対する体の反応という寒さ側の知識をまとめて問うものです。
引っかけの核心は寒さ側にあり、体が冷えたときの反応を「筋肉がゆるむ・酸素を使わなくなる」と逆向きに書いている点を見抜けるかどうかが分かれ目です。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢4(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 熱中症をⅠ度からⅢ度の重症度で分類し、立ちくらみにあたる熱失神を最も軽いⅠ度に位置づけるのは正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | 通気性の悪い衣類などを着る場合に、WBGT値へ着衣補正値を上乗せして評価するのは正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 暑熱順化は7日以上かけて暑さへのばく露時間を少しずつ延ばして暑さに慣れていく、という説明は正しい。 |
| 4 | ×(誤り) | 寒冷で体温が下がり始めたときに「筋肉の弛緩・酸素摂取量の減少」とするのが誤り。実際はふるえ(筋肉の収縮)が起き酸素摂取量は増える。 |
| 5 | ○(正しい) | 体の中心部の温度が35℃程度以下まで下がった状態を低体温症とする説明は正しい。 |
体には体温を一定に保とうとする働きがあります。寒冷環境にさらされて体温が下がり始めると、体は熱を逃がさない・熱を生み出す方向に反応します。
皮膚の血管が縮んで放熱を抑え、それでも足りなければ筋肉を細かく動かして熱をつくります。これがふるえで、筋肉はゆるむのではなく緊張・収縮します。
筋肉が活発に収縮すれば、その分だけエネルギーを使うので、酸素の消費も増えます。つまり寒さで体が冷え始めた段階では、酸素摂取量は増加する向きに動きます。
選択肢4はこれを「筋肉の弛緩、酸素摂取量の減少」と、起こることと真逆に書いています。方向が逆なので誤りです。
なお、さらに冷えが進んで体の中心部が大きく下がるとふるえも止まり、選択肢5にある低体温症の状態へ向かいますが、問われているのは「体温が低下し始めた」初期の反応で、ここはふるえが起きる段階です。
問題:寒冷環境で体温が低下し始めると、筋肉はゆるみ酸素摂取量は減少するか。
いいえ、逆です。体温を保つために熱をつくろうとして、ふるえ(筋肉の収縮)が起こります。筋肉が活発に動く分エネルギーを使うので、酸素摂取量は増加します。
問題:低体温症とは、体のどの部分の温度が何℃程度以下になった状態か。
寒冷環境で全身が冷やされ、体の中心部(深部)の温度が35℃程度以下まで下がった状態を低体温症といいます。皮膚など体表ではなく、中心部の温度で判断します。
出典
※ 最終更新:2026年6月