編集部
「雇入時健診は項目を省略できる?報告は要る?」で迷いますよね。雇入時は項目省略も結果報告も不要。省略できるのは定期、報告が要るのも定期(50人以上)。雇入時と定期で扱いが違います。
この記事の要点
雇入時の健康診断は項目を省略できず、結果報告も不要です。定期健康診断は医師の判断で一定項目を省略でき、常時50人以上の事業場は所轄労働基準監督署長へ結果を報告します。
異常の所見がある者については3か月以内に医師から意見聴取し、健康診断個人票は5年保存(特殊健診の一部は30年・石綿は40年)です。
健康診断は安全衛生管理体制とあわせて、労働衛生関係法令の問2・問3でほぼ毎年問われます。
雇入時と定期で扱いが異なる点、意見聴取の対象、保存期間が引っかけの中心です。
雇入時健診は項目省略も結果報告も不要。省略できるのは定期、報告も定期(50人以上)です。
| 項目 | 雇入時の健康診断 | 定期健康診断 |
|---|---|---|
| 項目の省略 | 省略できない(医師の判断による省略は不可) | 医師の判断で一定項目を省略できる |
| 結果の報告 | 不要 | 常時50人以上の事業場は所轄労働基準監督署長へ報告 |
| 他で受けた結果 | 3か月以内に受けた者が証明書を提出すれば、相当項目を省略できる | (定期はこの規定なし) |
「雇入時健診で貧血・肝機能等を医師の判断で省略できる」「50人以上に雇入時健診を行ったら報告する」とするのは、いずれも定期健診の扱いを雇入時に当てはめた誤りです。省略・報告は定期のものです。
有害業務に従事する労働者には、一般健診とは別に特殊健康診断を行います。
混同しやすいところ
雇入時健診 と 定期健診
項目の省略・結果の報告(50人以上)は定期健診の扱いです。雇入時健診では項目を省略できず、結果報告も不要です。
意見聴取の対象
意見聴取は「異常の所見がある」者について3か月以内に行います。全員ではありません。
個人票の保存期間
一般健診は5年。特殊健診の一部は30年、石綿は40年です。
健康診断は、労働衛生関係法令の問2・問3で繰り返し(一般健康診断が論点になったのは確認できる令和5年8月〜令和7年8月の4回)出題されています。
雇入時・定期の扱い、意見聴取が中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和7年8月 | 問3 | 「異常の所見の有無にかかわらず3か月以内に意見聴取」とした選択肢が誤り(異常所見がある者について)。 |
| 令和7年2月 | 問2 | 「専属の産業医がいる事業場では健診は当該産業医が行わなければならない」とした選択肢が誤り。雇入時は項目省略不可は正しい。 |
| 令和6年8月 | 問2 | 「50人以上に雇入時健診を行ったら結果を所轄労働基準監督署長に報告」とした選択肢が誤り(報告は定期健診)。 |
| 令和5年8月 | 問2 | 「雇入時健診で貧血・肝機能等を医師の判断で省略できる」とした選択肢が誤り(省略できるのは定期)。 |
引っかけは次の型に整理できます。
雇入時健診は項目省略も結果報告も不要、定期健診は医師判断で省略可・50人以上で報告。意見聴取は異常所見がある者に3か月以内、個人票は5年保存です。
問題:雇入時の健康診断項目のうち、貧血検査や肝機能検査等は、医師が必要でないと認めるときは省略できる。
〇か×か。
答え:×
医師の判断で項目を省略できるのは定期健康診断です。雇入時の健康診断では項目を省略できません(令和5年8月 関係法令 問2の論点)。
問題:常時50人以上の労働者に雇入時の健康診断を行った場合、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
〇か×か。
答え:×
結果の報告が必要なのは定期健康診断(常時50人以上の事業場)です。雇入時の健康診断は報告不要です(令和6年8月 関係法令 問2の論点)。
問題:健康診断を受けた労働者については、異常の所見の有無にかかわらず、3か月以内に医師から意見聴取を行わなければならない。
〇か×か。
答え:×
意見聴取は、異常の所見があると診断された労働者について3か月以内に行います。全員に行うわけではありません(令和7年8月 関係法令 問3の論点)。
雇入時の健康診断は項目を省略できず、結果報告も不要です。
定期健康診断は医師の判断で一定項目を省略でき、常時50人以上の事業場は所轄労働基準監督署長へ報告します。
意見聴取は異常の所見がある者について3か月以内に行い、個人票は5年保存(特殊健診の一部は30年・石綿40年)です。
問2・問3で繰り返し問われる引っかけは、雇入時と定期の取り違え、意見聴取の対象、産業医の関与、保存期間です。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
産業医が健診を「行わなければならない」わけではない
専属の産業医を選任している事業場でも、健康診断を当該産業医が行わなければならないわけではありません。事業者が指定した医師の健診を希望しない労働者は、他の医師の健診を受けて結果を証明する書面を提出できます。