編集部
「専属」と「専任」、産業医と衛生管理者の人数…数字でひっかけられますよね。カギは2つの500人と1000人。専属産業医は常時1000人以上または有害業務500人以上、専任衛生管理者は常時1000人超または有害業務500人超で30人以上が境目です。
この記事の要点
事業場の規模・業種に応じて、総括安全衛生管理者・衛生管理者・産業医・衛生委員会などを置きます。衛生管理者は労働者数に応じて1〜6人、専属の産業医は常時1000人以上、または有害業務に常時500人以上で必要です。
選任は選任すべき事由が発生した日から14日以内。衛生委員会には、当該事業場の労働者である作業環境測定士を委員に指名できます(しなければならない、ではありません)。
労働安全衛生法は、事業場の規模・業種に応じた安全衛生管理体制を求めています。
作業環境測定士にとっては、測定士が衛生委員会に関わる点も含め、関係法令の問1でほぼ毎年問われる定番です。人数の数字を入れ替える引っかけが中心です。
専属の産業医は常時1000人以上または有害業務500人以上、専任の衛生管理者は常時1000人超または有害業務500人超で30人以上。境目の人数が問われます。
総括安全衛生管理者は、安全衛生に関する業務を統括管理します。
選任が必要な規模は業種で異なり、製造業では常時300人以上です(林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業は100人以上、その他の業種は1000人以上)。事業の実施を統括管理する者を充てます。
常時50人以上の労働者を使用する事業場は、規模に応じて衛生管理者を選任します。人数は次のとおりです。
| 常時使用する労働者数 | 衛生管理者の数 |
|---|---|
| 50人以上 200人以下 | 1人以上 |
| 201人以上 500人以下 | 2人以上 |
| 501人以上 1000人以下 | 3人以上 |
| 1001人以上 2000人以下 | 4人以上 |
| 2001人以上 3000人以下 | 5人以上 |
| 3001人以上 | 6人以上 |
次の場合は、衛生管理者のうち1人を専任(その仕事に専念する者)としなければなりません。
常時1000人を超える事業場、または常時500人を超え、かつ一定の有害業務に常時30人以上を従事させる事業場です。
さらに、常時500人を超え、暑熱・有害放射線・有害物のガス蒸気粉じんの発散などの業務に常時30人以上を従事させる場合は、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任します。
常時50人以上の事業場は産業医を選任します。次の場合は、専属の産業医(その事業場に専属する者)が必要です。
有害業務での専属の境目は500人です。
たとえば、特定化学物質や指定作業場の業務に従事する人数が少数(数十〜100人程度)であっても、それだけでは専属の要件には届きません。
人数を小さくして「専属が必要」とする選択肢は誤りです。
常時50人以上の事業場は衛生委員会を設けます。
議長は総括安全衛生管理者など事業の実施を統括管理する者等から、その他の委員の半数は、労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは労働者の過半数を代表する者)の推薦に基づいて指名します。
ここが作業環境測定士に関係する論点です。
事業者は、当該事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士を、衛生委員会の委員として指名することができます。
あくまで「できる」であり、義務ではありません。
また、外部の作業環境測定機関に委託して測定している場合、その委託先の測定士を委員に指名しなければならない、というものでもありません。
混同しやすいところ
専属 と 専任
専属は「その事業場に所属していること」、専任は「その業務に専念していること」です。専属の産業医は1000人以上(有害業務は500人以上)、専任の衛生管理者は1000人超(または有害業務500人超で30人以上)が目安です。
衛生委員会の測定士は「できる」
当該事業場の労働者である作業環境測定士を委員に指名「できる」のであって、義務ではありません。外部委託先の測定士を指名「しなければならない」とするのは誤りです。
衛生管理者の数 と 専任の要否
2人以上選任するからといって、1人を専任にしなければならないわけではありません。専任は規模(1000人超など)で決まります。
安全衛生管理体制は、労働衛生関係法令の問1で5年連続(令和5年8月〜令和8年2月)出題されています。人数(500人・1000人)や専属・専任の取り違えが中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和5年8月 | 問1 | 外部機関に委託して測定している場合、その作業環境測定士を衛生委員会の委員に「指名しなければならない」とした選択肢が誤り(当該事業場の労働者である測定士を指名できる、にとどまる)。 |
| 令和6年8月 | 問1 | クロムの粉じんを発散する業務に常時50人で専属の産業医が必要とした選択肢が誤り(有害業務での専属は500人以上)。衛生管理者3人以上(800人)は正しい。 |
| 令和7年2月 | 問1 | 指定作業場の業務に常時100人で専属の産業医が必要とした選択肢が誤り(500人未満)。 |
| 令和7年8月 | 問1 | 衛生管理者のうち1人を労働衛生コンサルタントである者としなければならない、とした選択肢が誤り(そのような義務はない)。衛生管理者4人(1500人)は正しい。 |
| 令和8年2月 | 問1 | 2人以上の衛生管理者を選任する事業場では1人を専任にしなければならない、とした選択肢が誤り(専任は規模で決まる)。2001〜3000人で5人以上は正しい。 |
引っかけは次の型に整理できます。
専属の産業医は1000人以上または有害業務500人以上、専任の衛生管理者は1000人超または有害業務500人超で30人以上。衛生委員会には当該事業場の労働者である測定士を指名できます(義務ではない)。
問題:クロムの粉じんを発散する場所における業務に常時50人を従事させる事業場では、専属の産業医を選任しなければならない。
〇か×か。
答え:×
有害業務で専属の産業医が必要になるのは常時500人以上です。常時50人では専属の要件に届きません(令和6年8月 関係法令 問1の論点)。
問題:2人以上の衛生管理者を選任する事業場では、そのうち1人を専任の衛生管理者としなければならない。
〇か×か。
答え:×
専任が必要になるのは、常時1000人を超える事業場や、常時500人を超え一定の有害業務に常時30人以上を従事させる事業場です。2人以上選任することと専任の要否は別です(令和8年2月 関係法令 問1の論点)。
問題:事業場の労働者で、作業環境測定を実施している作業環境測定士を、衛生委員会の委員として指名することができる。
〇か×か。
答え:〇
当該事業場の労働者である作業環境測定士は、衛生委員会の委員として指名することができます。なお、これは「できる」規定で義務ではなく、外部委託先の測定士を指名しなければならないわけでもありません(令和6年8月 関係法令 問8・令和5年8月 問1の論点)。
安全衛生管理体制は、規模・業種に応じて総括安全衛生管理者・衛生管理者・産業医・衛生委員会を置くしくみです。
衛生管理者は労働者数に応じて1〜6人、専任は常時1000人超または有害業務500人超で30人以上、専属の産業医は常時1000人以上または有害業務500人以上です。
問1で毎年問われる引っかけは、専属・専任の人数の取り違え、ありもしない義務、衛生委員会の測定士指名(当該事業場の労働者を・できる)の4つです。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
選任の手続き(14日以内)
総括安全衛生管理者・衛生管理者・産業医は、選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任しなければなりません。衛生管理者・産業医については、選任したときは遅滞なく所轄労働基準監督署長に報告します(作業主任者は報告不要なのと対照的です)。