編集部
第1類・第2類・第3類に、特別管理物質や特定第2類…用語が多くて混乱しますよね。骨組みは「縦の3区分」と、それに重なる「横の特別管理物質」。この2軸で見ると一気に整理できます。
この記事の要点
特定化学物質は有害性の高い順に第1類・第2類・第3類に分かれます。第1類は製造許可が必要な7物質、第3類は大量漏えい防止が中心の8物質、残りの大半が第2類です。
これとは別の軸で、第1類・第2類のうち発がん性等のものが「特別管理物質」です(第3類に特別管理物質はありません)。第2類はさらに特定第2類物質・特別有機溶剤等・オーラミン等・管理第2類物質の4つに分かれます。
特定化学物質障害予防規則(特化則)は、まず物質を第1類・第2類・第3類に分け、区分ごとに規制の重さを変えています。
これに「特別管理物質」という別軸が重なるため、用語が多く見えます。試験では労働衛生関係法令の問12で、この区分がほぼ毎年問われています。
縦の軸が第1類・第2類・第3類、横の軸が特別管理物質。第3類に特別管理物質はなく、第2類はさらに4つに分かれます。
数字が小さいほど有害性が高く、規制も重くなります。それぞれの中心となる規制で覚えると区別しやすくなります。
| 区分 | 中心となる規制 | 物質数・例 |
|---|---|---|
| 第1類物質 | 製造の許可(あらかじめ厚生労働大臣の許可) | 7物質。ジクロルベンジジン、アルファ-ナフチルアミン、オルト-トリジン、ジアニシジン、塩素化ビフェニル(PCB)、ベリリウム、ベンゾトリクロリド |
| 第2類物質 | 発散源対策(局所排気装置等) | 最も多く、特定化学物質の大半。コールタール、ホルムアルデヒド、硫化水素、弗化水素、ベンゼン、インジウム化合物 など |
| 第3類物質 | 大量漏えいの防止 | 8物質。アンモニア、一酸化炭素、塩化水素、硝酸、二酸化硫黄、フェノール、ホスゲン、硫酸 |
第1類(7物質)と第3類(8物質)は数が少なく、物質名を覚えてしまえば消去法が効きます。残りの大半が第2類、というのが実戦的な見分け方です。
第3類は気体・酸など「漏れると一気に危険」というイメージの物質が並びます。
特別管理物質は、第1類・第2類のうち、がん等の慢性・遅発性障害を起こすおそれのあるものです。区分(第1類・第2類)とは別のラベルで、両方にまたがります。
第3類物質には特別管理物質はありません。
特別管理物質に当たると、作業の記録や健康診断個人票、作業環境測定の記録などを30年間保存するなど、長期の管理が上乗せされます。
第1類ではベンゾトリクロリド、第2類ではクロロホルムやトリクロロエチレン(特別有機溶剤等)などが特別管理物質です。
測定記録の保存期間は作業環境測定の頻度と記録の保存期間でまとめています。
第2類物質は、規制の性質によって次の4つに細分されます。これを「2区分」と思い込むと引っかかります。
| 第2類の細区分 | 性質 |
|---|---|
| 特定第2類物質 | 漏えいに特に留意すべき物質 |
| 特別有機溶剤等 | 発がんのおそれがあり、有機溶剤と同様に蒸気で中毒を起こす物質(クロロホルム、トリクロロエチレン 等) |
| オーラミン等 | 尿路系の器官にがん等を起こすおそれのある物質 |
| 管理第2類物質 | 上の3つ以外の第2類物質 |
注意したいのは、特別有機溶剤等は「特定第2類物質」とは別の区分だということです。名前から特定第2類の一部だと思いがちですが、第2類の中で並列の別グループです。
またオーラミン等は第2類(第3類ではありません)。
第1類物質は「製造の許可」が必要な物質です。これと混同しやすいのが「製造等の禁止」です。
つまり、第1類物質は「許可を受ければ製造できる」物質であって、「製造が禁止される物質」ではありません。ここは過去問で繰り返し突かれる点です。
混同しやすいところ
第1類物質 と 製造等禁止物質
第1類物質は製造の「許可」が必要な物質(安衛法56条)。製造等禁止物質(同55条・石綿やベンジジン等)は別の枠組みで、第1類物質ではありません。
特定第2類物質 と 特別有機溶剤等
どちらも第2類の細区分ですが、並列の別グループです。特別有機溶剤等が特定第2類物質に含まれるわけではありません。
特別管理物質 と 第3類物質
特別管理物質は第1類・第2類のうち発がん性等のもの。第3類物質に特別管理物質はありません。
特定化学物質の区分は、労働衛生関係法令の問12で繰り返し(令和5年8月〜令和8年2月で確認できる5回すべて)出題されています。
区分の構造と物質の帰属を入れ替える形が中心です。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和5年8月 | 問12 | 「第3類物質には特別管理物質に該当するものがある」が誤り(特別管理物質は第1類・第2類のみ)。 |
| 令和6年8月 | 問12 | 第2類を「特定第2類と管理第2類に区分し、特別有機溶剤は特定第2類」とした選択肢が誤り(第2類は4区分、特別有機溶剤等は別グループ)。 |
| 令和7年2月 | 問12 | 「オーラミン等は第3類物質に該当する」が誤り(オーラミン等は第2類)。 |
| 令和7年8月 | 問12 | 「第1類物質の中には製造等が禁止される有害物等がある」が誤り(第1類は製造許可。製造禁止は別枠)。 |
| 令和8年2月 | 問12 | 「含有量が重量の5%以下のものは特定化学物質に該当しない」が誤り(すそ切り値は物質ごと、多くは1%超)。 |
引っかけは次の型に整理できます。物質の帰属は、コールタール・ホルムアルデヒド・硫化水素・弗化水素が第2類、ホスゲン・二酸化硫黄・硫酸・塩化水素が第3類です。
縦の3区分(第1類=製造許可・第3類=8物質・残りが第2類)と、横の特別管理物質(第1・第2類のみ)。第2類は4区分、製造許可と製造禁止は別もの、すそ切りは一律5%ではありません。
問題:第3類物質の中には、特別管理物質に該当するものがある。
〇か×か。
答え:×
特別管理物質は第1類・第2類のうち発がん性等のものに限られます。第3類物質に特別管理物質はありません(令和5年8月 関係法令 問12の論点)。
問題:第1類物質の中には、製造等が禁止される有害物がある。
〇か×か。
答え:×
第1類物質は製造の「許可」を受ければ製造できる物質です。製造等が禁止される物質(石綿・ベンジジン等)は安衛法第55条の別の枠組みで、第1類物質ではありません(令和7年8月 関係法令 問12の論点)。
問題:特別有機溶剤等は、第2類物質のうち特定第2類物質に区分される。
〇か×か。
答え:×
第2類物質は特定第2類物質・特別有機溶剤等・オーラミン等・管理第2類物質の4つに分かれ、特別有機溶剤等はそのうちの並列の別グループです。特定第2類物質の一部ではありません(令和6年8月 関係法令 問12の論点)。
特定化学物質は、縦に第1類・第2類・第3類、横に特別管理物質という2つの軸で整理できます。
第1類は製造許可の7物質、第3類は大量漏えい防止が中心の8物質、残りの大半が第2類です。特別管理物質は第1類・第2類のうち発がん性等のもので、第3類にはありません。
第2類はさらに特定第2類物質・特別有機溶剤等・オーラミン等・管理第2類物質の4つに分かれます。
問12で毎年問われる引っかけは、第3類の特別管理物質・第2類の区分数・オーラミン等の所属・製造許可と製造禁止の混同・すそ切り値の5つ。
区分が決まると、製造許可の要否や記録の保存期間(特別管理物質は30年)が変わります。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月
「5%以下は特化物でない」は誤り
特定化学物質を含む製剤が規制対象になるすそ切り値(含有率の下限)は物質ごとに定められており、多くは重量1%超(特別管理物質など一部は0.1%超)です。一律に「5%以下は特定化学物質に該当しない」とはいえません。具体的な値は物質ごとに法令で確認します。