編集部
混合物の「第何種か」を聞かれると、毎回つまずきますよね。コツは2つ。第1種が5%を超えれば第1種、超えなければ第1種+第2種の合計で見る。これだけで問14は解けます。
この記事の要点
有機溶剤を重量の5%を超えて含むものが「有機溶剤等」です。純品の有機溶剤は、有害性の高い順に第1種・第2種・第3種に分かれ、第1種は1,2-ジクロルエチレンと二硫化炭素の2物質だけです。
混合物の区分は、第1種が5%超→第1種、第1種+第2種が5%超→第2種、それ以外(有機溶剤の合計が5%超)→第3種。合計が5%以下なら、そもそも有機溶剤等ではありません。
有機溶剤の規制は、まず「その物が有機溶剤等にあたるか」、あたるなら「第1種・第2種・第3種のどれか」を決めるところから始まります。
区分によって、作業環境測定が必要かどうか、表示の色、健康診断などが変わるためです。試験では、この区分の判定が労働衛生関係法令の問14でほぼ毎年問われています。
有機溶剤を5%超含むものが有機溶剤等。混合物は、第1種が5%超なら第1種、第1種+第2種が5%超なら第2種、それ以外が第3種です。
有機溶剤中毒予防規則(有機則)でいう「有機溶剤等」とは、有機溶剤そのものか、有機溶剤含有物のことです。
有機溶剤含有物とは、有機溶剤と有機溶剤以外の物との混合物で、有機溶剤を当該混合物の重量の5%を超えて含有するものをいいます(有機則第1条)。
つまり、混合物に含まれる有機溶剤の合計が5%以下なら、そもそも有機溶剤等ではなく、有機則の規制対象になりません。
区分(第1〜第3種)を考えるのは、5%を超えていることが前提です。ここを忘れると、合計5%以下のものを「第3種」と答えてしまう引っかけにかかります。
有機則の対象となる有機溶剤は全部で44物質あり、有害性の高い順に第1種・第2種・第3種に区分されています。数の感覚をつかんでおくと、選択肢の見当がつきます。
| 区分 | 物質数 | 代表例 | 表示の色 |
|---|---|---|---|
| 第1種有機溶剤 | 2物質 | 1,2-ジクロルエチレン(二塩化アセチレン)、二硫化炭素 | 赤 |
| 第2種有機溶剤 | 35物質 | トルエン、キシレン、アセトン、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトン、クレゾール、クロルベンゼン など | 黄 |
| 第3種有機溶剤 | 7物質 | ガソリン、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、コールタールナフサ、テレビン油、ミネラルスピリット | 青 |
第1種は2物質だけなので、名前を覚えてしまうのが早道です。第3種は石油系・天然由来の7物質でまとまっています。残りの多数が第2種、というイメージです。
表示の色(第1種=赤、第2種=黄、第3種=青)は有機則第25条で決まっており、信号の「危険=赤」と同じ並びです。
2種類以上の有機溶剤を含む混合物では、次の順に当てはめます。上から順に見て、最初に当てはまった区分で確定です。
ポイントは、第2種の判定は「第1種+第2種の合計」で見ることです。第3種の量は区分の格上げには効きません(合計が5%を超えるかどうかの判断にだけ使います)。具体例で確認します。
| 第1種 | 第2種 | 第3種 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| 6% | 1% | 50% | 第1種 | 第1種が5%超 |
| 4% | 2% | 60% | 第2種 | 第1種は5%以下、第1種+第2種=6%>5% |
| 1% | 3% | 80% | 第3種 | 第1種+第2種=4%≦5%、合計84%>5% |
| 1% | 1% | 1% | 対象外 | 合計3%≦5%で有機溶剤等でない |
区分は、規制の重さに直結します。とくに作業環境測定が必要かどうかが分かれ目です。
| 項目 | 第1種・第2種有機溶剤等 | 第3種有機溶剤等 |
|---|---|---|
| 作業環境測定(屋内作業場) | 必要(6か月以内ごとに1回、記録3年保存) | 原則不要 |
| 区分の表示色 | 第1種=赤/第2種=黄 | 青 |
| 有機溶剤作業主任者 | 選任が必要 | 選任が必要 |
測定の記録の保存は3年です。
同じ「有機溶剤」でも、特別有機溶剤(特定化学物質に分類された物)は特別管理物質として記録を30年保存する点が違うので、混同しないようにします。
測定の頻度・保存期間は作業環境測定の頻度と記録の保存期間でまとめています。
混同しやすいところ
有機溶剤 と 有機溶剤等
「有機溶剤」は純品の物質そのもの、「有機溶剤等」は純品+有機溶剤を5%超含む混合物(有機溶剤含有物)を指します。区分(第1〜第3種)は「○○有機溶剤等」という形で混合物まで含めて呼びます。
第2種の判定 と 合計だけで見る誤り
第2種かどうかは「第1種+第2種の合計が5%超か」で決めます。第3種をいくら足しても第2種にはなりません。第3種は、有機溶剤の合計が5%を超えるか(=そもそも規制対象か)の判断にだけ関わります。
第1種有機溶剤 と 特別有機溶剤
名前が似ていますが別物です。第1種有機溶剤は有機則の2物質。特別有機溶剤はクロロホルム等で、特定化学物質(特化則)として規制されます。ベンゼンは有機溶剤ではなく特定化学物質(第2類物質)です。
有機溶剤等の区分は、労働衛生関係法令の問14で5年連続(令和5年8月〜令和8年2月)出題されています。
多くは混合物の%を示して区分を答えさせる形で、引っかけのパターンが決まっています。
| 年度 | 問 | 問われ方・引っかけ |
|---|---|---|
| 令和5年8月 | 問14 | 物質と区分の組合せ。ベンゼンを「特別有機溶剤」とした選択肢が誤り(ベンゼンは特定化学物質)。物質の所属取り違えを突く。 |
| 令和6年8月 | 問14 | 混合物の%判定。第1種4%・第2種6%なのに「第1種」とした選択肢が誤り(第1種は5%以下→第2種)。 |
| 令和7年2月 | 問14 | 混合物の%判定。各1%(合計3%)なのに「第3種」とした選択肢が誤り(合計5%以下=有機溶剤等でない)。 |
| 令和7年8月 | 問14 | 第2種に該当する混合物を選ばせる。第1種3%+第2種4%(合計7%>5%、第1種は5%以下)が第2種で正解。 |
| 令和8年2月 | 問14 | 混合物の区分判定の誤りを選ぶ。第1種1%+第2種5%(合計6%>5%)を「第3種」とした表示が誤り(正しくは第2種)。 |
引っかけは次の4つに整理できます。
混合物は「第1種が5%超なら第1種、第1種+第2種が5%超なら第2種、それ以外が第3種、合計5%以下は対象外」。第3種の量だけでは区分は上がりません。
問題:第1種有機溶剤を4%、第2種有機溶剤を6%、第3種有機溶剤を90%含む混合物は、第1種有機溶剤等である。
〇か×か。
答え:×
第1種が4%(5%以下)なので第1種にはなりません。第1種+第2種=10%で5%を超えるため、第2種有機溶剤等です(令和6年8月 関係法令 問14の論点)。
問題:第1種・第2種・第3種有機溶剤をそれぞれ重量の1%ずつ含む混合物は、第3種有機溶剤等である。
〇か×か。
答え:×
有機溶剤の合計が3%で5%以下のため、そもそも有機溶剤等ではありません(規制対象外)。区分を考えるのは合計が5%を超える場合だけです(令和7年2月 関係法令 問14の論点)。
問題:第3種有機溶剤等を用いて屋内作業場で洗浄の業務を行う場合、作業環境測定を行う必要はない。
〇か×か。
答え:〇
作業環境測定が義務づけられるのは第1種・第2種有機溶剤等です。第3種有機溶剤等は原則として作業環境測定の対象外です(有機則 問15で繰り返し問われる論点)。
有機溶剤等の区分は、まず「有機溶剤の合計が5%を超えるか」で規制対象かどうかを決め、超える場合に第1種・第2種・第3種を判定します。
第1種は1,2-ジクロルエチレンと二硫化炭素の2物質だけ、第3種は石油系の7物質、残りが第2種です。
混合物は、第1種が5%超なら第1種、第1種は5%以下でも第1種+第2種が5%超なら第2種、それ以外(合計5%超)が第3種です。
問14で毎年問われる引っかけは、第1種の閾値・第2種の合計・5%以下の対象外・物質の所属取り違えの4つ。
区分が決まると、作業環境測定の要否(第1・第2種は必要)や表示の色(赤・黄・青)が決まります。
参考資料
※ 最終更新:2026年6月