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架空単線式の電車線とは?公称断面積と高さを解釈基準の数値で読む

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85と110、4.4と5。数字が似ていて、どっちがどっちなの?

新幹線かどうかで変わるらしいけど、区別がつかない…。

この記事の要点

架空単線式とは、電車線を1本だけ架空に張り、レールを帰線に使う電車線の架設方式のことです。

数値は鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準が定めています。公称断面積は85平方ミリメートル以上、新幹線だけ110平方ミリメートル以上です。

電車線の高さは5メートルを標準とし、直流は4.4メートル以上、交流は4.57メートル以上が下限です。

架空単線式の数値は、1級で繰り返し出ています。

問われ方は「省令及び同省令等の解釈基準上、誤っているものはどれか」で固定されています。新幹線か、それ以外かを最初に読むのが要点です。

架空単線式とは何か

電車線の架設方式そのものは、解釈基準の冒頭に置かれています。

鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準 第41条関係 1・18

1 電車線の架設方式は、架空単線式又は架空複線式とすること。

18 架空単線式の本線における電車線(剛体ちょう架式のものを除く。)は、日本工業規格「みぞ付硬銅トロリ線」の規格に適合する公称断面積85平方ミリメートル以上(新幹線にあっては、公称断面積110平方ミリメートル以上)の溝付硬銅線又はこれに準ずるものとすること。

公称断面積は、新幹線だけが110平方ミリメートル以上です。それ以外は85平方ミリメートル以上で足ります。

括弧の中が新幹線の条件になっているので、問題文が新幹線かどうかを読まないと、どちらの数値を当てるか決まりません

電車線の高さは5メートルが標準

高さのほうは、標準値と下限が別々に決められています。

鉄道に関する技術上の基準を定める省令等の解釈基準 第41条関係 10

10 普通鉄道(新幹線を除く。)における架空単線式の電車線のレール面上の高さは、5メートルを標準とし、直流にあっては4.4メートル以上、交流にあっては4.57メートル以上、踏切道に施設する場合にあっては4.8メートル以上とし、かつ、それぞれ、走行する車両のうち集電装置を折りたたんだ場合の高さが最高であるものの高さに400ミリメートルを加えた高さ以上とすること。

4.4メートルは直流の下限であって、標準ではありません。標準は5メートルです。

下限は、電気の方式と場所で3つに分かれます。

  • 直流 4.4メートル以上
  • 交流 4.57メートル以上
  • 踏切道に施設する場合 4.8メートル以上

この条文は「普通鉄道(新幹線を除く。)」と断っています。新幹線の問題で4.4メートルを持ち出した肢は、そもそも対象が違うということになります。

項目 新幹線 新幹線を除く普通鉄道
公称断面積 110平方ミリメートル以上 85平方ミリメートル以上
電車線の高さ(標準) 5メートル(正しい側で出題) 5メートル
高さの下限(直流) 解釈基準10の対象外 4.4メートル以上
高さの下限(交流) 解釈基準10の対象外 4.57メートル以上
高さの下限(踏切道) 解釈基準10の対象外 4.8メートル以上
電車線の偏い 軌道中心面から300ミリメートル以内(正しい側で出題) 軌道中心面から250ミリメートル以内(正しい側で出題)

偏いだけは、新幹線と新幹線以外で数値が違います。令和5年度1級No.77は「新幹線鉄道は除く」と断ったうえで300ミリメートル以内とした肢を誤りにし、令和8年度1級No.74は同じく新幹線を除く条件で250ミリメートル以内の肢を正しい側に置きました。新幹線の側では300ミリメートル以内が3年度とも正しい側です。

入れ替えられるのは断面積と高さ

断面積と高さは、2年度続けて誤りにされました。

平成30年度 1級 学科 No.65 選択肢2(正答肢)/平成27年度 1級 学科 No.65 選択肢1(正答肢)

(新幹線鉄道について)本線の電車線は、公称断面積85平方ミリメートルの溝付硬銅線とした。(平成30年度)

(新幹線鉄道について)電車線の高さは、レール面上4.4メートルとした。(平成27年度)

どちらも「新幹線鉄道における」と断ったうえで、新幹線以外の数値を当てています。85は新幹線を除く鉄道の値、4.4は直流の下限です。

正しい形は、同じ問題や別の年度に置かれています。

  • 平成27年度の選択肢2 公称断面積110平方ミリメートルの溝付硬銅線(正しい側)
  • 平成30年度の選択肢1 電車線の高さはレール面上5メートルを標準とした(正しい側)
  • 平成28年度の選択肢1 (新幹線を除く)公称断面積85平方ミリメートルの溝付硬銅線(正しい側)

言い換えると、「数値そのものは正しく、当てる相手だけが入れ替わっている」ということです。

例えば、平成27年度と平成30年度はどちらも新幹線を対象にしています。平成27年度は高さに4.4メートルを当てて誤りにし、平成30年度は断面積に85平方ミリメートルを当てて誤りにしました。入れ替える項目を年度ごとに変えているだけです。

先に「新幹線かどうか」を読む 新幹線 公称断面積 110mm2 以上 高さ 5m を標準 偏い 300mm 以内 新幹線を除く普通鉄道 公称断面積 85mm2 以上 高さ 5m を標準・直流 4.4m 以上 交流 4.57m 以上・踏切道 4.8m 以上 右の数値を左に持ち込んだ肢が、その年度の答え 数値そのものは正しい。当てる相手だけが違う
数値の当てはめ先を分けるための模式図です。電車線の構造や張り方を表したものではありません。正しいのは、110が新幹線、85がそれ以外という点です。

まちがえやすいポイント

問題文の1行目に「新幹線鉄道における」と書いてあるかを先に見ます。

平成27年度と平成30年度は新幹線、平成28年度は「ただし、新幹線鉄道は除くものとする」と断っています。同じ数値が、年度によって正しい側にも誤りの側にも回ります

85も110も4.4も5も、どれかが間違いというわけではありません。組み合わせる相手だけが問われています。

混同しやすい語

85と110:85が新幹線を除く鉄道、110が新幹線です。どちらも「以上」で、上限ではありません。

5メートルと4.4メートル:5メートルが標準、4.4メートルは直流の下限です。標準と下限は別のことを言っています。

架空単線式と架空複線式:解釈基準1が挙げる2つの架設方式です。剛体ちょう架式は架空単線式の一種で、断面積の規定からは除かれています。

偏いと勾配:偏いはレール面に垂直の軌道中心面からの左右のずれです。トロリ線の偏位の記事、勾配はトロリ線の勾配の記事で扱っています。

トロリ線に求められる性能:断面積のほかに耐摩耗性や引張り強度も問われます。トロリ線の性能の記事にまとめました。

建築限界:電車線の高さと近い話ですが、限界は別の条文です。車両限界の記事で扱っています。

レールの種類:帰線に使うレールそのものの規格はレールの種類の記事にまとめました。

過去問でどう問われたか

1級で9年度に出ています。根拠はいずれも省令と解釈基準です。

年度・級・問 対象 正答肢の中身 正答肢
平成27年度 1級 学科 No.65 新幹線 電車線の高さ=レール面上4.4メートル 選択肢1
平成28年度 1級 学科 No.65 新幹線を除く シンプルカテナリちょう架式の支持物相互間の距離=80メートル 選択肢2
平成30年度 1級 学科 No.65 新幹線 公称断面積=85平方ミリメートル 選択肢2
平成25年度 1級 学科 No.65 断りなし コンクリート柱の安全率 選択肢1
令和2年度 1級 学科 No.65 断りなし 最高速度90km/hの区間で直接ちょう架式とした 選択肢4
令和3年度 1級 第一次 No.77 新幹線 電車線の偏い=350ミリメートル 選択肢4
令和5年度 1級 第一次 No.77 新幹線を除く 電車線の偏い=300ミリメートル以内 選択肢4
令和6年度 1級 第一次 No.74 新幹線 電車線の勾配=15/1000以下 選択肢1
令和8年度 1級 第一次 No.74 新幹線を除く ちょう架線の引張力に対する安全率2.0 選択肢2

9年度に共通するのは、次の3つです。

  • 問題文の冒頭で新幹線かどうかを断っている年度と、断っていない年度がある
  • 正答肢は数値の当てはめ先の誤りで、数値そのものは実在する
  • 狂わされた項目は年度ごとに違う。断面積・高さ・支持物相互間の距離・偏い・勾配・安全率・ちょう架方式の7つ

新幹線を対象にした4年度では、偏い300ミリメートル以内・断面積110平方ミリメートル・高さ5メートル標準が正しい側で繰り返し出ています。新幹線を除く年度では、断面積85平方ミリメートル・偏い250ミリメートル以内が正しい側です。

理解度チェック

Q.

新幹線の電車線の公称断面積は?

110平方ミリメートル以上です。解釈基準18が「85平方ミリメートル以上(新幹線にあっては、公称断面積110平方ミリメートル以上)」と定めています。

Q.

電車線の高さの標準は?

5メートルです。4.4メートルは直流の下限であって標準ではありません。

Q.

解釈基準10が対象にしている鉄道は?

「普通鉄道(新幹線を除く。)」です。新幹線の問題で4.4メートルを持ち出した肢は、対象そのものが違います。

Q.

断面積の規定から除かれている方式は?

剛体ちょう架式です。解釈基準18が「(剛体ちょう架式のものを除く。)」と断っています。

まとめ

  • 公称断面積は85平方ミリメートル以上、新幹線だけ110平方ミリメートル以上(解釈基準18)。
  • 剛体ちょう架式は、この規定から除かれている。
  • 電車線の高さは5メートルが標準。4.4メートルは直流の下限(解釈基準10)。
  • 解釈基準10の対象は「普通鉄道(新幹線を除く。)」。
  • 電車線の偏いは、新幹線が300ミリメートル以内、新幹線を除く普通鉄道が250ミリメートル以内。数値が違う。
  • 数値そのものは正しく、当てる相手だけが入れ替わる
  • 問題文の冒頭で新幹線かどうかを先に読む。断っていない年度もある。
  • 1級で9年度に出ており、狂わされた項目は断面積・高さ・支持物相互間の距離・偏い・勾配・安全率・ちょう架方式。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成25年度No.65・平成27年度No.65・平成28年度No.65・平成30年度No.65・令和2年度No.65・令和3年度No.77・令和5年度No.77・令和6年度No.74・令和8年度No.74
  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)第41条
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