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ちょう架方式って、毎年出てるよね。
名前が長いうえに似ていて、どれがどれなの?
この記事の要点
直接ちょう架式とは、1本のトロリ線だけからなる架線方式のことです。ちょう架線を持ちません。
ちょう架線を1本足すとシンプルカテナリ、さらに補助ちょう架線を足すとコンパウンドカテナリです。
試験は、このいちばん単純な直接ちょう架式を繰り返し答えにしています。
ちょう架方式は、トロリ線を何本の線で上からつっているかで分かれます。
だから覚えるときも、線の本数が増える順に並べます。
まず、いちばん単純な方式です。
JIS E 2001:2002 電車線路用語 2101(直接ちょう架式[直ちょう式])
1本のトロリ線だけからなる架線方式(付図2.1参照)。
ここにちょう架線が加わると、カテナリちょう架式になります。
同 2103(カテナリちょう架式)/シンプルカテナリ
カテナリちょう架式 1本又は2本のトロリ線が1本以上の(線路方向の)ちょう架線からちょう架されているタイプの架線方式。
シンプルカテナリ 1本のちょう架線と、それによって直接ちょう架されている1本のトロリ線から構成される架線構造。
さらに、ちょう架線をもう一段重ねたものがあります。
同(コンパウンドカテナリ/補助ちょう架線)
コンパウンドカテナリ (主)ちょう架線からちょう架された1本の補助ちょう架線によって1本又は2本のトロリ線がちょう架されているタイプの架線構造。
補助ちょう架線 主ちょう架線からちょう架され、1本又は2本のトロリ線をハンガによって直接ちょう架するちょう架線。
言い換えると、「上から数えて何段でトロリ線に届くか」ということです。
| 方式 | 上からの構成 |
|---|---|
| 直接ちょう架式 | トロリ線1本のみ(ちょう架線なし) |
| シンプルカテナリ | ちょう架線 → トロリ線 |
| コンパウンドカテナリ | (主)ちょう架線 → 補助ちょう架線 → トロリ線 |
直接ちょう架式だけが、ちょう架線を持ちません。名前のとおりです。
線ではなく、固い導体を使う方式もあります。
JIS E 2001:2002 電車線路用語(剛体ちょう架式)
上部に剛性導体を設け、その下部にトロリ線を固定する方式。
例えば、トンネルのように上方向の余裕が小さい区間で使われます。
定義が示しているのは構造だけです。速度や事故への強さは、出題の側で問われます。
き電線とちょう架線を兼ねる方式には、専用の名前が付いています。
平成29年度 1級 学科試験No.44 選択肢4(正しい側・公表正答は3)
き電線とちょう架線を兼用したちょう架方式を、き電ちょう架式という。
き電線を兼用するのは、き電ちょう架式です。直接ちょう架式ではありません。この年度で答えになったのは「パンタグラフの離線防止のため、ちょう架線とトロリ線間にコネクタを増設する」で、コネクタを増設する目的は離線防止ではなく電位差の発生防止です。
同じ問の「シンプル式では、ちょう架線からハンガによってトロリ線をちょう架する」は正しい側に置かれています。
令和6年度 2級 第一次検定(前期)No.49(公表正答2)
「ちょう架線とトロリ線の間に補助ちょう架線をドロッパで吊り下げ、補助ちょう架線からハンガでトロリ線を吊り下げた方式。」
答えはコンパウンドカテナリ式です。上から数えて何段でトロリ線に届くかが分かっていれば選べます。
令和5年度 2級 第一次検定(後期)No.30(公表正答4)
電車線の架設方式のうち、架空単線式に該当する方式として、不適当なもの → サードレール式
カテナリちょう架式・直接ちょう架式・剛体ちょう架式の3つは、いずれも架空単線式に入ります。サードレール式だけが、線路の横に置いた導体から集電する別の方式です。
混同しやすい語
ちょう架線と補助ちょう架線:ちょう架線はトロリ線を直接又は間接にちょう架する線路方向のより線、補助ちょう架線は主ちょう架線からちょう架されてトロリ線をハンガでつる線です。
直接ちょう架式とき電ちょう架式:直接ちょう架式の定義はトロリ線1本だけです。き電線を絡めた説明は、この方式の定義ではありません。
ハンガとドロッパ:出題では、シンプルカテナリでトロリ線をつるのがハンガ、コンパウンドカテナリで補助ちょう架線をつるのがドロッパとして書き分けられています。
この論点は1級で4年度・4問、2級で6年度・7問出ています。引っかけは大きく4つです。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 答えになった肢 |
|---|---|---|
| 令和7年度 1級 第一次 No.40 | ちょう架方式の記述、最も不適当なもの | 直接ちょう架式は、き電線にちょう架線を兼用させた方式である ←① |
| 令和2年度 1級 学科 No.44 | 同じテーマ、誤っているもの | 直接ちょう架式とは、き電線から直接ハンガでトロリ線がつり下げられた方式である ←① |
| 令和7年度 2級 第一次(後期)No.28 | 大容量区間の本線に用いるもの、最も不適当なもの | 直接ちょう架式 ←② |
| 令和2年度 2級 学科(後期)No.31 | 速度100km/h以上の区間に用いるもの、不適当なもの | 直接ちょう架式 ←② |
| 令和4年度 1級 第一次 No.43 | カテナリちょう架式と比べた剛体ちょう架式の特徴、最も不適当なもの | 剛体ちょう架式は高速運転に適している |
この表の5問のうち4問が直接ちょう架式で決まっています。定義がいちばん短い方式が、いちばんよく答えになります。
大容量区間を聞く形は、ほかに2年度あります。平成28年度2級No.31は「最も適当なもの」を選ばせてコンパウンドカテナリ式が答え(公表正答4)。令和元年度2級(前期)No.31は「最も不適当なもの」で、き電ちょう架式・ツインシンプルカテナリ式・シンプルカテナリ式・コンパウンドカテナリ式の4つが並んでいます。
令和7年度2級(後期)No.49では、図に示した部材の名称を選ばせる形でコンパウンドカテナリ式の構成が問われました。
直接ちょう架式はトロリ線1本だけ。き電線が出てきたら別の話です。
ちょう架方式の肢は、次の順に見ます。
直接ちょう架式とはどんな方式か?
1本のトロリ線だけからなる架線方式です。ちょう架線を持ちません。
シンプルカテナリとコンパウンドカテナリの違いは何か?
補助ちょう架線の有無です。コンパウンドカテナリは(主)ちょう架線から補助ちょう架線をちょう架し、それがトロリ線をちょう架します。
剛体ちょう架式はJISでどう定義されているか?
上部に剛性導体を設け、その下部にトロリ線を固定する方式です。
参考資料
※ この記事の規格・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
各方式が高速運転に向くかどうか、大容量の区間に使えるかどうかは、JIS E 2001の定義には置かれていません。
定義に書かれているのは構成だけで、どの区間に使うかは出題の側で問われます。令和4年度1級第一次検定No.43では「剛体ちょう架式は高速運転に適している」が最も不適当とされました(公表正答1)。同じ問の「断線事故を軽減できる」「トンネル断面を小さくすることができる」「曲線引装置又は振止装置が不要である」は正しい側です。