令和5年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.77は、架空単線式の電車線路に関する記述として、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令及び同省令等の解釈基準」上、誤っているものを選ぶ問題です。新幹線鉄道は除くという条件が付いています。
この問題は、偏いの限度が新幹線とそれ以外で違うことを分かっているかを問うものです。新幹線以外は250mm以内、新幹線は300mm以内です。
問題文の「新幹線鉄道は除く」が効いています。
正解:選択肢4(300mm以内とした)
> この論点をやさしく解説:トロリ線の偏位とは?ジグザグ偏位の目的と最大偏位量の基準
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 本線のトロリ線を85mm²のみぞ付硬銅 | 在来線の標準。正しい |
| 2 | カテナリちょう架式のハンガ間隔5m | 5m程度が標準。正しい |
| 3 | 剛体ちょう架式の支持点間隔7m以下 | たわみが小さい。正しい |
| 4 | 偏いを300mm以内とした | 250mm以内。誤り |
誤っているのは選択肢4です。
引っかけの核心は、300mmという値が新幹線では正しい値なので、条文で見た覚えがあるところです。問題文の冒頭にある「ただし、新幹線鉄道は除くものとする」を読み落とすと引っかかります。
| 対象 | 偏いの限度 | 理由 |
|---|---|---|
| 新幹線以外(在来線) | 250mm以内 | この問題の条件 |
| 新幹線 | 300mm以内 | 別の値が定められている |
偏いとは、レール中心に対するトロリ線の左右の偏りです。直線区間ではわざとジグザグに振って、パンタグラフのすり板が一点だけ削れないようにします。
この2つの値は、過去問で別々に確定しています。
| 出題 | 対象と値 | 公表正答から分かること |
|---|---|---|
| 令和8年度 1級 No.74 | 新幹線を除く/250mm | 正答は2。この肢は正しい |
| 令和6年度 1級 No.74 | 新幹線/300mm | 正答は1。この肢は正しい |
令和8年度はこの令和5年度と同じ「新幹線鉄道は除く」という条件で、そこでは250mmが正しい肢でした。令和6年度は新幹線が対象で、300mmが正しい肢です。
新幹線のほうが値が大きいのは、車両の幅も軌道の幅も大きいためです。パンタグラフのすり板も長くなるので、より広く振っても外れません。
選択肢1のトロリ線は、断面積の違いです。
| 対象 | 本線の公称断面積 |
|---|---|
| 新幹線以外 | 85mm² |
| 新幹線 | 110mm² |
ここも新幹線のほうが大きい値です。速度が高く電流も大きいので、太い電線が要ります。
選択肢2と3は、ちょう架方式ごとの支持の間隔です。
| 方式 | 支える間隔 | 特徴 |
|---|---|---|
| カテナリちょう架式 | ハンガ間隔5m | ちょう架線からハンガでトロリ線をつるす |
| 剛体ちょう架式 | 支持点間隔7m以下 | アルミの剛体にトロリ線を固定。地下鉄で使う |
剛体ちょう架式は硬い部材でトロリ線を支えるので、たわみません。トンネルの断面を小さくできるので、地下鉄で使われます。
新幹線以外の架空単線式で、トロリ線の偏いの限度は。
レール面に垂直の軌道中心面から250mm以内です。新幹線では300mm以内と別に定められています。
新幹線の偏いの限度が在来線より大きいのはなぜか。
車両の幅も軌道の幅も大きく、パンタグラフのすり板が長いためです。広く振っても外れません。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月