令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.40は、電気鉄道におけるトロリ線の摩耗に関する記述として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、離線したときに何が起きるかを分かっているかを問うものです。パンタグラフがトロリ線から離れると、その隙間にアークが飛びます。
アークの熱で削れるので、これは電気的摩耗です。
正解:選択肢4(離線による摩耗は機械的摩耗である)
> この論点をやさしく解説:トロリ線に要求される性能とは?耐摩耗性・引張り強度と摩耗の2分類を整理
> この論点をやさしく解説:パンタグラフの離線とは?硬点を減らす理由と防止対策の整理
| 選択肢 | 内容 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | 電気的摩耗と機械的摩耗がある | 2つに分かれる。適当 |
| 2 | パンタグラフの数にほぼ比例 | こすられる回数。適当 |
| 3 | 局部的な硬点を少なくする | 離線を減らす。適当 |
| 4 | 離線による摩耗は機械的摩耗 | アークによる電気的摩耗。不適当 |
不適当なのは選択肢4です。
引っかけの核心は、離線がパンタグラフの動きによって起きる現象なので、機械の側の話に見えるところです。離れること自体は機械的ですが、削るのは離れた瞬間に飛ぶアークです。
トロリ線の摩耗は2つに分かれます。
| 種類 | 削る原因 | 起きるとき |
|---|---|---|
| 機械的摩耗 | こすれ | パンタグラフのすり板が接したまま滑るとき |
| 電気的摩耗 | アークの熱 | 離線したとき、隙間に電流が飛んで金属が溶ける |
電流が流れている状態で接触が切れると、その隙間の空気が絶縁破壊を起こしてアークになります。アークの温度は数千度に達し、触れている部分の銅が溶けて失われます。こすれによる摩耗より局所的で、深い傷になります。
だから離線を減らすことが、そのまま摩耗を減らすことになります。選択肢3の硬点を少なくするのは、この考え方に沿った対策です。
硬点とは、トロリ線の中で押し上げにくい場所のことです。金具の付いている箇所や接続箇所は硬くなっていて、パンタグラフが通るとそこで跳ね返され、その先で浮き上がって離れます。
離線を防ぐ対策は繰り返し出ています。平成28年度と平成30年度の2級 No.43では、離線防止対策として「トロリ線の硬点を多くする。」が不適当とされました(公表正答はどちらも1)。令和4年度前期 2級 No.51では「トロリ線の硬点を少なくする。」が正しい選択肢として置かれています(公表正答は1)。硬点は少なくするのが正解です。
ほかの離線防止対策には、トロリ線の勾配変化を少なくする、接続箇所を少なくする、架線張力を適正に保つ、架線金具を軽くする、といったものがあります。いずれもパンタグラフが線から離れにくくするための工夫です。
選択肢2は摩耗の量の話です。1回通るたびに少しずつ削れるので、通る数が2倍になれば摩耗も約2倍になります。運転本数の多い区間ほどトロリ線の交換が早くなります。
離線によるトロリ線の摩耗はどちらに分類されるか。
電気的摩耗です。離れた隙間にアークが飛び、その熱で銅が溶けて失われます。
トロリ線の硬点は多くするか、少なくするか。
少なくします。硬点があるとパンタグラフが跳ね返されて離線し、アークによる摩耗が増えます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月