令和6年度 1級電気工事施工管理技士 第一次検定 No.41は、直流電気鉄道の変電所を構成する機器として、最も不適当なものを選ぶ問題です。
この問題は、スコット結線変圧器が何のためのものかを分かっているかを問うものです。スコット結線は交流電気鉄道で三相を二相に変えるための変圧器です。
直流の変電所では使いません。
正解:選択肢3(スコット結線変圧器)
| 選択肢 | 機器 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | シリコン整流器 | 交流を直流に変える。適当 |
| 2 | 直流高速度遮断器 | 直流の事故電流を速く切る。適当 |
| 3 | スコット結線変圧器 | 交流電気鉄道の三相二相変換用。不適当 |
| 4 | 回生インバータ | 回生電力を交流側へ戻す。適当 |
不適当なのは選択肢3です。
引っかけの核心は、変圧器なら直流の変電所にもあるだろうと考えてしまうところです。直流変電所にも変圧器はありますが、それは三相のまま電圧を下げるふつうの変圧器です。三相二相変換をする必要はありません。
スコット結線は、三相の電源から位相が90度ずれた2つの単相を取り出す結線です。交流電気鉄道では、き電線に単相を送るため三相のままでは使えません。そのまま1相だけ取ると電力系統の三相が不平衡になるので、2つの単相に分けて負荷を分散させます。
| 方式 | 変電所で行う変換 | 主な機器 |
|---|---|---|
| 直流 | 交流から直流へ | 整流器用変圧器、シリコン整流器、直流高速度遮断器、回生インバータ |
| 交流 | 三相から二相(単相)へ | スコット結線変圧器、変形ウッドブリッジ結線変圧器、交流遮断器 |
平成25年度 No.45は「交流電気鉄道のき電用変圧器に採用される三相二相変換変圧器として、不適当なものはどれか。」という問題で、スコット結線変圧器は不適当とされませんでした(公表正答は3のスター・スター・デルタ結線変圧器)。スコット結線は交流電気鉄道の側の機器です。
選択肢1のシリコン整流器は、直流変電所の中心になる機器です。交流で送られてきた電気を直流に変えて、き電線へ送ります。
選択肢2の直流高速度遮断器は、直流の事故電流を切るための遮断器です。直流には電流がゼロになる瞬間がないので消弧が難しく、電流が大きくなりきる前に切ってしまうという考え方で作られています。数ミリ秒で動作します。
選択肢4の回生インバータは、電車がブレーキをかけたときに発生する電力を扱う機器です。回生電力は近くを走る別の電車が使いますが、周りに電車がいないと行き場がなくなります。そのとき回生インバータが直流を交流に戻し、電力系統へ送り返します。整流器と向きが逆の働きです。
スコット結線変圧器は何のために使うか。
交流電気鉄道で三相を二相に変換し、単相のき電線へ送るためです。直流の変電所では使いません。
回生インバータの役目は何か。
電車のブレーキで発生した回生電力を交流に戻し、電力系統へ送り返すことです。近くに使う電車がいないときに働きます。
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月