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パンタグラフの離線とは?硬点を減らす理由と防止対策の整理

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離線って、何のこと?

硬点っていう言葉も、増やすの?減らすの?

この記事の要点

離線とは、走行中にパンタグラフがトロリ線から離れてしまうことです。

離れると、その隙間にアークが飛びます。離線による摩耗は電気的摩耗で、トロリ線もすり板も傷みます。電気の供給も途切れます。

だから離線防止は、電車線が上下に動きやすい状態を保つ方向で手を打ちます。硬点を減らすのはその一つです。

離線を防ぐ手は、電車線がパンタグラフに付いていけるようにする、という一点に集まっています。

硬点も勾配も張力も、すべてこの一点から説明がつきます。

離線とは何か

電車は、屋根の上のパンタグラフを架線に押し当てて電気を取り込みながら走ります。

パンタグラフはばねで上向きに押し上げられていて、トロリ線に触れ続けます。ところが線路側に動きにくい箇所があると、パンタグラフが持ち上げても電車線がついてこられません。

このとき、パンタグラフとトロリ線が一瞬離れます。これが離線です。

離れた隙間には電流が流れ続けようとしてアークが飛びます。離線による摩耗は、機械的摩耗ではなく電気的摩耗です。

つまり離線は、電気が途切れるだけでなく、トロリ線とすり板の両方を焼いて減らします。だから防ぐ必要があります。

硬点で離線が起きるしくみ(模式図) ちょう架線 トロリ線 硬点 (動きにくい) パンタグラフ 離れるとアーク 走行方向 →
硬点でトロリ線が追従できず、パンタグラフが離れる様子をイメージでつかむための模式図です。形・寸法・たわみの量は実物どおりではありません。正しいのは、硬点の位置で電車線が下がりにくく、そこでパンタグラフとの間に隙間ができるという関係だけです。

硬点という用語の意味

離線防止でいちばんよく出てくるのが硬点です。用語の定義は日本産業規格にあります。

JIS E 2001:2002 電車線路用語 2508(硬点)

振止パイプ付近などで,架空電車線における上下方向弾性が低い点。

ここでいう上下方向弾性は、同じ規格の2507で「垂直面内における単位荷重に対するトロリ線の変位量」と定義されています。

言い換えると、「その一点だけ電車線がたわみにくくなっている場所」ということです。

例えば、金具が集まって重くなった箇所では上下方向に動きにくくなり、パンタグラフが押し上げても電車線が追従しにくくなります。

硬点という語は「硬い=しっかりしていて良い」という印象を与えますが、規格の定義は弾性が低い点です。動きにくい点なので、増やす対策にはなりません。

離線を防ぐために確認する5つのこと

出題で正しい側に置かれた対策を並べると、次のようになります。

対策 何を抑えるためか
硬点を少なくする たわみにくい点をなくし、電車線が上下に動けるようにします
接続箇所を少なくする 金具が集まる箇所を減らします。接続部は重くなり、硬点になります
勾配変化を少なくする トロリ線の高さが急に変わる箇所をなくします。パンタグラフが追いつけません
架線張力を適正に保持する たるみを抑えます。張力を下げる方向は誤りとされています
架線金具を軽くする 重い金具はその位置を動きにくくし、硬点をつくります

5つとも向きは同じです。電車線を、軽く・なめらかに・張った状態にするということです。

張力を一定に保つ装置も規格に定義があります。

JIS E 2001:2002 電車線路用語(張力調整装置/自動張力調整装置)

張力調整装置 電線の張力を調整できる装置。

自動張力調整装置 ある温度の範囲内では,自動的に電線の張力を一定に維持する張力調整に用いられる装置。

電車線は気温で伸び縮みします。夏に伸びてたるめば離線しやすくなるので、温度が変わっても張力を保つ装置を使います。

径間中央の高さとプレサグ

支持点と支持点の間で、トロリ線の高さをどうするのかも論点になります。

規格には、あらかじめ下げておくことを指す用語が置かれています。

JIS E 2001:2002 電車線路用語 2510・2511

(トロリ線の)サグ トロリ線の支持点の高さと径間中央点の高さとの差。

(トロリ線の)プレサグ 建設中にトロリ線に計画的に与えられたサグの初期値。

サグは、径間中央が支持点より下がっている量です。プレサグは、それを建設のときにわざと与えておくものです。

規格が用語として置いているのは、径間中央を下げる側です。支持点より径間中央を高くする、という向きではありません。

過去問でどう問われたか

2級で3年度出ています。引っかけは大きく2つです。

  • ①増減を逆にする:硬点を多くすると書きます。
  • ②張力を下げる向きにする:適正に保持するのではなく、下げると書きます。
年度・級・問 誤りとされた記述
平成28年度 2級 学科No.43 トロリ線の硬点を多くする ←①
平成30年度 2級 学科(後期)No.43 トロリ線の硬点を多くする ←①
令和4年度 2級 第一次(前期)No.51 トロリ線の張力を下げる ←②

平成28年度と平成30年度は、4肢がまったく同じでした。硬点の肢だけを覚えていれば両方解けます。

令和4年度は、硬点の肢が正しい側へ移り、代わりに張力の肢が答えになりました。

硬点は減らす。張力は保つ。金具は軽くします。

まちがえやすいポイント

硬点を減らすのは離線の対策であって、温度上昇の対策ではありません。

令和5年度1級No.43は「トロリ線の温度上昇対策」を問い、「トロリ線の硬点を少なくする」を最も不適当な肢としました。離線防止の問題では正しい側に置かれる同じ文が、温度上昇の問題では答えになります。

離線そのものが主題になった年度もあります。令和6年度1級No.40は「トロリ線の摩耗」を問い、選択肢4の「パンタグラフとトロリ線の離線による摩耗は、機械的摩耗である」が最も不適当な肢とされました。離線が起きるとそこでアークが飛ぶので、摩耗の種類は電気的摩耗のほうです。同じ問の選択肢3「摩耗の軽減策として、トロリ線の局部的な硬点を少なくする」は正しい側で、こちらは離線防止と同じ向きになります。

文だけを覚えると取り違えます。何の対策を聞かれているのかを先に読みます。

混同しやすい語

サグとプレサグ:サグは支持点と径間中央点の高さの差、プレサグは建設のときに計画的に与えておくサグの初期値です。どちらも径間中央が下がる側の量です。

張力調整装置と自動張力調整装置:後者は、ある温度の範囲内で自動的に張力を一定に保つものです。電車線は気温で伸び縮みするため、温度が変わっても張力が保てます。

電気的摩耗と機械的摩耗:離線でアークが飛んで減るのが電気的摩耗、パンタグラフがこすって減るのが機械的摩耗です。離線による摩耗を機械的摩耗とした肢は誤りとされています。

理解度チェック

Q.

硬点とはどんな点か?

振止パイプ付近などで、架空電車線における上下方向弾性が低い点です。

Q.

離線を防ぐには、硬点をどうするか?

少なくします。多くすると書いた肢は2年度とも誤りとされています。

Q.

自動張力調整装置は何をする装置か?

ある温度の範囲内では、自動的に電線の張力を一定に維持する装置です。

まとめ

  • 離線=走行中にパンタグラフがトロリ線から離れること。離線による摩耗は電気的摩耗で、アークがトロリ線とすり板を焼く。
  • 硬点=上下方向弾性が低い点(JIS E 2001 2508)。離線防止では少なくする。「多くする」は2年度とも誤り。
  • 張力は適正に保持する。下げると書けば誤り。気温で伸び縮みするので、自動張力調整装置で一定に保つ。
  • 対策は5つ=硬点を少なく/接続箇所を少なく/勾配変化を少なく/架線張力を適正に/架線金具を軽く。向きはすべて「軽く・なめらかに・張った状態に」。
  • サグは支持点と径間中央点の高さの差、プレサグは建設時に計画的に与えるサグの初期値。規格が置いているのは径間中央を下げる側の用語。
  • 硬点を減らすのは離線の対策。温度上昇の対策としては誤りにされている。

参考資料

  • JIS E 2001:2002 電車線路用語 2507(上下方向弾性)・2508(硬点)・2510(トロリ線のサグ)・2511(トロリ線のプレサグ)・張力調整装置・自動張力調整装置
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成28年度・平成30年度(後期)・令和4年度(前期)
  • 同「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」令和5年度・令和6年度
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