電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

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車両限界とは?建築限界・緩和曲線・縦曲線を省令の定義で読み分ける

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限界と曲線がまとめて並ぶと、どれがどれの説明なの?

緩和曲線と縦曲線も、言われてみればどっちも曲線だし…。

この記事の要点

車両限界とは、車両がはみ出してはならない寸法の枠のことです。重量の限界ではありません。

建築限界は、その外側に取る枠で、建造物を置いてはならない範囲を指します。

緩和曲線は直線と円曲線の間に入れる平面の曲線、縦曲線はこう配が変わる箇所に入れる縦断の曲線です。この2つを入れ替えた肢が出ます。

この4語は、1級で繰り返し出ています。

誤らせ方は2通りしかありません。車両限界を重量の話にするか、緩和曲線に縦曲線の説明を当てるかです。

車両限界と建築限界は何を制限しているか

どちらも省令に条文があります。

鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)第64条・第20条

第64条(車両限界) 車両は、車両限界を超えてはならない。ただし、構造上の理由により車両限界を超えなければ使用することができない装置及び排障器、クレーンその他これに類するものは、車両の安全な走行を確保することができる範囲において、車両限界を超えることができる。

第20条(建築限界)第1項 直線における建築限界は、車両の走行に伴って生ずる動揺等を考慮して、車両限界との間隔が、車両の走行、旅客及び係員の安全に支障を及ぼすおそれのないよう定めなければならない。

第20条第3項 曲線における建築限界は、車両の偏いに応じ、前二項における建築限界を拡大し、かつ、カントに伴い傾斜させたものでなければならない。

第20条第4項 建築限界内には、建物その他の建造物等を設けてはならない。

第64条は「車両は超えてはならない」と書いています。超えられるかどうかを判定する相手は、排障器やクレーンといった車両から出っ張る部品です。つまり寸法の話です。

重量のほうは別の条にあります。第92条第1項が「車両には、当該車両の最大積載量を超えて物を積載してはならない」と定めており、こちらが積む量の制限です。

2つの限界の関係は次のとおりです。

  • 車両限界 車両が超えてはならない枠
  • 建築限界 その外側に取る枠で、建造物を置いてはならない範囲
  • 曲線部では、車両が内外にずれる分だけ建築限界を拡大する

入れ替えられるのは寸法と重量

2年度とも、車両限界を重量の話にした肢が正答肢でした。

令和2年度 1級 学科試験 No.54 選択肢1/令和6年度 1級 第一次 No.50 選択肢2(いずれも正答肢)

車両限界は、線路の負担力を超えてはならない車両重量の限界である。(令和2年度)

車両限界とは、線路の負担力を超えてはならない車両重量の限界のことである。(令和6年度)

語尾以外は同じ文です。「線路の負担力」「車両重量」という2語が入っていれば、そこが答えになります。

一方、建築限界のほうは正しい側で出ます。

令和6年度 1級 第一次 No.50 選択肢1/平成30年度 1級 No.54 選択肢3(いずれも正しい側)

建築限界とは、建造物の構築を制限した軌道上の限界のことである。

線路の曲線部では、車両の中心部が内側に、端部が外側にずれることから建築限界が拡大する。

同じ定義文は2級にも出ています。平成29年度 2級 No.37の選択肢2は「建築限界とは、建造物の構築を制限した軌道上の限界である」、令和4年度 2級(後期)No.36の選択肢2は「建築限界とは、建造物の構築を制限した軌道上の限界のことをいう」で、どちらも正しい側です。どちらの問も「鉄道線路及び軌道構造に関する記述」を問う形で、答えは平成29年度が選択肢4の「軌間とは、直線区間における左右のレール中心線の間隔である」、令和4年度が選択肢4の「スラブ軌道とは、道床バラストを用いた軌道のことをいう」でした。規格の呼び方は年度で違い、平成29年度は日本工業規格、令和4年度は日本産業規格です。

どちらも省令第20条とそのまま重なります。第4項が「建築限界内には、建物その他の建造物等を設けてはならない」、第3項が「曲線における建築限界は、車両の偏いに応じ…拡大し」です。

緩和曲線と縦曲線はどこに入れるか

この2つも省令に条文があり、入れる場所が違います

鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第17条・第19条

第17条(緩和曲線) 直線と円曲線との間及び二つの円曲線の間には、車両の構造、カント量、運転速度等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、緩和曲線を挿入しなければならない。

第19条(縦曲線) こう配が変化する箇所には、列車の運転速度、車両の構造等を考慮し、車両の安全な走行に支障を及ぼすおそれのないよう、縦曲線を挿入しなければならない。

緩和曲線は「直線と円曲線との間」、縦曲線は「こう配が変化する箇所」です。前者は平面で見た曲がり、後者は縦断で見た曲がりにあたります。

入れる場所が違う 緩和曲線(平面で見る) 直線 緩和曲線 円曲線 直線と円曲線との間に入れる 縦曲線(縦断で見る) 上りこう配 縦曲線 水平 こう配が変化する箇所に入れる =鉛直面内の曲線 右の説明を「緩和曲線」に当てた肢が、その年度の答え
入れる場所の違いをつかむための模式図です。曲線の長さや半径の比を表したものではありません。正しいのは、緩和曲線が直線と円曲線の間、縦曲線がこう配の変化する箇所に入るという点です。

出題は、この2つを入れ替えてきます。

平成29年度 1級 No.54 選択肢3/令和7年度 1級 第一次 No.50 選択肢1(いずれも正答肢)

緩和曲線とは、こう配変更箇所に設けられる鉛直面内の曲線をいう。(平成29年度)

緩和曲線とは、勾配変更箇所に設けられる鉛直面内の曲線のことをいう。(令和7年度)

どちらも中身は縦曲線の説明です。省令第19条の「こう配が変化する箇所」と重なっています。

言い換えると、「緩和曲線の説明にこう配が出てきたら、それは縦曲線の説明」ということです。

例えば、令和2年度1級No.54では、縦曲線が正しい側の選択肢2に置かれました。「縦曲線は、こう配変更点の前後に設けられ、こう配変化を滑らかにするための曲線である」という書き方です。同じ説明が、年度によって正しい側にも誤りの側にも回されます

用語 省令の条 何を定めているか 出題での誤らせ方
車両限界 第64条 車両が超えてはならない寸法の枠 重量の限界にする
建築限界 第20条 建造物を置いてはならない範囲。曲線部では拡大する 正しい側で出る
緩和曲線 第17条 直線と円曲線との間、2つの円曲線の間に入れる 縦曲線の説明を当てる
縦曲線 第19条 こう配が変化する箇所に入れる 正しい側で出る

まちがえやすいポイント

誤りにされるのは、いつも車両限界と緩和曲線の2つです。

建築限界と縦曲線は、調べたかぎりどの年度でも正しい側に置かれていました。逆に言えば、この2語が出てきた肢は読み飛ばして構いません。

見るのは次の2点だけです。

  • 車両限界の説明に重量負担力が出てきたら誤り
  • 緩和曲線の説明にこう配鉛直面内が出てきたら誤り

混同しやすい語

車両限界と建築限界:車両限界の外側に建築限界を取ります。省令第20条第1項が「車両限界との間隔」と書いています。

緩和曲線と縦曲線:緩和曲線は平面、縦曲線は縦断です。どちらも「滑らかにつなぐ」働きは同じなので、説明だけ読むと区別できません。

カントとスラック:曲線部で外側レールを上げるのがカント、軌間を広げるのがスラックです。カントとスラックの記事にまとめました。

緩和曲線と平面性変位:緩和曲線中はカントを付けていく途中なので、構造的な平面性変位があります。軌道変位の記事で扱っています。

伸縮継目とロングレール:令和2年度の選択肢4は伸縮継目でした。ロングレールの記事にまとめています。

レール鋼の炭素量:平成30年度・令和7年度の肢に出ます。レール摩耗の記事で扱っています。

道床の厚さ:平成30年度の選択肢1に出ます。厚みやまくらぎの間隔をどちらへ動かすかは軌道の速度向上策の記事にまとめました。

過去問でどう問われたか

4年度分を並べます。

年度・級・問 正答肢に置かれた説明 正答肢
平成29年度 1級 学科 No.54 緩和曲線=こう配変更箇所の鉛直面内の曲線 選択肢3
令和2年度 1級 学科試験 No.54 車両限界=線路の負担力を超えない車両重量の限界 選択肢1
令和6年度 1級 第一次 No.50 車両限界=線路の負担力を超えない車両重量の限界 選択肢2
令和7年度 1級 第一次 No.50 緩和曲線=勾配変更箇所の鉛直面内の曲線 選択肢1

4年度に共通するのは、次の3つです。

  • 問われ方は「最も不適当なもの」を選ばせる形
  • 正答肢は車両限界か緩和曲線のどちらか
  • 誤らせ方は2年度ずつ同じ文を使い回している

理解度チェック

Q.

車両限界は何の限界か?

寸法の限界です。省令第64条が「車両は、車両限界を超えてはならない」と定め、排障器やクレーンなど車両から出っ張る部品を例外として挙げています。重量の制限は第92条第1項の最大積載量です。

Q.

緩和曲線はどこに入れるか?

直線と円曲線との間、および2つの円曲線の間です(省令第17条)。

Q.

「こう配変更箇所に設けられる鉛直面内の曲線」はどの用語の説明か?

縦曲線です(省令第19条)。この説明を緩和曲線に当てた肢が、2年度とも正答肢になりました。

Q.

曲線部で建築限界が拡大するのはなぜか?

車両の中心部が内側に、端部が外側にずれるからです。省令第20条第3項も「車両の偏いに応じ…拡大し、かつ、カントに伴い傾斜させたもの」と定めています。

まとめ

  • 車両限界は寸法の枠。省令第64条「車両は、車両限界を超えてはならない」。
  • 重量の制限は第92条第1項の最大積載量で、別の条にある。
  • 建築限界は車両限界の外側に取る枠。曲線部では拡大する(第20条第3項)。
  • 緩和曲線は直線と円曲線の間(第17条)、縦曲線はこう配が変化する箇所(第19条)。
  • 誤りにされるのは車両限界と緩和曲線の2つだけ。建築限界と縦曲線は正しい側で出る。
  • 車両限界に「重量」「負担力」、緩和曲線に「こう配」「鉛直面内」が出てきたら、そこが答え。

参考資料

  • JIS E 1001:2001「鉄道-線路用語」(用語「車両限界」「建築限界」「緩和曲線」「縦曲線」)
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成29年度1級・平成29年度2級・平成30年度1級・令和2年度1級・令和4年度2級(後期)・令和6年度1級・令和7年度1級
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