電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 関連分野
  3. > カントとスラック

カントとスラックはどちらが高低差か?曲線部で入れ替えられる2つの定義を分ける

T

T

カントとスラックって、どっちも曲線部の話だから混ざる…。

どっちが高低差で、どっちが軌間を広げるほうなの?

この記事の要点

カントとは、曲線部における、外側レールと内側レールとの高低差のことです。上下方向の差です。

スラックは、曲線部において軌間を拡大する量です。左右方向の広げ幅です。

試験は、この2つの定義をそっくり入れ替えて出してきます。

曲線部でレールに加える調整は、上下の差と左右の広げ幅の2つに分かれます。

だから覚えるときも、どちらの向きの話かで分けます。

カントとスラックの定義

どちらも日本産業規格に定義があります。

JIS E 1001:2001 鉄道-線路用語(カント)

曲線部における,外側レールと内側レールとの高低差。

同(スラック)

曲線部において軌間を拡大する量。

言い換えると、次の対比になります。

用語 向き 何を調整するか
カント 上下 外側レールと内側レールの高低差
スラック 左右 軌間を拡大する量

カントは長さで表します。左右レールの傾き具合を角度で表すものではありません。

スラックを付けるのは、台車の車輪の間隔が決まっているからです。曲線では輪軸が半径の向きを向けず、車輪のつばがレールに強く当たります。軌間を少し広げると、この当たりが弱くなります。

なお、軌間そのものの定義は次のとおりです。

同(軌間)

軌道中心線が直線である区間におけるレール面上から下方の所定距離以内における左右レール頭部間の最短距離。

上下の差がカント、左右の広げ幅がスラック カント(断面で見る) 内側レール 外側レール 高低差 単位は長さ(角度ではない) スラック(平面で見る) 直線区間の軌間 曲線部の軌間 拡大した分がスラック
カントは断面の高低差、スラックは平面の軌間の拡大量(定義=JIS E 1001:2001)

カントはどんなときに大きくなるか

カントは、曲線を通過する車両が外方向へ転倒することを防ぐために付けます。

大小関係は2つあります。

  • 曲線半径が同じなら、運行速度が速いほどカントは大きくなります。
  • 運行速度が同じなら、曲線半径が小さいほどカントは大きくなります。

曲線半径は「小さいほど大きい」です。急なカーブほど傾けるという向きです。

まちがえやすいポイント

「半径が大きいほどカントは大きい」と書かれていたら誤りです。

半径が大きい曲線はほとんど直線に近く、傾ける必要が小さくなります。

ただし、大きく付ければよいものでもありません。カントは速く走る前提で決めるので、その曲線で列車が止まると、内側へ傾いたままになります。

緩和曲線ではどう変化するか

カントとスラックは、曲線に入った瞬間に付くものではありません。

同(緩和曲線)

直線と曲線との間などに設けられ,半径,カント,スラックが連続的に変化する曲線。

例えば、直線から曲線へ入る手前に緩和曲線を置き、そこで半径・カント・スラックの3つを少しずつ変えていきます。

この定義文には、カントとスラックが並んで出てきます。2語がセットで扱われる根拠は、ここにあります。

緩和曲線に別の曲線の定義を貼る形が2年度

この緩和曲線の定義そのものが、2年度で貼り替えられました。

平成29年度 1級 学科試験No.54(公表正答3)/令和7年度 1級 第一次検定No.50(公表正答1)

緩和曲線とは、こう配変更箇所に設けられる鉛直面内の曲線をいう。(平成29年度)

緩和曲線とは、勾配変更箇所に設けられる鉛直面内の曲線のことをいう。(令和7年度)

貼られたのは、規格に実在する別の語の定義です。

同(縦曲線)

こう配変更箇所に設けられる鉛直面内の曲線。

こう配が変わる所に設ける鉛直面内の曲線は、縦曲線です。緩和曲線は水平方向の話、縦曲線は鉛直方向の話で、向きが違います。2年度とも同じ貼り替えで、言い回しが「こう配」と「勾配」に変わっただけです。

最大カントは3年度とも正しい側

カントの仲間で、正しい定義のまま置かれ続けている語もあります。

  • 平成30年度 1級 学科試験No.54(公表正答1) 最大カントは、列車が曲線中で停車しても転倒しないように安全率を考慮したものである
  • 令和4年度 1級 第一次検定No.53(公表正答4) 最大カントとは、列車がカントの付いた曲線線路上で停車しても転倒しないように安全率を考慮したものである
  • 令和7年度 1級 第一次検定No.50(公表正答1) 同上

スラックも、令和元年度1級学科試験No.54と令和4年度1級第一次検定No.53で「曲線部において、車輪を円滑に通過させるための軌間の拡幅」として正しい側に置かれています。

この2語は、貼り替えの材料ではなく正しい肢の側で使われています。誤りになるのは、カントとスラックを入れ替えたときと、緩和曲線に縦曲線の定義を当てたときです。

混同しやすい語

カントとスラック:高低差がカント、軌間の拡大がスラックです。上下と左右で分けます。

スラックと軌間:軌間は直線区間での左右レール頭部間の最短距離そのもの、スラックはそれを曲線部で広げる量です。

最大カント:3年度とも「列車がカントの付いた曲線線路上で停車しても転倒しないよう安全率を考慮したもの」として正しい肢に置かれています。JIS E 1001には最大カントの項目が無く、この説明は出題の側から確かめられます。

緩和曲線と縦曲線:半径・カント・スラックが連続的に変化するのが緩和曲線、こう配変更箇所の鉛直面内の曲線が縦曲線です。

カントとスラックは、軌道の他の話とつながっています。

直線区間では、カントもスラックも0です。曲線の手前から少しずつ付けて、曲線を出たあとに戻します。急に付けると乗り心地が悪くなり、車輪がレールに乗り上げる危険も出ます。

設計で決めた値からのずれは、軌道変位として測ります。

過去問でどう問われたか

1級で7年度、2級で3年度出ています。引っかけは大きく3つです。

  • ①定義をそっくり入れ替える:カントの位置にスラックの定義を、スラックの位置にカントの定義を置きます。1級で2年度。
  • ②向きや大小を反転させる:転倒を防ぐ向き、曲線半径との大小、カントの表し方を逆にします。2級で3年度。
  • ③緩和曲線に縦曲線の定義を当てる:こう配変更箇所の鉛直面内の曲線と書きます。1級で2年度。
年度・級・問 問われ方 誤りとされた記述
令和8年度 2級 第一次(前期)No.34 カントに関する記述として、最も不適当なもの カントは、曲線を通過する車両の内側方向への転倒を防止するものである ←②
令和5年度 2級 第一次(前期)No.36 カントに関する記述として、不適当なもの 運行速度が同じであれば、曲線半径が大きいほどカントは大きい ←②
令和3年度 1級 第一次 No.53 鉄道の線路に関する用語の定義として、JIS上、不適当なもの カントとは、曲線部において軌間を拡大する量をいう ←①
令和元年度 2級 学科(後期)No.37 カントに関する記述として、不適当なもの カントは、左右レールの水平軸に対する傾斜角で表される ←②(規格の定義は高低差=長さ)
平成25年度 1級 学科 No.54 鉄道線路に関する用語の定義として、JIS上、不適当なもの スラックとは、曲線部における、外側レールと内側レールとの高低差をいう ←①

令和3年度と平成25年度は、まったく同じ入れ替えを向きを変えて出したものです。カントの位置にスラックの定義スラックの位置にカントの定義を置いています。

高低差ならカント。軌間の拡大ならスラックです。

レールそのものの種類はレールの種類と用途に、継目を溶接した長いレールはロングレールに、まくらぎを使わない構造はスラブ軌道にまとめました。

どこを確認すれば読み分けられるか

曲線部の肢は、次の順に見ます。

  • 「高低差」か「軌間」かを探す:この2語のどちらが書かれているかで用語が決まります。
  • 大小の向きを読む:曲線半径は「小さいほど大きい」、運行速度は「速いほど大きい」です。
  • 転倒の向きを読む:防ぐのは外方向への転倒です。
  • 単位の種類を読む:カントは長さで表します。角度と書いてあれば誤りです。

理解度チェック

Q.

カントとは何か?

曲線部における、外側レールと内側レールとの高低差です。

Q.

曲線部において軌間を拡大する量を何というか?

スラックです。カントではありません。

Q.

運行速度が同じとき、曲線半径とカントの大小関係はどうなるか?

曲線半径が小さいほどカントは大きくなります。

まとめ

  • カント=曲線部における、外側レールと内側レールとの高低差。長さで表す。
  • スラック=曲線部において軌間を拡大する量
  • カントが大きくなるのは、曲線半径が小さいときと、運行速度が速いとき。
  • カントが防ぐのは、車両の外方向への転倒。
  • 緩和曲線では、半径・カント・スラックが連続的に変化する。

参考資料

  • JIS E 1001:2001 鉄道-線路用語(用語「カント」「スラック」「軌間」「緩和曲線」「縦曲線」)
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「1級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成25年度・平成29年度・平成30年度・令和元年度・令和3年度・令和4年度・令和7年度
  • 同「2級電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」令和元年度(後期)・令和5年度(前期)・令和8年度(前期)
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>