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速度向上策の問題って、並ぶ4項目が毎回同じだよね。
それなのに向きが年度で入れ替わるのは、なんで?
この記事の要点
速度向上策とは、列車の速度を上げるために軌道へ加える措置のことです。
並ぶ4項目は道床の厚み・レールの単位重量・まくらぎの間隔・曲線半径で固定です。
2年度とも選択肢1が答えになりました。
軌道の速度向上策は、2級に2年度分の記述問題として出ています。
4項目が2年度で完全に同じなので、向きさえ押さえれば両方とも決まります。
そもそも、なぜ軌道をいじると速度が上がるのか。省令がその関係を定めています。
鉄道に関する技術上の基準を定める省令 第103条(列車の運転速度)/第23条(軌道)/第65条(軌道及び構造物に対する制限)
第103条 列車は、線路及び電車線路の状態、車両の性能、運転方法、信号の条件、列車防護の方法等に応じ、安全な速度で運転しなければならない。
第23条 軌道は、次の基準に適合するものでなければならない。一 車両の構造に適合し、車両を所定の方向に案内することができること。二 予想される荷重に耐えること。三 車両の安全な走行に支障を及ぼす変形のおそれのないこと。四 保全に支障を及ぼすおそれのないこと。
第65条 車両は、軌道及び構造物に対して、当該軌道及び構造物の負担力より大きい影響を与えないものでなければならない。
安全な速度は「線路の状態」に応じて決まり、軌道は「予想される荷重に耐え、変形しない」ことを求められます。速度を上げれば荷重も変形も厳しくなるので、軌道の側を強くしなければ速度を上げられません。
言い換えると、「速度向上策とは、軌道の負担力を上げる工事のこと」ということです。4項目はすべてその向きに並びます。
| 項目 | 速度向上策の向き | 軌道にとって何が良くなるか |
|---|---|---|
| バラスト道床の厚み | 厚くする | 荷重を路盤へ広く分散させ、変形しにくくなる |
| レールの単位重量 | 大きくする | 断面が大きくなり、荷重に耐える力が上がる |
| まくらぎの間隔 | 小さくする | 支える点が増え、1本あたりの負担が減る |
| 曲線半径 | 大きくする | 軌道への横圧が小さくなる(第16条も横圧の防止を定める) |
間隔だけが「小さくする」ですが、向きは同じです。支える点を増やすので、軌道は強くなります。
継目の衝撃を減らすロングレールも、速度を上げるための土台になります。敷いたあとの狂いは軌道変位として測ります。
2年度とも、答えは選択肢1に置かれました。
2年度とも選択肢1が答えです。誤りにされた項目は年度で違いますが、どちらも軌道を弱くする向きに書かれています。
言い換えると、「速度を上げるのに軌道を弱くする肢が答え」ということです。
2組は、正しい向きが相手の年度に正しい肢として置かれています。まず道床の厚みです。
令和2年度 選択肢1(答え)/令和5年度 選択肢4(正しい側)
令和2年度:バラスト道床の厚みを小さくする。
令和5年度:道床(バラスト)を厚くする。
令和5年度の答えは別の肢なので、道床を厚くする側が正しいと確定します。
レールの単位重量も、同じ形で入れ替わります。
令和5年度 選択肢1(答え)/令和2年度 選択肢4(正しい側)
令和5年度:レールの単位重量を軽くする。
令和2年度:レールの単位重量を大きくする。
2組とも、正しい向きが相手の年度に正しい肢として置かれています。片方の年度だけを見ると判断できませんが、2年度を並べると向きが決まります。
残る2項目は、向きが動きません。
この2つが並んでいたら読み飛ばせます。答えは道床かレールの側にあります。
例えば、令和5年度で選択肢2と選択肢3を見たとき、前年度と同じ向きだと分かっていれば残る2つに絞れます。
混同しやすい語
道床の厚みと道床厚:規格には道床厚という用語があり、レール直下のまくらぎ下面での道床の厚さを指します。定義は軌道構造の用語の記事で扱いました。
レールの単位重量:1m当たりの重さのことで、出題では「大きくする」「軽くする」と書き分けられます。
まくらぎの間隔:小さくする側が速度向上策です。
曲線半径:大きくする側が速度向上策です。カントとの関係はカントとスラックの記事にまとめました。
速度向上策は2年度分です。
| 項目 | 令和2年度 2級 No.37 | 令和5年度 2級 No.36 |
|---|---|---|
| 道床の厚み | 小さくする(選択肢1・答え) | 厚くする(選択肢4) |
| レールの単位重量 | 大きくする(選択肢4) | 軽くする(選択肢1・答え) |
| まくらぎの間隔 | 小さくする(選択肢3) | 小さくする(選択肢2) |
| 曲線半径 | 大きくする(選択肢2) | 大きくする(選択肢3) |
4項目がそのまま2年度で並び、道床とレールの2つだけ向きが入れ替わっています。答えの位置はどちらも選択肢1です。
この系統の肢は、次の順に見ます。
速度向上策として道床の厚みはどうするか?
厚くする側です。小さくすると書いた肢が答えになりました。
レールの単位重量はどうするか?
大きくする側です。軽くすると書いた肢が答えになりました。
まくらぎの間隔はどうするか?
小さくする側です。2年度とも一字一句同じ書き方で正しい肢に置かれました。
曲線半径はどうするか?
大きくする側です。2年度とも正しい肢に置かれました。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
4項目の向きをひとまとめに覚えます。
速度向上策は、道床を厚く・レールを重く・まくらぎの間隔を狭く・曲線半径を大きくする側で揃います。誤りにされるのは、このうち1つだけを逆向きに書いた肢です。
4つとも軌道を強くする側で揃うのは、省令が軌道に求めていることと同じ向きだからです。
省令は軌道に「予想される荷重に耐えること」「車両の安全な走行に支障を及ぼす変形のおそれのないこと」を求めています(第23条)。速度が上がれば荷重も変形も厳しくなるので、軌道の側を強くする向きに揃います。