電気工事施工管理技士 独学ガイド|資格のT

  1. HOME
  2. 電車線路
  3. > 軌道変位

軌道変位とは?軌間・通り・高低・平面性の4つと定義の型を整理

T

T

軌間・通り・高低・平面性って並ぶと、どれがどれなの?

説明もどれも似ていて、間違いを見つけられない…。

この記事の要点

軌道変位とは、軌道の各部の寸法や形状について、設計値からのずれのことです。

問われるのは軌間・通り・高低・平面性の4つです。どれも「○○の設計値からのずれ」という同じ型で書かれます。

この型から外れた説明を当てられるのが、2年度とも高低変位でした。

軌道変位は、1級で2年度に出ています。

並ぶ4つの説明は形がそろっているので、そろっていないものを探せば済みます。

軌道変位とは何か

レールは敷いたときの寸法をずっと保てるわけではありません。列車が通るたびに少しずつ動きます。その動いた量を、設計値との差で測ったものが軌道変位です。

4つのうち軌間については、省令が用語そのものを定義しています。

鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)第2条第四号

軌間 軌道中心線が直線である区間におけるレール頭部間の最短距離をいう。

令和5年度1級No.53の選択肢1は、これを「2本のレールの内面距離」と書いています。軌間変位は、その距離の設計値からのずれです。

変位の名前 もとになる寸法・形状 出題での書かれ方
軌間変位 軌間(2本のレールの内面距離) その距離の設計値からのずれ
通り変位 通り(レール側面の長さ方向の凹凸) その凹凸の設計値からのずれ
平面性変位 軌道面のねじれ そのねじれの設計値からのずれ
高低変位 高低(レールの長手方向の上下の変位) 左右レールの高さの差と書かれ、2年度とも誤りにされた

3つは同じ型でそろっている

令和5年度1級No.53で正しい側に置かれた3肢は、書き出しから結びまで形が同じです。

令和5年度 1級 第一次 No.53 選択肢1・選択肢2・選択肢4(いずれも正しい側)

軌間とは、2本のレールの内面距離のことをいい、軌道の軌間変位は、その距離の設計値からのずれのことである。

通りとは、レール側面の長さ方向の凹凸のことをいい、軌道の通り変位は、その凹凸の設計値からのずれのことである。

軌道の平面性変位は、軌道面のねじれの設計値からのずれのことをいい、緩和曲線中では、構造的な平面性変位がある。

3つに共通するのは次の点です。

  • まず「もとになる寸法や形状」を述べている
  • 次に「その設計値からのずれ」と結んでいる
  • いずれもずれという語で終わっている

言い換えると、「軌道変位の説明は、必ず設計値からのずれで終わる」ということです。

高低変位に当てられる説明が型から外れる

2年度とも、選択肢3に置かれたのは高低変位でした。

平成27年度 1級 No.54 選択肢3/令和5年度 1級 第一次 No.53 選択肢3(いずれも正答肢)

軌道の高低変位は、列車荷重が繰り返し加わるために生ずる左右レールの高さの差である。(平成27年度)

高低変位は、左右レールの高さの差のことをいい、列車荷重が繰り返し加わることにより生ずるものである。(令和5年度)

語順は入れ替わっていますが、中身は同じです。どちらも「左右レールの高さの差」と「列車荷重が繰り返し加わる」の2つで組んであります。

この説明は、他の3肢と2か所で違います。

  • 設計値からのずれで終わっていない。差で終わっている
  • 生じる原因(列車荷重の繰り返し)を書いている。他の3肢は原因を書いていない

「左右レールの高さの差」には本来の持ち主がいる

形が違うだけではありません。この説明は、規格に実在する別の用語の定義です。

JIS E 1001:2001 鉄道-線路用語(水準狂い/高低狂い/通り狂い)

水準狂い 左右レールの高さの差。カントがある場合は設定カント量との差。

高低狂い レールの長手方向の上下の変位。

通り狂い レールの長手方向の左右の変位。

「左右レールの高さの差」は水準狂いの定義です。高低のほうは、レールの長手方向の上下の変位で、見ている向きが違います。

  • 水準:ある1か所で、左右のレールを比べる
  • 高低:1本のレールを長さ方向にたどって、上下の凹凸を見る
  • 通り:1本のレールを長さ方向にたどって、左右の凹凸を見る

2年度とも、高低に水準の定義を当てて誤りを作っています。同じ問の選択肢2が「通り=レール側面の長さ方向の凹凸」と、長さ方向に沿って見る形を示しているので、そこと並べると向きの違いが見えます。

なお規格は「変位」ではなく狂いという語を使い、軌間狂い・水準狂い・高低狂い・通り狂い・平面性狂いを並べています。出題は「変位」で書いてきます。

例えば、選択肢2は「通り」をレール側面の長さ方向の凹凸と定めています。長さ方向に沿って見る形です。これに対して「左右レールの高さの差」は、長さ方向ではなく2本のレールの間を見ています。見ている向きが違います。

説明の結びをそろえて読む ○○とは△△のことをいい、○○変位は、その△△の設計値からのずれ 軌間変位 内面距離のずれ 通り変位 側面の凹凸のずれ 平面性変位 ねじれのずれ 高低変位=左右レールの高さの差 「ずれ」で終わらず、原因まで書いてある 結びがそろっていない1つが、その年度の答え
説明の形をそろえて見るための模式図です。各変位の測り方や大きさを表したものではありません。正しいのは、3肢が「設計値からのずれ」で結ばれ、高低変位の肢だけがそうなっていないという点です。

まちがえやすいポイント

覚えるのは高低変位の1つだけで足ります。

軌間・通り・平面性の3つは、令和5年度でいずれも正しい側に置かれました。高低変位に「左右レールの高さの差」と書いてあれば、そこが答えです。

この説明が誤りだと分かるのは、同じ問題の他の3肢が定義の型を見せているからです。3つが「設計値からのずれ」で結ばれているのに、1つだけ「差」で終わっています。用語を暗記していなくても、並びを見れば決まります。

混同しやすい語

軌間とスラック:軌間は2本のレールの内面距離、スラックは曲線部で軌間を広げる量です。カントとスラックの記事にまとめました。

通りと高低:通りはレール側面の長さ方向の凹凸です。どちらも長さ方向に沿って見ます。

平面性変位と緩和曲線:緩和曲線中には構造的な平面性変位があります。カントを付けていく途中なので、軌道面がねじれるためです。

変位と摩耗:変位は位置や形のずれ、摩耗はレールが減ることです。減るほうはレール摩耗の記事で扱っています。

ロングレールと軌道変位:継目を減らすと、通りや高低の凹凸も出にくくなります。ロングレールの記事にまとめました。

軌道を強くする向き:道床の厚みやまくらぎの間隔は、変位の出にくさに効きます。軌道の速度向上策の記事で扱っています。

バラスト軌道とスラブ軌道:道床の作り方が違うため、変位の出方も変わります。スラブ軌道の記事にまとめました。

過去問でどう問われたか

2年度とも、高低変位の肢が正答肢です。

年度・級・問 問われ方 正答肢
平成27年度 1級 学科 No.54 鉄道線路及び軌道(ガードレール・車止め・高低変位・安全側線) 選択肢3
令和5年度 1級 第一次 No.53 軌道変位(軌間・通り・高低・平面性) 選択肢3

題材の組み方は年度で違います。

  • 平成27年度 軌道の設備(ガードレール・車止め・安全側線)のなかに高低変位を1つ混ぜた
  • 令和5年度 4つの変位だけで組んだ
  • どちらも高低変位に当てられた説明は同じ

理解度チェック

Q.

軌道変位の説明は、どんな形で終わるか?

「その設計値からのずれ」で終わります。軌間・通り・平面性の3肢がこの形でした。

Q.

軌間は省令でどう定義されているか?

「軌道中心線が直線である区間におけるレール頭部間の最短距離」です(省令第2条第四号)。出題の肢は「2本のレールの内面距離」と書いています。

Q.

高低変位に当てられた説明のどこが型から外れているか?

2か所です。「設計値からのずれ」で終わらず「差」で終わっていること、他の3肢が書かない「生じる原因」を書いていることです。

Q.

緩和曲線中に構造的にあるのはどの変位か?

平面性変位です。カントを付けていく途中なので、軌道面がねじれます(令和5年度の選択肢4・正しい側)。

まとめ

  • 軌道変位は、軌道の寸法や形状の設計値からのずれ
  • 問われるのは軌間・通り・高低・平面性の4つ。
  • 正しい肢は必ず「設計値からのずれ」で終わる
  • 軌間は省令第2条第四号が「レール頭部間の最短距離」と定義している。
  • 高低変位に「左右レールの高さの差」と書いてあれば、それが答え。2年度とも選択肢3。
  • その説明は「ずれ」で終わらず、他の3肢が書かない原因まで書いている。

参考資料

  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成27年度1級・令和5年度1級
  • 鉄道に関する技術上の基準を定める省令(平成13年国土交通省令第151号)第2条第四号(e-Gov法令検索
  • JIS E 1001:2001 鉄道-線路用語(軌間狂い・水準狂い・高低狂い・通り狂い・平面性狂い)
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

試験機関が公開している問題と正答肢、日本産業規格や法令などの一次資料をもとに、出題された論点を整理しています。

Topへ >>