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発熱線の温度は何℃まで許されるのか?フロアヒーティングの施設条件を条文で確かめる

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発熱線の温度って、80℃と120℃のどっちなの?

両方見かけるんだけど…。

この記事の要点

発熱線の温度とは、道路や造営材に固定して施設する発熱線について、80℃を超えないように施設することと定められている温度のことです。これが原則の値です。

120℃以下にできるのは例外で、道路・横断歩道橋・屋外駐車場に金属被覆を有する発熱線を施設する場合に限られます。

屋内のフロアヒーティングにこの例外は使えません。ただし書きの条件を外して数値だけ持ってくるのが出題の手口です。

この条文は、原則の数値とただし書きの数値が並んで書かれています。

だから読むときも、数値と一緒に付いている条件を必ず拾います。

どこに施設する発熱線の話か

条文の柱書が、対象になる施設の仕方を決めています。

電気設備の技術基準の解釈 第195条第1項(フロアヒーティング等の電熱装置の施設)

発熱線を道路、横断歩道橋、駐車場又は造営物の造営材に固定して施設する場合は、次の各号によること。

言い換えると、「動かない場所に固定して埋め込む発熱線」についての規定ということです。

電路の条件は第一号です。

同 第一号

発熱線に電気を供給する電路の対地電圧は、300V以下であること。

  • 対象の場所:道路、横断歩道橋、駐車場、造営物の造営材
  • 固定して施設するものが対象
  • 電路の対地電圧:300V以下

300V以下なので、150Vで施設した場合はこの条件を満たします。上限であって、その値ちょうどにする決まりではありません。

発熱線の温度は80℃か120℃か

温度は第四号のロにあります。

電気設備の技術基準の解釈 第195条第1項第四号ロ

発熱線の温度は、80℃を超えないように施設すること。ただし、道路、横断歩道橋又は屋外駐車場に金属被覆を有する発熱線を施設する場合は、発熱線の温度を120℃以下とすることができる。

数値と条件を分けて並べます。

温度 扱い 付いている条件
80℃ 原則 条件なし。これを超えないように施設する
120℃ ただし書きの例外 道路・横断歩道橋・屋外駐車場に、金属被覆を有する発熱線を施設する場合

例えば、屋内の床に埋める発熱線であれば、場所の条件を満たさないので80℃までです。

120℃には、場所と金属被覆という2つの条件が同時に付きます。片方だけでは足りません。

120℃にできるのは、2つの条件がそろったときだけ 発熱線の温度 原則 80℃を超えない 造営材(屋内)はこちら ただし書き(2つとも要る) ① 道路・横断歩道橋・屋外駐車場 ② 金属被覆を有する発熱線 120℃以下にできる 柱書は「駐車場」、ただし書きは「屋外駐車場」。造営材はただし書きに入っていない
出典=電気設備の技術基準の解釈 第195条第四号ロ(柱書は同条本文)

施設のしかたで求められること

同じ第四号には、置き方と周囲への配慮も書かれています。

電気設備の技術基準の解釈 第195条第1項第四号(イ・ハ)

イ 人が触れるおそれがなく、かつ、損傷を受けるおそれがないようにコンクリートその他の堅ろうで耐熱性のあるものの中に施設すること。

ハ 他の電気設備、弱電流電線等又は水管、ガス管若しくはこれらに類するものに電気的、磁気的又は熱的な障害を及ぼさないように施設すること。

  • 埋める先:コンクリートその他の堅ろうで耐熱性のあるもの
  • 避けること:人が触れるおそれ、損傷を受けるおそれ
  • 周囲への配慮:他の電気設備・弱電流電線等・水管・ガス管への電気的、磁気的、熱的な障害

熱的な障害まで書かれているのがこの条文の特徴です。発熱する設備なので、隣の配管への影響も条件に入ります。

混同しやすい語

80℃と120℃:80℃が原則で、120℃はただし書きの例外です。例外には道路・横断歩道橋・屋外駐車場という場所の条件と、金属被覆という発熱線の条件が付きます。

対地電圧300Vと使用電圧:第一号が定めているのは電路の対地電圧の上限で300V以下です。使用電圧そのものの数値ではありません。

駐車場と屋外駐車場:柱書の対象は「駐車場」ですが、120℃のただし書きは「屋外駐車場」に限られます。同じ語ではありません。

第195条は温度だけでなく、電路の側の条件も並べています。

過去問でどう問われたか

フロアヒーティングは1級に3年度出ています。設問文で「屋内に施設する」と断っているのは令和5年度だけで、平成26年度と令和2年度は選択肢の中で「屋内のホール」「屋内エントランスホール」と書かれています。温度を狙った年度の引っかけは大きく2つです。

  • ①ただし書きの数値だけ持ってくる:場所と金属被覆の条件を外して、120℃という数値だけを当てはめます。
  • ②上限の数値をそのまま出す:対地電圧は300V以下なので、150Vとした肢は条件を満たします。
年度・級・問 問われ方 誤りとされた記述
令和5年度 1級 第一次検定 No.29 屋内に施設するフロアヒーティングについて、解釈上、不適当なもの 発熱線の温度は、120℃を超えないように施設した ←①

正しくは、屋内であればただし書きの条件に当たらないので80℃を超えないように施設します。

同じ問に並んだ「電路の対地電圧を150V以下とした」は、300V以下という上限の範囲に収まるので正しい肢でした。金属体へのD種接地工事と、専用の過電流遮断器に加えて漏電遮断器を設置したという記述も、正しい肢に置かれていました。

残る2年度は、温度ではなく地絡を切る装置のほうを狙っています。平成26年度 1級 学科試験 No.29は「発熱線を乾燥した場所に施設するので、電路に施設する漏電遮断器(ELCB)に替えて配線用遮断器(MCCB)を設置した」が答え(公表正答は選択肢4)、令和2年度 1級 学科試験 No.29は「発熱線に電気を供給する電路には、配線用遮断器及び漏電火災警報器を施設した」が答え(公表正答は選択肢2)です。過電流を切る装置だけでは足りず、地絡を切る装置が要ります。

そしてこの2年度は、80℃のほうを正しい選択肢として置いています。平成26年度は選択肢1「屋内のホールに施設する発熱線の温度が80℃を超えないようにした」、令和2年度は選択肢4「屋内エントランスホールに施設する発熱線の温度は80℃を超えないようにした」です。令和5年度で誤りにされた120℃の、正しい値のほうが前の2年度に出ている形になります。

120℃を見たら、道路か横断歩道橋か屋外駐車場かを先に探します。

電気で熱を作る設備そのものは電気加熱に、完成品に加える試験電圧の考え方は絶縁耐力試験にまとめました。

どこを確認すれば読み分けられるか

温度や電圧の数値が出た肢は、次の順に見ます。

  • 場所を先に読む:屋内か、道路等かで温度の上限が変わります。
  • ただし書きを探す:例外の数値には必ず条件が付いています。
  • 上限か指定値かを見る:対地電圧300V以下は上限なので、それより低い値は誤りになりません。
  • 被覆の有無を見る:120℃の例外は金属被覆を有する発熱線に限られます。

まちがえやすいポイント

条文の柱書には「駐車場」と書かれているのに、ただし書きは「屋外駐車場」と書かれています。

屋内の駐車場では120℃の例外が使えません。柱書とただし書きで語がずれている箇所なので、まとめて覚えると取り違えます。

理解度チェック

Q.

発熱線の温度の原則は何℃か?

80℃を超えないように施設することが原則です。

Q.

120℃以下にできるのは、どういう場合か?

道路、横断歩道橋又は屋外駐車場に、金属被覆を有する発熱線を施設する場合です。場所と被覆の両方の条件が要ります。

Q.

発熱線に電気を供給する電路の対地電圧は、いくつまでか?

300V以下です。上限なので、150Vで施設した場合も条件を満たします。

まとめ

  • 対象=発熱線を道路、横断歩道橋、駐車場又は造営物の造営材に固定して施設する場合
  • 電路の対地電圧は300V以下。
  • 発熱線の温度は80℃を超えないのが原則。
  • 120℃以下にできるのは、道路・横断歩道橋・屋外駐車場に金属被覆を有する発熱線を施設する場合だけ。
  • コンクリートその他の堅ろうで耐熱性のあるものの中に施設し、他の設備や配管に熱的な障害を及ぼさないようにする。

参考資料

  • 電気設備の技術基準の解釈 第195条第1項(柱書・第一号・第四号イ・ロ・ハ) 経済産業省(dengikaishaku.pdf
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「平成26年度・令和2年度 1級電気工事施工管理技術検定 学科試験/令和5年度 1級 第一次検定 問題・正答肢」(公式サイト
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