平成30年度 地質調査技士 現場調査部門 No.96を解説、岩盤の緩みとコア観察
平成30年度 地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 No.96は、岩盤の緩みに関する問題です。この問題では、4つの記述のうち最も不適当なものを1つ選びます。
この問題のポイント
岩盤の緩みは、掘削で上の荷重が取り除かれた岩盤が、割れ目に沿って開いたりずれたりして生じます。
選択肢1・2・4は、その仕組みを正しく述べています。
引っかけの核心は1点、選択肢3だけが「コア観察では把握できない」と否定している点です。
※ 問題文そのものは、一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢3(最も不適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 記述の要旨 | 正誤 |
|---|---|---|
| 1 | 岩盤斜面は、掘削などで上載荷重が除去されて解放され、斜面に沿う下方向の重力に伴って変形する | ○(正しい) 緩みが生じる仕組み |
| 2 | 割れ目や分離しやすい構造面を伴う岩盤斜面では、分離や開口が生じて緩みゾーンが形成される | ○(正しい) どこに緩みが集まるか |
| 3 | 岩盤の緩みやトップリング性の斜面クリープ現象は、ボーリングコア観察では把握できない | ×(誤り) 正答。「把握できない」と否定するのが誤り |
| 4 | 割れ目は、風化による岩石の膨張、浸透水や地下水による間隙水圧、植物根の侵入などで開口していく | ○(正しい) 割れ目が開いていく原因 |
選択肢1・2・4は、緩みが生じる仕組み・集まる場所・割れ目が開く原因を述べています。選択肢3だけが、調査で分かるかどうかを否定しています。
選択肢3のポイント(ここが誤り)
この設問では、「コア観察では把握できない」という否定が誤りとされています。
緩んだ岩盤は、割れ目が開いたり、破片状になったりします。
そうした状態はコア観察にも現れます。
コアの割れ方や間隔が、緩みゾーンの手がかりになります。
ただし、コアで何でも分かるわけではありません。
令和元年度 No.98 では、割れ目の走向・傾斜がコアで判明するとした記述が誤りとされています。
コアは定方位で採れないので、方向は孔内のカメラなどで測ります。
つまりコア観察は、状態は読めるが方向は読めないという道具です。
選択肢3は、その読める側まで否定しているため最も不適当です。
覚え方
- コア観察は、緩みや割れ方の状態は読める。走向・傾斜という方向は読めない
- 「〜では把握できない」とできないことにする選択肢は、まず疑う
- 岩盤の緩み=掘削で上載荷重が除かれ、割れ目に沿って開く・ずれる
- 割れ目が開く原因=風化による膨張・間隙水圧・植物根の侵入
理解度チェック
問題:岩盤の緩みやトップリング性の斜面クリープ現象は、ボーリングコア観察では把握できない。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
この設問では「把握できない」という否定が誤りとされています。緩んだ岩盤は割れ目の開きや破片状の状態としてコアに現れます。
問題:岩盤斜面の緩みは、掘削などによる上載荷重の除去がきっかけになる。
〇か×か。
答えを見る
答え:〇
上の荷重が取り除かれて岩盤が解放され、割れ目や分離しやすい構造面に沿って開口・変形します。
出典・参考資料
- 岩盤の緩み(上載荷重の除去による解放と変形/割れ目・分離しやすい構造面での緩みゾーンの形成/風化による膨張・間隙水圧・植物根による割れ目の開口)。全地連 ボーリングコア取扱い・岩盤分類の要領ほか。
- 割れ目の走向・傾斜は孔内の計測(ボアホールカメラ等)で得るもので、定方位でないコアからは測れない(令和元年度 現場調査 No.98 の正答が裏付け)。
- 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)「平成30年度(第53回)地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 試験問題」。
※ 出題番号・正答は全地連が公開する資料で確認しています。
※ この記事の確認日:2026年7月