ボーリングコア観察は過去問でどう問われる?分かること・分からないことの引っかけ
ちしつモグラ
ボーリングコアを見れば、地面のことは全部わかるの?わからないこともあるの?
この記事の要点
- コアは1本の細い柱の情報。割れ目の走向・傾斜や、原地盤スケールの割れ目間隔・最大礫径はコアだけでは測れない。走向・傾斜は孔内のボアホールカメラなどで得る。
- 逆に、地層の分布・風化変質・割れ目の状態、岩盤の緩みやクリープの痕跡はコア観察で読み取れる。
- 記載は対象に合わせる。硬質岩盤に「粒度組成・淘汰度」など土質的な記載を混ぜるのは不適。岩石の鑑定は観察者の定性的判定を含む。
ボーリングコアの観察では、地層や割れ目の状態を読み取ります。ただしコアは1本の細い柱なので、「何が分かり、何が分からないか」の線引きが問われるので、過去問での出方を見ていきます。
過去問でどう問われるか?
コア観察は、令和元年度・令和6年度・平成30年度と現場調査部門でくり返し問われています。まず、コアで分かること・分からないことを押さえます。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| コアで分かる | 地層の分布・層厚、風化・変質の程度、割れ目の状態や頻度、岩石名・岩質、礫の岩石名・円磨度、岩盤の緩みやクリープの痕跡 |
| コアだけでは難しい | 割れ目の走向・傾斜(向き)、原地盤スケールの割れ目間隔・最大礫径、短期的な時間変化 |
向き(走向・傾斜)はコアでは決められず、孔内のボアホールカメラで孔壁を見て計測します(コアは回転して取り出され向きが分からない)。この線引きをふまえると、引っかけは大きく次のパターンです。
- ① スケールの限界を無視する……コアの割れ目間隔や礫の最大径を「原地盤と同じ」とみなす(見えるのはコアの範囲まで)
- ② 走向・傾斜を判明とする……コア観察で割れ目の走向・傾斜が判明とする(孔内のボアホールカメラで計測する)
- ③ できないと言い切る……岩盤の緩みやトップリング性クリープは把握できないとする(痕跡は読み取れる)
- ④ 記載がミスマッチ……硬質岩盤の記載に「粒度組成・淘汰度」など土質的な記載を混ぜる
- ⑤ 定性判定を否定する……岩石の鑑定は分析だけで決まるとする(実務は観察者の定性的判定を含む)
| 年度・No. | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| R01 現場調査 No.46 | コアの割れ目間隔・不均質性を実際の岩盤と同様とした → スケールの限界 ←①スケール |
| R01 現場調査 No.76 | 採取礫の最大径を「原地盤の最大礫径」と記載した → コアだけでは決められない ←①スケール |
| R01 現場調査 No.98 | 割れ目の開口幅・走向・傾斜が判明とした → 走向傾斜はコアでは困難 ←②走向傾斜 |
| h30 現場調査 No.96 | 緩み・斜面クリープはコアで把握できないとした → 把握できる ←③言い切り |
| R06 現場調査 No.93 | 硬質岩盤の記載に「粒度組成・淘汰度」を挙げた → 土質的で不適 ←④ミスマッチ |
| R01 現場調査 No.94 | 岩石鑑定は観察者の定性判定による(正しい肢)→ 定性判定を含む ←⑤定性判定 |
※ 問題番号と正解は、全地連が公開している過去問・正答で確認しています(h29 No.93も同種で「短期的な時間変化が判明する」が誤り。h29は正答非公開のため参考)。
つまり走向・傾斜はコアでなく孔壁(ボアホールカメラ)、原地盤スケールはコアだけで決めない、緩み・クリープの痕跡は読み取れるが核心です。
理解度チェック
問題:ボーリングコアの観察で、割れ目の走向・傾斜(向き)を正確に測定できる。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
コアは向きが分からない状態で取り出されます。
走向・傾斜は孔内のボアホールカメラなどで計測します。
割れ目の状態や頻度はコアで分かります。
問題:岩盤の緩みやトップリング性のクリープは、ボーリングコア観察では把握できない。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
過去問(h30 No.96)では「把握できない」が誤りとされています。コア観察で緩みやクリープの痕跡を読み取れます。
問題:硬質岩盤のコア観察記載では、粒度組成や淘汰度を主な記載事項とする。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
粒度組成や淘汰度は土質的な記載です。硬質岩盤では割れ目・風化・硬さなどを記載します。
問われるのは、コアで分かること・分からないことの線引き(とくに走向傾斜と原地盤スケール)。ここを外さなければ、コア観察の問題は取りこぼしません。
出典・参考資料
- 地質調査技士検定 過去問題(全国地質調査業協会連合会=全地連/現場調査部門 R01 No.46・No.76・No.94・No.98、h30 No.96、R06 No.93、h29 No.93)。正答は全地連公開の正答番号で照合(h29は正答非公開のため参考)。
- 全地連「ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説」(コアの観察・記載の考え方)。
- 割れ目の走向・傾斜の計測(孔内のボアホールカメラなど)は、孔内計測の技術資料で照合。
※ 論点と用語の意味を自分の言葉で書いています。最新の基準・要領で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月