T
接続箱に入れる部品って、年度によって違ってない?
耐雷トランスも、直流側なの?交流側なの?
この記事の要点
太陽光発電設備の施工とは、太陽電池モジュール・接続箱・パワーコンディショナを並べてつなぎ、逆流と雷から守る部品を所定の位置に入れる工事のことです。
出題で問われるのは、接続箱に入れる部品と耐雷トランスの設置側の2点だけです。
標準仕様書は、接続箱に逆流を防止できる機能を求めています。バイパスダイオードは太陽電池モジュール側の部品です。
耐雷トランスはパワーコンディショナの交流電源側に置きます。直流側と書いた肢は誤りです。
太陽光発電設備の施工は、2級で6年度に出ています。
誤らせ方は2通りしかありません。接続箱の部品名を入れ替えるか、耐雷トランスの設置側を入れ替えるかです。
根拠は公共建築工事標準仕様書です。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 1.7.3 接続箱
(1) 接続箱は、次によるほか、JEM 1493「太陽光発電システム用接続箱及び集電箱直流750V以下対応」による。
(ア) 直流入力回路(ストリング)ごとに、逆流を防止できる機能を設ける。
(イ) PV 直流用 SPD は、特記により設けるものとし、内蔵又は附属する場合は、次によるほか、JIS C 5381-31「低圧サージ防護デバイス-第31部:太陽電池設備の直流側に接続するサージ防護デバイスの要求性能及び試験方法」による。
接続箱に求められているのは「逆流を防止できる機能」です。この機能を持つ部品が逆流防止素子で、出題でもそのまま正しい側に置かれています。
同じ項の(イ)は、雷への備えとしてPV直流用SPDを挙げています。つまり接続箱に入るのは次の2つです。
では、バイパスダイオードはどこにあるのか。同じ仕様書の太陽電池モジュールの項に書かれています。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 太陽電池モジュール
(エ) 日影による効率の低下を抑制する機能を有するもの(バイパスダイオード等)とする。
役目がまったく違います。逆流防止素子はストリングへ電流が逆に流れ込むのを止め、バイパスダイオードは日影になったセルを迂回して出力の低下を抑えます。
| 部品 | どこに入れるか | 役目(仕様書の書き方) |
|---|---|---|
| 逆流防止素子 | 接続箱 | 直流入力回路(ストリング)ごとに、逆流を防止できる機能 |
| バイパスダイオード | 太陽電池モジュール | 日影による効率の低下を抑制する機能 |
| PV直流用SPD | 接続箱(直流側) | 回路の過渡的な過電圧を制限し、サージ電流を接地側に分流する |
| 耐雷トランス | パワーコンディショナの交流電源側 | 出題で正しい側に置かれた設置箇所 |
言い換えると、「接続箱に入る部品としてバイパスダイオードが出てきたら誤り」ということです。
平成28年度 2級 No.40 選択肢3/平成30年度 2級前期 No.40 選択肢3/令和4年度 2級後期 No.48 選択肢1(いずれも正答肢)
ストリングへの逆電流の流入を防止するため、接続箱にバイパスダイオードを設けた。
3年度とも同じ文です。正しい形は、別の年度に置かれています。
令和6年度 2級後期 No.46 選択肢1(正しい側)
ストリングへの逆電流の流入を防止するため、接続箱内に逆流防止素子を設けた。
もう1つの論点が、耐雷トランスをどちら側に置くかです。
令和2年度 2級後期 No.40 選択肢4/令和6年度 2級後期 No.46 選択肢2(いずれも正答肢)
雷が多く発生する地域であるため、耐雷トランスをパワーコンディショナの直流側に設置した。
令和4年度 2級後期 No.48 選択肢4(正しい側)
雷が多く発生する地域であるため、耐雷トランスをパワーコンディショナの交流電源側に設置した。
「直流側」と書いてあれば誤り、「交流電源側」と書いてあれば正しい側です。語が1つ違うだけで扱いが逆になります。
例えば、令和4年度2級後期No.48を見ます。選択肢4は耐雷トランスを交流電源側に置いており正しい側で、この年度の誤りは選択肢1の接続箱の部品名でした。同じ問題に2つの論点が並ぶ年度もあります。
役割の分かれ方は、仕様書の書き方とも合います。直流側の雷対策として挙げられているのはPV直流用SPDで、こちらは接続箱に入ります。トランスは交流側の機器です。
混同しやすい語
逆流防止素子とバイパスダイオード:前者は接続箱、後者は太陽電池モジュールの部品です。どちらもダイオードですが、置き場所と役目が違います。
耐雷トランスとSPD:交流側に置くのが耐雷トランス、直流側の接続箱に入るのがPV直流用SPDです。雷保護の考え方は雷保護システムの記事にまとめました。
ストリングとアレイ:ストリングはモジュールを直列につないだ単位、アレイはそれをまとめた全体です。
パワーコンディショナ:直流を交流に変換する機器です。系統につなぐときの保護はスポットネットワークの記事でも触れています。
太陽電池の種類:シリコン系の分類はシリコン太陽電池の記事で扱っています。
系統連系の保護装置:連系するときに置くリレーは系統連系用保護装置の略記号の記事にあります。
解列:異常時に切り離す事由は解列と保護リレーの記事で扱っています。
6年度とも「最も不適当なもの」を選ばせる形です。下の表は、正答肢が接続箱の部品名か耐雷トランスの設置側になった5年度です。
| 年度・級・問 | 正答肢の中身 | 正答肢 |
|---|---|---|
| 平成28年度 2級 No.40 | 接続箱にバイパスダイオードを設けた | 選択肢3 |
| 平成30年度 2級前期 No.40 | 接続箱にバイパスダイオードを設けた | 選択肢3 |
| 令和2年度 2級後期 No.40 | 耐雷トランスを直流側に設置した | 選択肢4 |
| 令和4年度 2級後期 No.48 | 接続箱にバイパスダイオードを設けた | 選択肢1 |
| 令和6年度 2級後期 No.46 | 耐雷トランスを直流側に設置した | 選択肢2 |
5年度に共通するのは、次の3つです。
残る1年度は論点が違います。令和5年度 2級(後期)No.48は屋根への設置方法を問い、選択肢4の「スレート屋根の上に太陽電池アレイを設置する場合、支持金具はたる木などの構造材に荷重がかからないよう屋根材に固定した」が正答肢でした。支持金具は屋根材ではなく、たる木などの構造材に留めます。接続箱も耐雷トランスも肢に出ていません。
正しい側で繰り返し出る肢もあります。3つ目の「ストリングごとに開放電圧を測定して、電圧にばらつきがないことを確認した」は、令和5年度(後期)No.48の選択肢1に置かれたものです。
接続箱に設けるのはどの部品か?
逆流防止素子です。標準仕様書1.7.3(1)(ア)が「直流入力回路(ストリング)ごとに、逆流を防止できる機能を設ける」と定めています。
バイパスダイオードはどこに入るか。役目は?
太陽電池モジュールです。標準仕様書は「日影による効率の低下を抑制する機能を有するもの(バイパスダイオード等)」と書いています。
耐雷トランスはパワーコンディショナのどちら側に置くか?
交流電源側です。直流側と書いた肢は、2年度とも正答肢になりました。
直流側の雷対策として仕様書が挙げているものは?
PV直流用SPDです。接続箱に内蔵または附属させ、SPD分離器と組み合わせて設けます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
どちらの誤りも、文の前半は正しいことを言っています。
「ストリングへの逆電流の流入を防止するため」は接続箱の役目そのもので、仕様書の書き方と合っています。誤っているのは、そのあとに置かれた部品名だけです。
耐雷トランスの肢も同じで、「雷が多く発生する地域であるため」までは正しい。読むのは文の後半だと決めておけば、前半に引っかかりません。