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分配器、分岐器、分波器、混合器。名前が似すぎじゃない?
どれがどの役割なの?
この記事の要点
テレビ共同受信設備とは、1組のアンテナで受けた放送を、建物の各戸へ配って見られるようにする設備のことです。
信号はアンテナ → 混合器 → 増幅器 → 分配器・分岐器 → 直列ユニット → テレビの順に流れます。
機器の名前が似ていても、この流れのどこに置かれるかで役割が決まります。
名前の似た5つの機器は、信号の流れのどこに立つかで区別できます。
まとめる機器が入口側、分ける機器が出口側、という並びです。
集合住宅で各戸が別々にアンテナを立てると、屋上がアンテナだらけになります。
そこで1組のアンテナで受けた信号を建物全体へ配ります。これがテレビ共同受信設備です。
信号は、屋上から各戸まで次の順に流れます。
入口でまとめ、途中で増幅し、出口で分けます。まとめるのが混合器、分けるのが分配器と分岐器という向きです。
信号を分けるときには必ず損失が出ます。どの経路の損失かで名前が変わるので、分岐器・分配器の損失で分けて扱っています。
出題では、それぞれの説明文がそのまま問題文になっています。並べると次のようになります。
| 機器 | 向き | 出題文に置かれた説明 |
|---|---|---|
| 混合器 | まとめる | 複数のアンテナで受信した信号を1本の伝送線にまとめる機器 |
| 分配器 | 分ける | 各出力端子に信号を均等に分けるとともに、インピーダンスの整合も行う機器 |
| 分岐器 | 分ける | 幹線から信号を分けるとともに、入出力間通過損失を小さく保つ機器 |
| 分波器 | 選り分ける | 混合された異なる周波数帯域の信号を選別して取り出すための機器 |
| 直列ユニット | つなぐ | 分岐機能を有し、テレビ受信機を接続する端子を持つ機器 |
分配器と分岐器は、どちらも信号を分けますが向きが違います。
分配器は入ってきた信号を出力端子へ均等に振り分けます。分岐器は幹線をそのまま先へ通しながら、必要な分だけ横へ取り出します。だから分岐器の説明には「入出力間通過損失を小さく保つ」が付きます。幹線側の損失を抑えるという意味です。
言い換えると、「均等に分けるのが分配器、幹線から取り出すのが分岐器、周波数で分けるのが分波器」ということです。
例えば、地上波とBS放送が1本の線で混ざって来ているとき、これを2つの帯域に選り分けてテレビとチューナーへ渡すのが分波器の仕事です。
「周波数帯域」という語が出てきたら分波器です。分岐器の説明には出てきません。
混合器が入口に立つのは、屋上に種類の違うアンテナが並ぶからです。地上波を受けるテレビジョンアンテナと、衛星放送を受けるパラボラアンテナは別々の機器です。この2つの信号を1本の線にまとめてから建物へ引き込みます。
末端の直列ユニットは、壁のテレビ端子として各戸に付きます。分岐機能を持っているので、幹線から自分の分を取り出しつつ、次の階へ信号を通せます。
信号を運ぶ経路そのものにも決まりがあります。
建物内の情報通信では、テレビの信号とLANが同じ経路を通ることもあります。LANの機器とは別系統ですが、引き回しの決まりは共通です。
平成27年度2級No.30では、次の肢が誤りとされました。
この文は、平成30年度と令和7年度で分波器の説明として出題された文とほぼ同じです。名前だけを分岐器に差し替えた形になります。
同じ問題で、分配器・直列ユニット・混合器の3つは正しい側に置かれていました。
幹線に使うのは同軸ケーブルで、設備ごとに使う種類は情報通信設備の屋内配線で分かれます。インピーダンスを合わせて反射を抑える考え方は拡声設備でも同じです。
この設備は、機器の役割だけでなく配線用図記号でも出題されます。
図記号は日本産業規格に定められており、テレビ共同受信設備としてアンテナ・パラボラアンテナ・混合/分波器・増幅器・分岐器・分配器・直列ユニット・テレビ端子などが並びます。
JIS C 0303:2000 構内電気設備の配線用図記号 5.5(テレビ共同受信設備)
テレビジョンアンテナ/パラボラアンテナ/混合・分波器/増幅器/分岐器(1分岐・2分岐・4分岐)/分配器(2分配・4分配・6分配)/直列ユニット/テレビ端子/ヘッドエンド/機器収容箱
分岐器と分配器は、数を傍記して2分岐・4分配のように区別します。図記号の問題では、この名称と記号の組合せがずらされます。
図記号の側は、平成28年度 1級 No.43、令和元年度 2級(前期)No.39、令和7年度 2級(後期)No.36で問われました。どれも図記号と名称の組合せから外れているものを選ばせる形です。出題文のJISの呼び方は年度で違い、平成28年度と令和元年度は日本工業規格、令和7年度は日本産業規格です。2019年の産業標準化法で名称が変わりました。
機器の名称を問う形は、2級で5年度あります。分配器・分岐器・混合器・分波器の4つが並ぶのが3年度で、平成27年度は分波器のかわりに直列ユニット、令和7年度(前期)は混合器のかわりに増幅器が入ります。引っかけは大きく2つです。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 答えになった点 |
|---|---|---|
| 平成27年度 2級 学科No.30 | 機器の記述、不適当なもの | 分岐器は、混合された異なる周波数帯域別の信号を選別して取り出す機器 ←① |
| 平成30年度 2級 学科(後期)No.30 | 説明に該当する機器名 | 混合された異なる周波数帯域の信号を選別して取り出す → 分波器 ←② |
| 令和3年度 2級 第一次(前期)No.29 | 説明に該当する機器名 | 各出力端子に信号を均等に分け、インピーダンスの整合も行う → 分配器 ←② |
| 令和5年度 2級 第一次(後期)No.29 | 説明に該当する機器名 | 幹線から信号を分け、入出力間通過損失を小さく保つ → 分岐器 ←② |
| 令和7年度 2級 第一次(前期)No.27 | 説明に該当する機器名 | 混合された異なる周波数帯域の信号を選別して取り出す → 分波器 ←② |
分波器の定義文は2年度でまったく同じ文が使われています。ここを覚えておけば、平成27年度の貼り替えにも気づけます。
周波数帯域と書いてあれば分波器です。
混同しやすい語
分配器と分岐器:分配器は各出力端子へ均等に、分岐器は幹線から必要な分だけ取り出します。
分岐器と分波器:周波数帯域で選別するのは分波器です。
混合器と分波器:混合器がまとめ、分波器が選り分けます。向きが逆です。
混合された異なる周波数帯域の信号を選別して取り出す機器はどれか?
分波器です。分岐器ではありません。
各出力端子に信号を均等に分け、インピーダンスの整合も行う機器はどれか?
分配器です。
複数のアンテナで受信した信号を1本の伝送線にまとめる機器はどれか?
混合器です。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
「分岐器」と「分波器」は、読みも字面も近い語です。
区別する手がかりは波の字です。波=周波数で分けるのが分波器、と結び付けると入れ替えに気づけます。