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拡声設備とは?スピーカの接続方式とインピーダンスの違いを整理

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直列と並列、ハイとロー。組合せが多くて覚えきれない…。

スピーカって、どうつなぐのが正しいの?

この記事の要点

拡声設備とは、増幅器とスピーカで建物の中へ音声を流す設備のことです。

標準仕様書はスピーカラインをハイインピーダンス系と定めています。定電圧方式ともいいます。

一定の電圧を送るので、同一回線のスピーカは並列につなげます。

事務所ビルの全館放送は、2級で繰り返し問われています。4つの肢の顔ぶれは毎年ほぼ同じで、狂わせる場所だけが動きます。

まず、どうつなぐのが標準なのかを押さえます。

スピーカラインはハイインピーダンス系

拡声設備のスピーカをどうつなぐかは、標準仕様書に定めがあります。

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第6編 第9節 拡声装置 1.9.2「Hi形増幅器」(2)

スピーカラインは、ハイインピーダンス系とする。

節の名前が「Hi形増幅器」です。Hi=ハイインピーダンスで、拡声装置の節ではこの形が定められています。同じ仕様書のケーブルの表にも「100Vハイインピーダンス系スピーカラインに適用する場合」という注記があります。

ただし、同じ仕様書には「1.8.2 Lo形増幅器」もあります。こちらは第8節「映像・音響装置」に置かれていて、スピーカラインをローインピーダンス系と定めています。どちらを使うかは節で分かれていて、全館放送は第9節の拡声装置なのでハイのほうです。

出題で「ローインピーダンス方式のものを使用した」と書かれた肢は、2年度とも答えになりました。

ハイインピーダンスだから、並列でつなげる

なぜこの方式なのかは、同じ問題の別の肢が答えています。令和5年度2級前期No.52の選択肢1です。

「増幅器は、電力伝送損失が少ない定電圧方式とした」。これが正しい側に置かれました。ハイインピーダンス系は定電圧方式のことで、スピーカに一定の電圧を送ります。

一定の電圧を送るから、並列で足していける 増幅器 定電圧方式 スピーカライン(同じ電圧がかかる) スピーカは並列。1つ増やしても他は変わらない
つなぎ方をイメージでつかむための模式図です。回路記号や結線の細部は実物どおりではありません。正しいのは、増幅器が一定の電圧を送り、スピーカを並列につなぐという関係だけです。

電圧が一定なら、スピーカを1つ足しても他のスピーカにかかる電圧は変わりません。だから同一回線のスピーカは並列につなぎます。平成27年度2級No.44の選択肢1は「直列に接続した」と書いて答えになりました。令和元年度2級後期No.44の選択肢1は「並列に接続した」で正しい側です。

例えば、事務所ビルで各階に何十個もスピーカを付けるとき、1本のスピーカラインに並列で足していけます。直列でつなぐと、1つ外したときにその先が全部鳴らなくなります。

言い換えると、「スピーカラインをハイインピーダンス系と決めたから、スピーカを並列で足せる」ということです。

誤りにされるのは2つだけ

この問題に並ぶ論点は毎年ほぼ同じで、そのうち誤りにされるのは接続方式かインピーダンスのどちらかです。

論点 正しい形 誤りで書かれた形
同一回線のスピーカ 並列に接続 直列に接続
スピーカのインピーダンス ハイインピーダンス ローインピーダンス方式
音量調整器の配線 3線式 一度も誤りにされていない
非常警報設備のスピーカへの配線 耐熱電線(HP)・耐熱配線 一度も誤りにされていない
増幅器 定電圧方式 一度も誤りにされていない

音量調整器を3線式にするのは、一斉放送のためです。音量を絞っていても、緊急の放送は最大音量で鳴らす必要があります。3本目の線で調整器を飛び越して信号を送ります。3年度とも正しい側でした。

出題の書き方も年度で少し変わります。平成27年度は「一斉スイッチによる緊急放送を行うため」、令和元年度後期と令和5年度前期は「一斉放送を行うため」です。目的の書き方が変わっても、3線式という答えは動きません。

非常警報設備のスピーカへの配線を耐熱にするのも3年度とも正しい側です。火災のときに配線が切れないようにするためで、根拠は情報通信設備の屋内配線で扱っています。

同じ1.9.2は、デスク形増幅器に付けるアナウンスマイクにも触れています。マイクロホンの選び方はマイクロホンの選定にまとめました。

過去問でどう問われたか

拡声設備の施工は、2級に3年度出ています。

年度・級・問 答えになった肢
平成27年度 2級 No.44 同一回線のスピーカは、直列に接続した
令和元年度 2級後期 No.44 スピーカは、ローインピーダンス方式のものを使用した
令和5年度 2級前期 No.52 (令和元年度後期と同じ文)

ローインピーダンスが2年度、直列が1年度です。そして、ある年度で誤りにされた論点は、別の年度では正しい肢として置かれています。平成27年度の選択肢4は「ハイインピーダンスのものを使用した」で正しい側、令和元年度後期の選択肢1は「並列に接続した」で正しい側でした。

マイクロホンやスピーカの形式を問う形は別の問です。令和2年度1級No.43では、ホーン形は屋外、コーン形は屋内という組合せが正しい側に置かれ、ダイナミック形とコンデンサ形の周波数特性を入れ替えた肢が答えでした。

肢の並びにも決まりがあります。3年度とも、耐熱の肢と音量調整器の肢が必ず入り、残る2つで接続方式かインピーダンスを問います。読むべき肢は最初から2つに絞れます。

令和5年度は増幅器の肢が加わりました。「電力伝送損失が少ない定電圧方式とした」で正しい側です。定電圧方式はハイインピーダンス系の別の言い方なので、この年度は同じ問題の中に答えが置かれていたことになります。選択肢1が正しい方式を示し、選択肢3がその逆を書いて誤りになりました。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • インピーダンスの語を探す:ローと書いてあれば答えです
  • 接続方式を見る:直列なら答え、並列なら正しい側です
  • 音量調整器の肢は飛ばす:3線式で3年度とも正しい側です
  • 耐熱の肢も飛ばす:3年度とも正しい側です
  • 定電圧方式は正しい側:ハイインピーダンス系と同じことを言っています

まちがえやすいポイント

ローインピーダンスという言葉自体は、悪いものではありません。

家庭用のオーディオはローインピーダンスでつなぎます。建物の拡声設備でハイインピーダンスを使うのは、長い配線でも損失が少なく、多数のスピーカを並列に足せるからです。用途が違うだけで、方式そのものに優劣はありません。

直列と書いた肢も同じで、直列につなぐ回路が世の中に無いわけではありません。拡声設備のスピーカラインでは並列だ、という話です。

混同しやすい語

ハイインピーダンスと定電圧方式:同じ方式を別の言い方で呼んでいます。どちらも正しい側です。

直列と並列:スピーカラインは並列です。直列と書いた肢が答えになりました。

3線式と2線式:音量調整器を3線式にするのは、一斉放送で調整器を飛び越すためです。

耐熱電線(HP)とAE:非常警報設備のスピーカへの配線は耐熱側です。AEは警報用で、耐熱ケーブルではありません。

理解度チェック

Q.

同一回線のスピーカはどう接続するか?

並列に接続します。直列とした肢が平成27年度の答えで、令和元年度後期には並列が正しい側に置かれました。

Q.

全館放送のスピーカはどちらのインピーダンスか?

ハイインピーダンスです。ローインピーダンス方式とした肢が令和元年度後期の答えでした。

Q.

音量調整器の配線はどうするか?

3線式で配線します。緊急放送でも一斉放送でも、3年度とも正しい側に置かれています。

Q.

非常警報設備に用いるスピーカへの配線は何か?

耐熱電線(HP)です。3年度とも正しい側で、令和5年度前期だけは「耐熱配線」と書かれました。

まとめ

  • 同一回線のスピーカは並列。直列とした肢が平成27年度の答え。
  • スピーカはハイインピーダンス。ローとした肢が令和元年度後期の答え。
  • 音量調整器は3線式で、3年度とも正しい側。
  • 非常警報設備に用いるスピーカへの配線は耐熱電線(HP)。

参考資料

  • 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版」1.9.2「Hi形増幅器」(PDF
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成27年度2級No.44・令和元年度2級(後期)No.44・令和5年度2級(前期)No.52・令和2年度1級No.43
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