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4つの肢がどれももっともらしくて、選びようがない…。
IP66もPoEも正しそうに見えるんだけど?
この記事の要点
監視カメラ設備の施工とは、屋外カメラのハウジングやネットワークカメラの配線、雷保護などを含めた据付けの作業のことです。
標準仕様書は通信用SPDを機器付近に置くものと建物引込口等に置くものに分けています。
だから片側だけに設けると書いた肢は誤りになります。読むのは限定の語です。
監視カメラ設備の施工は、1級に3年度出ています。4つの肢のうち3つが年度をまたいで繰り返され、答えも同じ論点に固定されています。
まず、SPDをどこに置くのかを押さえます。
通信用のSPDは、どこに置くかで性能の区分が決まっています。標準仕様書が表で示しています。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第6編 1.4.5「通信用SPD」(1) 表1.4.4「カテゴリC2、D1の性能」(版面p.217)
通信用SPDは、JIS C 5381-21「低圧サージ防護デバイス-第21部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス(SPD)の要求性能及び試験方法」により分類されているカテゴリC2又はD1の性能を持つものとし、表1.4.4による。
なお、カテゴリは、特記による。
カテゴリC2 建物内の機器付近に設置し、建物内部に発生する雷サージから機器を保護する
カテゴリD1 建物引込口等に設置し、直撃雷による雷電流に対応
置く場所は「機器付近」と「建物引込口等」の2つです。役割も違います。機器付近のものは建物の内部で生じた雷サージから機器を守り、引込口のものは直撃雷そのものを受け止めます。
言い換えると、「C2とD1は守る相手が違うので、どちらか一方では片側が空く」ということです。
受け止める大きさも桁が違います。C2は短絡回路電流1kAから5kA、D1は0.5kAから2.5kAですが、D1は波形が10/350マイクロ秒で、直撃雷の長い波形に耐える区分です。片方がもう片方の代わりにはなりません。
屋外カメラは、建物の外にあります。雷サージは、そのカメラや屋外の配線から建物へ入ってきます。雷そのものへの手当ては雷保護システムにまとめました。
出題の肢は「信号ケーブル及び電源ケーブルの監視装置本体側のみに専用のサージ防護デバイス(SPD)をそれぞれ設けた」と書きます。信号と電源の両方に付けている点は正しく、片側だけにした点が誤りです。
読むのは「のみ」の2文字です。3年度とも、この語が入った肢が答えになりました。
SPD以外の肢は、年度をまたいで繰り返されます。どれも標準仕様書に規定があります。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第6編 1.13.5「その他」(1)(版面p.245)
(1) ハウジングは、次による。
(ア) ハウジングは、金属製又は十分な強度を有する合成樹脂製とする。
(イ) 屋外形ハウジングの保護構造は、JIS C 0920「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」によるIPX4とする。(以下略)
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第6編 1.5.1「一般事項」(11)(版面p.220)
(11) PoEは、次による。
(ア) PoE方式により電力を供給する機器は、特記による。
(イ) PoEは1ポート当たりに必要な電力を供給できるものとし、特記がなければ、表1.5.4による。
表1.5.4 PoEの分類:15.4W以下=PoE/30.0W以下=PoE+/90.0W以下=PoE++(規格はISO/IEC/IEEE 8802-3 イーサネット規格)
(ウ) 電力供給方式は、エンドスパン方式又はミッドスパン方式とし、その区別は、特記による。
ハウジングの等級は、仕様書ではIPX4と定められています。出題の肢はIP 66と書いており、こちらも同じJIS C 0920による等級です。3年度とも正しい側に置かれました。
例えば、PoEでカメラに給電する場合、スイッチングハブ側にもPoE機能が要ります。仕様書は1.5.2でスイッチの機能を1.5.1(11)に戻して読ませており、出題の「PoEタイプのスイッチングハブから」という書き方はこの形と合っています。
| 論点 | 肢の書かれ方 | 扱い |
|---|---|---|
| ハウジングの保護等級 | 水などの浸入に対する保護等級として、IP66の仕様のものを使用した | 3年度とも正しい側 |
| IPカメラへの給電 | PoEタイプのスイッチングハブからLANケーブルを用い、電力を供給した | 3年度とも正しい側 |
| 既設ケーブルの流用 | IPカメラの信号線は、専用のコンバータを用いて既設の同軸ケーブルを流用した | 2年度とも正しい側 |
| 屋外ケーブルの種類 | 誘導雷を考慮して、光ファイバケーブルを使用した | 1年度に正しい側 |
| SPDの設置箇所 | 監視装置本体側のみにそれぞれ設けた | 3年度とも答え |
光ファイバケーブルが正しい側に置かれるのは、金属を含まないので誘導雷の影響を受けないからです。SPDで受け止めるか、そもそも誘導を受けない材料にするか。雷への手当ては2通りあり、どちらも正しい側です。ケーブルの種類は情報通信設備の屋内配線、光ファイバそのものは光ファイバの構造で扱っています。
監視カメラ設備の施工は、1級に3年度出ています。
文はほぼ同じで、細かい語が1つずつ落ちるだけです。位置は選択肢2から選択肢4へ動きました。令和元年度は「専用のサージ防護デバイス」、令和4年度は「サージ防護デバイス」、令和8年度は「それぞれ」が消えて「設けた」で終わります。
削られるのは修飾の語ばかりで、「本体側のみに」の部分は3年度とも残っています。ここが答えを決める場所だからです。文が短くなっても、探す語は変わりません。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
カテゴリC2とD1:C2は建物内の機器付近、D1は建物引込口等。置く場所が違います。
SPDと光ファイバ:どちらも雷への手当てですが、受け止めるか、そもそも受けないかで違います。
IP 66とIPX4:仕様書は屋外形ハウジングをIPX4と定め(1.13.5(1)(イ))、出題の肢はIP 66と書いています。どちらもJIS C 0920「電気機械器具の外郭による保護等級(IPコード)」による等級です。屋外カメラのIP 66は3年度とも正しい側でした。
PoEと別電源:PoEはLANケーブルで電力も送る方式です。3年度とも正しい側です。
SPDについて書いた肢の扱いは?
3年度とも誤りにされました。「信号ケーブル及び電源ケーブルの監視装置本体側のみに設けた」という書き方です。
屋外カメラのハウジングの保護等級は?
IP66です。水などの浸入に対する保護等級として、3年度とも正しい側に置かれました。
ネットワークカメラへの給電方法は?
PoEタイプのスイッチングハブからLANケーブルを用いて電力を供給します。3年度とも正しい側でした。
既設の同軸ケーブルは使えるか?
専用のコンバータを用いて流用する肢が、令和元年度と令和8年度で正しい側でした。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
SPDを付けたこと自体は正しい記述です。
信号ケーブルと電源ケーブルの両方に設けている点も、専用のものを使う点も誤りではありません。誤りは「本体側のみ」という限定だけです。肢を読むときは、機器の名前ではなく限定の語を探します。
標準仕様書がカテゴリC2(機器付近)とD1(建物引込口等)を分けていることが、その根拠になります。