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損失測定の話になると、聞き慣れない用語ばっかり。
フレネル反射も挿入法も、どっちもそれらしく見えて選べない。
この記事の要点
接続損失とは、光ファイバどうしをつないだ箇所で生じる損失のことです。
戻ってくる光は2種類あり、ゆらぎで起きるのがレーリ散乱、境界面で起きるのがフレネル反射です。
接続では融着接続がいちばん損失が小さく、標準仕様書が1箇所あたりの上限を数値で決めています。
光ファイバの損失と張力は、1級で4年度、答えになっています。並ぶ肢は損失測定・接続・張力・ケーブルの種類の4つに分かれます。
まず、測定に使う2種類の光を分けます。
光ファイバに光を入れると、戻ってくる光が2種類あります。どちらも測定に使われますが、生まれる場所が違います。
計測自動制御学会「計測と制御」第35巻第1号 解説「OTDR(時間領域光リフレクトメトリ)」注記
レーリ散乱光 光ファイバ内の、波長に比較し十分小さな屈折率のゆらぎによって生じる、入射光と等しい波長の散乱光をいう。
フレネル反射光 ファイバの端面など、屈折率が違う2つの媒質の境界面で生じる反射光をいう。
屈折率のゆらぎで起きるのはレーリ散乱で、フレネル反射ではありません。フレネル反射が起きるのは、端面や接続点のように屈折率が急に変わる境目です。
平成25年度と平成29年度の1級は、この2つを入れ替えた肢を出しました。「ファイバ内の屈折率のゆらぎによるフレネル反射を利用する方法」という書き方で、2年度とも答えになっています。ゆらぎと書いてあるのにフレネル反射と続く点が食い違いです。
戻ってくる光を時間の軸で見る測定器がOTDRです。同じ解説が、測れるものを挙げています。
片端から入れた光がいつ戻ってきたかで距離が出るので、どこで損失が増えたかを位置として示せます。解説は、これらの測定を基本的に片端から非破壊で行えることをOTDRの特徴としています。
一方、挿入法は入射した光と出てきた光のパワーを比べる方法です。差は全体の損失の量になりますが、その差がどこで生まれたかは出てきません。平成30年度1級の選択肢4は、挿入法に「損失増加の発生位置を検出できる」と付けて答えになりました。位置を出せるのはOTDRの側です。
測定の話は光ファイバの構造と合わせて読むと整理できます。実際の敷設や接続の手順は光ファイバケーブルの施工にまとめました。
例えば、1kmの区間で損失が大きいと分かったとき、挿入法では全体の値しか出ません。OTDRなら、どの地点で増えたかが分かります。
言い換えると、「挿入法は損失の量を測る方法、OTDRは場所まで分かる方法」ということです。
接続の方法によって、どれだけ損失が出るかは変わります。標準仕様書が数値で決めています。
公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 2.8.4「光ファイバケーブル相互の接続」
光ファイバケーブル相互の接続は、アーク放電による融着接続又は光コネクタによる接続とする。融着接続による1箇所の最大挿入損失は0.3dB以下、コネクタ接続による1箇所の最大挿入損失は0.75dB以下とする。
なお、光ファイバケーブルの接続を融着接続とする場合は、JIS C 6841「光ファイバ心線融着接続方法」による。
| 接続の方法 | 1箇所の最大挿入損失 | 作業 |
|---|---|---|
| 融着接続 | 0.3dB以下 | アーク放電で溶かしてつなぐ。専用の装置が要る |
| コネクタ接続 | 0.75dB以下 | 突き合わせてつなぐ。取り外しができる |
| メカニカル接続 | 融着より大きい側 | 部品で機械的に固定する。作業時間は短い |
仕様書が数値で分けているのは融着とコネクタですが、融着接続がいちばん損失の小さい方法だという向きは、この2つの値から読めます。
平成28年度1級の選択肢1は、メカニカル接続を「融着接続に比べて接続作業に要する時間が短く、接続損失も少ない」と書いて答えになりました。時間は短い側で合っていますが、損失は逆です。1つの肢の前半と後半で扱いが分かれます。
測って合否を出すという点では、UTPケーブルの測定も同じ流れです。
光ファイバの損失と接続が答えになったのは、1級の4年度です。
| 年度・級・問 | 答えになった肢 |
|---|---|
| 平成25年度 1級 No.48 | 損失測定方法には、ファイバ内の屈折率のゆらぎによるフレネル反射を利用する方法がある |
| 平成28年度 1級 No.48 | メカニカル接続は、融着接続に比べて接続作業に要する時間が短く、接続損失も少ない |
| 平成29年度 1級 No.48 | (平成25年度とほぼ同じ文) |
| 平成30年度 1級 No.48 | 損失測定には…入射光パワーと出射光パワーの差によって損失を測定する挿入法があり、損失増加の発生位置を検出できる |
フレネル反射が2年度、接続損失が1年度、位置の検出が1年度です。いずれも用語の中身か、できることの範囲を1か所だけ書き換えて作られています。
正しい側に置かれ続ける肢もあります。布設張力は許容範囲内に収めること、ノンメタリック型は金属を含まないので誘導の影響を受けないこと。張力は平成25年度・平成28年度・平成29年度、ノンメタリック型は平成25年度・平成28年度・平成30年度で、どちらも3年度ずつ、すべて正しい側でした。平成28年度だけ「布設張力」でなく「敷設張力」と書かれています。情報通信設備の屋内配線やLANの機器でも、光ファイバは肢の1つとして顔を出します。
この系統の肢は、次の順に見ます。
混同しやすい語
レーリ散乱とフレネル反射:ゆらぎで起きるか、境界面で起きるか。2年度ともここが入れ替わりました。
挿入法とOTDR:挿入法は損失の量、OTDRは量と位置。位置を出せるのはOTDRです。
融着接続とメカニカル接続:融着は損失が小さく時間がかかる、メカニカルは時間が短く損失は大きい側です。
挿入損失と接続損失:仕様書は接続1箇所あたりの最大挿入損失として数値を決めています。
2年度とも答えになったのはどの肢か?
損失測定にフレネル反射を利用する方法があるという肢です。位置も選択肢3で固定でした。
メカニカル接続の何が誤りとされたか?
接続損失も少ないとした部分です。作業時間が短いことは同じ肢に書かれています。
許容布設張力を超えるとどうなるか?
伝送特性及び長期信頼性が低下します。3年度とも正しい側でした。
光ファイバの損失にはどんな種類があるか?
ファイバ固有の損失、曲がりによる放射損失、接続損失などです。
参考資料
※ この記事の出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
2つの語のどちらも、測定に実際に使われています。
フレネル反射もレーリ散乱もOTDRが見ている光なので、「使わない」という覚え方だと外します。分かれ目は起きる場所で、ゆらぎならレーリ散乱、境界面ならフレネル反射です。
メカニカル接続も同じで、時間が短いこと自体は正しい記述です。肢を前半と後半に切って、それぞれの向きを確かめます。