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中央監視制御装置の機能とは?名前と定義の対応の崩し方を整理

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スケジュール制御にデマンド監視にトレンド表示。名前は覚えたよ。

でも説明を読むと、全部それらしく見えるんだけど?

この記事の要点

中央監視制御装置の機能とは、建物の設備機器を監視し、決められた条件で制御したり警報を出したりする働きのことです。

機能の名前と中身は、国土交通省の標準仕様書の表1.3.1に1行ずつ対で並んでいます。

誤りは、その対応を崩して作られます。5年度で答えになった名前は3つあり、そのどれもが表1.3.1に載っていません

中央監視制御装置は、建物の設備機器の状態を1か所に集めて表示し、決められた条件で発停させたり警報を出したりする装置です。持っている機能には一つずつ名前が付いていて、その名前と中身の組み合わせが問われます。

まず、正しい組み合わせがどこで決まっているのかを押さえます。

機能の名前と中身は、標準仕様書の表で決まっている

どんな機能を持つかは、国土交通省の標準仕様書に一覧があります。名前と、その名前が何をするかが、1行ずつ対で並んでいます。

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第7編第1章第3節 1.3.1 表1.3.1「監視制御装置の機能」(版面p.287〜290・抜粋)

グラフィック表示:設備ごと又は階ごとの系統図、平面図を表示装置に出力し、機器の状態、警報、計測値をシンボルの色変化、点滅等で行うとともに、計測値をデジタル値で表示する。

エネルギー管理用グラフ作成機能:電力、温度、湿度等の計測値、積算値等の時系列変化を一定期間蓄積し、トレンドグラフ(折れ線グラフ)、バーグラフ(棒グラフ、積層グラフ等)等で表示装置に表示する。(以下略)

電力デマンド監視:使用電力量から、時限終了時の電力量を予測し、デマンド目標値を超えるおそれがある場合に表示装置に表示し、警報を発する。

電力デマンド制御:電力デマンド監視により警報が発せられた場合に、設定された優先順位に従って負荷の遮断及び復帰を行う。

スケジュール制御:設定したタイムスケジュール(曜日、日時等を含む)に従い、登録した機器の自動発停制御を行う。

停電・復電制御:停電時にあらかじめ定められた負荷の自動切離しを行う。復電時は、スケジュール状態に合わせた負荷の再投入又は設定順位に従った負荷制御を行う。

発電装置負荷制御:停電時等の発電装置立上げに伴い、設定された優先順位に従った負荷制御を行う。

火災連動制御:火災発生時に設定した空気調和機、ファン等を一斉又は個別に停止する。

機器稼働履歴監視機能:機器の運転時間、運転回数、故障回数等を積算し、設定した値を超えた場合、表示装置に表示し警報を発する。

出題の肢は、この表の文をほぼそのまま使っています。言い換えると、「正しい肢は仕様書の写しなので、読んでも引っかからない」ということです。

表に無い名前が出てきたら、その説明を疑う

誤りの作り方は1つです。機能の名前はそのままにして、説明だけを別の機能のものに差し替えます。

ここに手がかりがあります。5年度で答えになった機能名は3つで、そのどれもが表1.3.1に載っていません。正しい側に並ぶ名前は表から取られ、答えの名前は表の外から持ってこられています。

名前はそのまま、説明だけ別の行から持ってくる 仕様書の表(正しい対) トレンド表示 その説明 グラフィック表示 その説明 持ってくる 出題の誤りの肢 トレンド表示 別の説明 名前だけ見ても分からない。説明のほうを読む 説明が別の機能のものなら、そこが答え
誤りの作られ方をイメージでつかむための模式図です。表の並びや行数は実物どおりではありません。正しいのは、機能名と説明が1対1で対応していること、誤りはその対応を崩して作られることだけです。

5年度分の答えを並べると、貼られた説明の出どころまで分かります。

答えの名前 表1.3.1で近い行 貼られた説明の出どころ
トレンド表示 エネルギー管理用グラフ作成機能(計測値の時系列変化をトレンドグラフで表示) グラフィック表示の行
自動力率制御 無し(器具類の自動力率制御装置に規定がある) 電力デマンド制御の行
無効電力制御 無し(同上) 表の外(変圧器の台数制御)

上の2つは、仕様書の表にある文がそのまま隣の名前に付いています。

トレンド表示に付けられた「系統図や平面図を表示し、シンボルの色変化や点滅で表す」は、グラフィック表示の行の文です。

自動力率制御に付けられた「警報が発せられた場合に、優先順位に従って負荷の遮断及び復帰を行う」も、電力デマンド制御の行の文でした。

3つ目だけは表に無い説明で、変圧器の台数制御の話に置き換えられています。

例えば、令和8年度は選択肢3にグラフィック表示が正しい説明で置かれ、選択肢4の自動力率制御に電力デマンド制御の説明が貼られました。表に載っている名前と載っていない名前が、同じ問の中に並んでいます。

力率を扱う2つの名前は、器具の規定に根拠がある

無効電力制御と自動力率制御は表1.3.1に無い名前ですが、根拠が無いわけではありません。監視操作装置に取り付ける器具として、仕様書の別の編に規定があります。

公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版 第3編 1.1.5「器具類」(14)(版面p.103)

自動力率制御装置は、次による。

(ア) 埋込形とする。

(イ) 無効電力検出方式とする。

(ウ) コンデンサの制御方式は、サイクリック制御方式とする。

(オ) 軽負荷時にコンデンサを遮断する機能を有するものとする。

(キ) 表示部を有するものとし、力率等を表示できるものとする。

制御する相手はコンデンサだと、ここに書かれています。無効電力を検出して、コンデンサを順に入れたり切ったりする装置です。

令和5年度1級No.38の選択肢1も、これと同じ内容でした。「無効電力制御は、コンデンサの台数制御を行い、常に力率を適正に保つ制御を行う」。誤りの肢は、この「コンデンサ」を「変圧器群」に、「力率を適正に保つ」を「最小運転台数を決定し投入及び切離しをする」に変えたものです。台数を制御するという形は同じで、相手が違います。

無効電力を出し入れするのはコンデンサです。だから力率を直したいときに入れたり切ったりするのもコンデンサになります。変電所の機器の役割でも、電力用コンデンサは無効電力を調整するものとして正しい側に置かれています。言い換えると、「変圧器を何台動かすかは負荷の大きさで決める、力率とは別の話」ということです。

コンデンサを入れるときに直列リアクトルを付ける理由は高調波の側で扱っています。監視制御盤に並ぶ機器の記号はJEMの文字記号で引けます。

過去問でどう問われたか

中央監視制御装置の機能は、1級に5年度出ています。5年度とも答えは4番目の肢でした。

  • 平成28年度 1級 No.39:無効電力制御は、変圧器群の負荷計測を行い、最小運転台数を決定し変圧器の投入及び切離しをする
  • 平成30年度 1級 No.39:トレンド表示は、設備系統図や平面図を表示装置上に表示して、機器の状態や警報をそのシンボルの色変化や点滅で表示を行う
  • 令和2年度 1級 No.39:平成28年度と同じ内容で、語尾が「行うことをいう」
  • 令和5年度 1級 No.38:平成30年度と同じ文
  • 令和8年度 1級 No.35:自動力率制御は、警報が発せられた場合に、設定された優先順位に従って負荷の遮断及び復帰を行う

使い回しは2組あります。無効電力制御が2年度、トレンド表示が2年度で、それぞれほぼ同じ文です。残る1年度が自動力率制御でした。

選択肢1から選択肢3に並んだ名前は8種類でした。

  • 3年度:電力デマンド監視・機器稼働履歴監視
  • 2年度:火災連動制御・スケジュール制御・発電装置負荷制御
  • 1年度:停電・復電制御・グラフィック表示・無効電力制御

このうち無効電力制御を除く7つは、一度も誤りにされていません。無効電力制御だけは、令和5年度に正しい側の選択肢1へ置かれ、平成28年度と令和2年度には答えの選択肢4へ回っています。

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 選択肢4から読む:5年度とも答えは選択肢4でした
  • 表1.3.1に無い名前を探す:トレンド表示・無効電力制御・自動力率制御の3つが答えになりました
  • 名前ではなく説明を読む:名前だけ見ても誤りは分かりません
  • 「系統図や平面図」が出たらグラフィック表示:トレンド表示に付いていたら答えです
  • 「優先順位に従って負荷の遮断」が出たら電力デマンド制御:自動力率制御に付いていたら答えです
  • 無効電力制御は相手を見る:コンデンサなら正しい側、変圧器なら答えです

まちがえやすいポイント

機能名を覚えても解けません。

この出題で問われているのは、名前と説明の対応です。名前はどれも実在する機能なので、名前だけを見ても引っかかりません。読むのは説明の側で、それが別の機能のものになっていないかを確かめます。

信号の種類を問う形や配線を問う形は別の問です。中央監視制御は入出力条件信号線でも出ます。

混同しやすい語

トレンド表示とグラフィック表示:トレンドは時系列の変化、グラフィックは系統図・平面図です。この2つの入れ替えが2年度あります。

電力デマンド監視と電力デマンド制御:監視は警報を出すところまで、制御はそのあと負荷を切るところまでです。

無効電力制御と変圧器の台数制御:どちらも台数を制御しますが、相手がコンデンサか変圧器かで違います。

自動力率制御:力率を扱う機能です。負荷の遮断は電力デマンド制御の仕事です。

理解度チェック

Q.

無効電力制御はどう説明されたか?

コンデンサの台数制御を行い、常に力率を適正に保つ制御を行うことです。令和5年度の正しい肢にあります。

Q.

系統図や平面図にシンボルを重ねる表示はどれか?

グラフィック表示です。この説明をトレンド表示に当てた肢が2年度とも答えでした。

Q.

電力デマンド監視は何をするか?

使用電力量から時限終了時の電力量を予測し、デマンド目標値を超えるおそれがある場合に表示装置に表示して警報を発します。警報のあとで負荷を切るのは電力デマンド制御です。

Q.

答えの肢はどの位置に置かれたか?

5年度とも選択肢4です。選択肢1から選択肢3が答えになったことはありません。

まとめ

  • 5年度とも選択肢4が答え。無効電力制御が2年度、トレンド表示が2年度、自動力率制御が1年度。
  • 答えになったこの3つは、いずれも表1.3.1に載っていない名前。
  • 無効電力制御はコンデンサの台数制御で力率を適正に保つ。変圧器群の台数制御を当てた肢が答え。
  • 系統図や平面図にシンボルを重ねるのはグラフィック表示。トレンド表示に当てた肢が答え。
  • 電力デマンド監視・機器稼働履歴監視・火災連動制御・スケジュール制御・発電装置負荷制御・停電復電制御・グラフィック表示は、一度も誤りにされていない。

参考資料

  • 国土交通省「公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)令和7年版」第7編第1章第3節 1.3.1 表1.3.1「監視制御装置の機能」、第3編 1.1.5「器具類」(14)(PDF
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)平成28年度1級No.39・平成30年度1級No.39・令和2年度1級No.39・令和5年度1級No.38・令和8年度1級No.35
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