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計器の名前がどれも似ていて、区別がつかない…。
動作原理の説明を読んでも、どれの話なの?
この記事の要点
誘導形計器とは、一つ以上の固定電磁石の交流磁界と、この磁界で可動導体中に誘導される渦電流との相互作用によって動作する計器のことです。動かしているのは渦電流です。
固定電極と可動電極の間に生じる静電力で動作するのは、誘導形ではなく静電形計器です。
試験は、この2つの定義を貼り替えて出してきます。
JISは計器を、何の力で針を動かしているかで分けています。
だから読み分けも、名前ではなく定義文に出てくる力の名前を追います。
まず、代表的な計器の定義です。
JIS C 1102-1:2011 直動式指示電気計器 第1部 2.2.1(永久磁石可動コイル形計器)
固定永久磁石の磁界と、可動コイル内の電流による磁界との相互作用によって動作する計器。
同 2.2.5(電流力計形計器)
可動コイル内の電流による磁界と、一つ以上の固定コイル内の電流による磁界との相互作用によって動作する計器。
言い換えると、「固定側が永久磁石か、固定側もコイルか」という違いです。
可動側はどちらもコイルです。違うのは固定側だけです。
この2つが、出題でいちばん入れ替えられます。
JIS C 1102-1:2011 2.2.7(誘導形計器)
一つ以上の固定電磁石の交流磁界と、この磁界で可動導体中に誘導される渦電流との相互作用によって動作する計器。
同 2.2.10(静電形計器)
固定電極と可動電極との間に生じる静電力の作用で動作する計器。
定義文に出てくる語を抜き出して比べます。
| 計器 | 固定側にあるもの | 動かしている力 |
|---|---|---|
| 誘導形 | 固定電磁石(交流磁界) | 可動導体中に誘導される渦電流との相互作用 |
| 静電形 | 固定電極 | 可動電極との間に生じる静電力 |
例えば、定義文に「電極」という語が出てきたら静電形の話です。
誘導形の定義に電極は出てきません。出てくるのは電磁石と導体と渦電流です。
定義はどれも、固定側と可動側の組み合わせで書かれています。
熱電対形だけは、この組み合わせではなく、測定電流で熱せられる熱電対の起電力を使う、という書き方です。
永久磁石可動コイル形と電流力計形は、可動側がどちらもコイルです。違うのは固定側で、永久磁石か、電流を流したコイルかで分かれます。
可動鉄片形の定義には、吸引力で動く形と、反発力で動く形の2通りが書かれています。どちらも固定コイルの電流で鉄片を磁化させる点は同じです。
同じ条に、鉄片を使う形と熱を使う形もあります。
JIS C 1102-1:2011 2.2.3(可動鉄片形計器)(抜粋)/2.2.8(熱形計器)/2.2.8.2(熱電対形計器)
可動鉄片形計器 軟磁性材の可動片と固定コイル内の電流による磁界との間に生じる吸引力によって動作する計器、又は 軟磁性材の一つ(又は複数)の固定片と軟磁性材の一つの可動片とをもち、両者(又はすべて)の鉄片が固定コイル内の電流によって磁化されて生じる反発力(及び/又は吸引力)によって動作する計器。
熱形計器(熱電形計器) 導体内の電流の熱効果によって動作する計器。
熱電対形計器 測定電流で熱せられる一つ以上の熱電対の起電力を用いる熱形計器。
熱電対形だけが、力ではなく起電力を使います。「熱電形計器」は 2.2.8 の熱形計器の別名で、熱電対形計器(2.2.8.2)とは別の語です。出題は2.2.8.2の定義を「熱電対形計器」の名で出しています。
混同しやすい語
誘導形と静電形:誘導形は交流磁界と渦電流、静電形は固定電極と可動電極の静電力です。定義文に「電極」があれば静電形です。
永久磁石可動コイル形と電流力計形:可動側はどちらもコイルです。固定側が永久磁石なら前者、固定コイルなら後者です。
可動鉄片形と可動コイル形:動く部品が鉄片かコイルかの違いです。可動鉄片形は吸引力で動きます。
計器そのものの話は、現場でどう使うかにつながります。
この論点は1級で3年度、2級で4年度出ています。引っかけは大きく4つです。
| 年度・級・問 | 問われ方 | 誤りとされた記述 |
|---|---|---|
| 令和5年度 1級 第一次検定 No.4 | 指示電気計器の動作原理に関する記述として、不適当なもの | 誘導形計器は、固定電極と可動電極との間に生ずる静電力の作用で動作する計器である ←① |
正しくは、誘導形計器は固定電磁石の交流磁界と、可動導体中に誘導される渦電流との相互作用で動作します。固定電極と可動電極の静電力は静電形計器の定義です。
同じ問に並んだ熱電対形・永久磁石可動コイル形・電流力計形の説明は、JISの定義とほぼ同じ文で、正しい肢に置かれていました。
この貼り替えは、平成27年度にも同じ形で出ています。
平成27年度 1級 学科試験No.4 選択肢1(公表正答1)
誘導形計器は、固定電極と可動電極との間に生ずる静電力の作用で動作する計器である。
令和5年度とほぼ同じ文で、置かれた位置が選択肢1から選択肢2に動いただけです。同じ問に熱電対形計器の定義も並んでおり、こちらも正しい側でした。
定義ではなく、使える電源の種類を聞く形もあります。
令和3年度 2級 第一次検定(前期)No.4 選択肢1(公表正答は選択肢1)
永久磁石可動コイル形計器(直流専用の指示電気計器として適当)
令和元年度2級学科試験(前期)No.4にも同じ4択が出ており、そちらは熱電形計器が並んでいました。
直流専用は永久磁石可動コイル形です。可動鉄片形・電流力計形・熱電形は交流でも使えます。
電流力計形の性質そのものを問う年度もあります。令和元年度1級学科試験No.4は「電流力計形計器に関する記述として不適当なもの」で、交流専用かどうか・電力計として使えるか・外部磁界の影響を受けやすいかが肢に並びました。
2級は、図記号と計器名の対応を聞く形が繰り返し出ています。
令和5年度だけ問いの向きが逆で、「不適当なもの」を選ばせています。1級も2級も、この論点はNo.4の位置に置かれます。
電極と書いてあったら静電形。誘導形は渦電流です。
加圧して調べる試験は絶縁耐力試験に、波形がひずむ話は高調波にまとめました。
動作原理の肢は、次の順に見ます。
誘導形計器は何によって動作するか?
一つ以上の固定電磁石の交流磁界と、この磁界で可動導体中に誘導される渦電流との相互作用です。
固定電極と可動電極の間に生じる静電力で動作するのは、どの計器か?
静電形計器です。誘導形計器ではありません。
永久磁石可動コイル形と電流力計形は、どこが違うか?
固定側です。前者は固定永久磁石の磁界、後者は一つ以上の固定コイル内の電流による磁界を使います。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の規格・出題の確認日:2026年8月
まちがえやすいポイント
誘導形という名前から、電磁誘導という言葉だけを連想して覚えると、静電形と混ざります。
定義の決め手は可動導体中に誘導される渦電流です。渦電流という語が入っているかどうかで判定できます。