平成30年度 地質調査技士 現場調査部門 No.39を解説、岩盤の透水試験
平成30年度 地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 No.39は、岩盤・地盤の透水試験に関する問題です。この問題では、4つの記述のうち最も適当なものを1つ選びます。
この問題のポイント
透水試験は、対象が「未固結の土か、割れ目のある岩盤か」と、方法が「定常法か非定常法か」で手法が分かれます。
各選択肢は、孔内水位回復法・揚水試験・ルジオン試験・注水試験という別々の手法を並べ、その説明の当否を問います。
引っかけの核心は1点、揚水試験はDarcyの法則が成り立つ地盤を前提とするという性質です。水が割れ目に集中して流れる亀裂性の岩盤には向かないので、「亀裂を有する岩盤には適用できない」とした記述が正しい肢になります。
※ 問題文そのものは、一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)が公開している公式サイトで確認できます。
正解:選択肢2(最も適当な記述)
各選択肢の正誤
| 選択肢 | 記述の要旨 | 正誤 |
|---|---|---|
| 1 | 孔内水位回復法を定常法に分類する | ×(誤り) 孔内水位回復法(JGS1321)は非定常法 |
| 2 | 揚水試験はDarcyの法則が前提で、亀裂を有する岩盤には適用できない | ○(正しい) |
| 3 | ルジオン試験の説明 | ×(誤り) 岩盤の透水性をルジオン値で表す試験で、記述が実際と合わない |
| 4 | 注水試験の説明 | ×(誤り) 注水の条件についての記述が実際と合わない |
選択肢1・3・4は、手法の分類や条件を取り違えた記述です。選択肢2が、揚水試験の適用範囲を正しく述べた記述です。
選択肢2のポイント(ここが正しい)
揚水試験は、観測井で水をくみ上げ、まわりの水位低下から帯水層の透水係数や貯留係数を求める試験です。
このとき地盤を、すき間が一様につながった等方均質な多孔質媒体(Darcyの法則が成り立つ連続体)とみなして解析します。
ところが亀裂の卓越する岩盤では、水が個々の割れ目に集中して流れ、この前提が成り立ちにくくなります。だから揚水試験は亀裂を有する岩盤には適用しにくいという選択肢2は正しい記述です。揚水試験(JGS1315)はもともと未固結地盤の帯水層を対象とする試験です。
ほかの選択肢が誤りの理由も押さえます。
孔内水位回復法は、ボーリング孔の水位を人工的に下げ、自然水位へ回復していく過程の変化を測る非定常法です。定常法とする選択肢1は誤りです。
ルジオン試験は、パッカーで区切った岩盤の試験区間に一定の水圧で注水し、透水性をルジオン値で表す試験です。ダム基礎のグラウチング計画などに使います。選択肢3はこの説明と合いません。
注水試験は、孔に水を注いで岩盤・地盤の透水性を調べる試験ですが、選択肢4は注水の条件についての記述が実際と合いません。
選択肢2が、透水試験の適用範囲として最も適当です。揚水試験=Darcyの法則が前提=亀裂岩盤には不向きと押さえます。
覚え方
- 透水試験は「対象(土か岩盤か)」と「定常法か非定常法か」で手法が分かれる
- 孔内水位回復法(JGS1321)=水位の回復を測る非定常法
- 揚水試験(JGS1315)=未固結地盤の帯水層向け・Darcyの法則が前提なので亀裂岩盤には不向き
- ルジオン試験(JGS1323)=岩盤の透水性をルジオン値で表す(0.98MPaで試験区間1m当たり毎分1Lの注入量=1ルジオン)・ダム基礎のグラウチングに使う
理解度チェック
問題:揚水試験は、亀裂が卓越する岩盤の透水性を求めるのに適している。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
揚水試験はDarcyの法則が成り立つ地盤を前提とします。水が割れ目に集中する亀裂性の岩盤には適用しにくく、もともと未固結地盤の帯水層を対象とする試験です。
問題:孔内水位回復法は、定常法に分類される透水試験である。
〇か×か。
答えを見る
答え:×
孔内水位回復法は、人工的に変えた水位が自然水位へ回復する過程を測る非定常法です。
出典・参考資料
- 一般社団法人 全国地質調査業協会連合会(全地連)「平成30年度 地質調査技士資格検定試験 現場調査部門 試験問題」
- 地盤工学会基準(現場透水試験):JGS 1315 揚水試験方法/JGS 1321 孔内水位回復法/JGS 1323 ルジオン試験方法 ほか
- ルジオン値・限界圧力・グラウチングに関する技術資料(ダム基礎の透水性評価)
※ 各試験の規格番号・条件は、地盤工学会基準の最新版で確認してください。
※ この記事の確認日:2026年7月