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工事用仮設建築物とは?換気1/20と構造耐力は適用され、接道・斜線・排水施設は緩和される

けんせつる

けんせつる

現場事務所にも、建物の制限ってかかるの?

仮設だと、何が緩和されるの?

この記事の要点

工事用の仮設建築物(現場事務所など)は、建築基準法の一部の規定が適用されません(緩和)

接道義務・斜線制限・敷地の排水施設などは緩和され、換気と構造耐力は適用されます。過去問での問われ方も押さえます。

工事用の仮設建築物は、工事の期間だけ使う建物です。建築基準法では、ふつうの建物より制限がゆるくなっています。何が緩和され、何が適用されるかを押さえます。

工事用の仮設建築物は、接道義務や斜線制限などの規定が適用されず、換気などの規定は適用されます。

緩和される規定

工事を施工するための現場事務所などの仮設建築物には、ふつうの建物にかかる次のような規定が適用されません(緩和されます)。

  • 建築確認(確認申請)の手続き
  • 敷地が道路に接していなければならないという接道義務
  • 前面道路の幅員に応じた高さ制限(斜線制限)
  • 用途地域による用途の制限
  • 建ぺい率・容積率の制限
  • 敷地の衛生及び安全(第19条)=敷地を道より高くすること、盛土・地盤の改良、雨水・汚水を排出する下水管・下水溝・ため枡などの排水施設、擁壁の設置 など

工事用の仮設の建物なので、土地利用や街並みに関する制限はゆるめられています。

緩和されない(適用される)規定

一方、安全や衛生に関わる規定は、仮設建築物にも適用されます。

  • 事務室の換気のための、床面積に対して1/20以上の開口部(不足する場合は換気設備で代えることができる)
  • 自重・積載荷重・積雪・風圧・土圧・水圧・地震に対して安全な構造(構造耐力)
  • 防火・避難に関わる基本的な規定
規定仮設建築物への適用
建築確認(確認申請)適用されない(緩和)
接道義務適用されない(緩和)
斜線制限(高さ制限)適用されない(緩和)
用途地域・建ぺい率など適用されない(緩和)
換気(事務室・1/20以上)適用される
構造耐力(安全な構造)適用される
敷地の衛生及び安全(排水施設など・第19条)適用されない(緩和)

境目は「街への影響」か「中にいる人の安全」か

緩和される側とされない側は、条文(建築基準法 第85条第2項)が条番号でずらりと並べています。丸暗記はできませんが、何を守るための規定かで分けると筋が通ります。

 何を守る規定か仮設では
接道義務・斜線制限・用途地域・建ぺい率街並みと近隣(第3章=集団規定)緩和
建築確認・完了検査・定期報告手続き緩和
敷地の衛生及び安全(第19条)敷地の状態(排水・盛土・擁壁)緩和
構造耐力(第20条)建物が壊れないこと適用
居室の換気(第28条第2項)中で働く人の健康適用

仮設建築物は数か月から数年で撤去します。その間だけのために、街並みを整える規定や、敷地に恒久的な排水設備・擁壁をつくる規定まで守らせるのは、割に合いません。残らないものに、残る前提の規定はかけない——これが緩和の考え方です。

一方で、倒れる建物と、空気の悪い部屋は、仮設でも人を傷つけます。だから構造耐力と換気は緩和されません。撤去すれば消える問題か、その場で人に及ぶ問題かで線が引かれている、と考えてください。

排水施設は「適用される」ではない

間違えやすいのが敷地の排水施設です。「衛生に関わるから適用されそう」に見えますが、条文は第19条をはっきり適用除外に挙げています。第19条は「敷地の衛生及び安全」で、次の内容です。

  • 敷地は接する道より高く、地盤面は周囲の土地より高くする
  • 湿潤な土地・出水のおそれの多い土地では、盛土や地盤の改良を行う
  • 敷地には雨水・汚水を排出する下水管・下水溝・ため枡などの施設を設ける
  • がけ崩れのおそれがある場合は擁壁を設ける

どれも敷地そのものを造り直す工事です。数か月で撤去する現場事務所のために、敷地を盛土して擁壁を立てて下水を引く——これを求めないのが第85条の趣旨です。「衛生」という言葉に引きずられないようにしてください。

なお、この緩和がかかるのは工事を施工するために現場に設ける事務所・下小屋・材料置場などです。ただし防火地域・準防火地域内で延べ面積が50㎡を超えるものは、第62条(屋根)の適用があります。また、工事完了後3か月を超えて存続させる応急仮設建築物には、特定行政庁の許可が必要です。

混同しやすい用語

工事用仮設建築物 と 一般の建築物

同じ建築物でも、かかる規定が違います。一般の建築物は、接道義務や斜線制限、用途地域など、建築基準法の規定がそろって適用されます。工事用仮設建築物は、工事期間だけの一時的な建物なので、これらの規定の一部が適用されず緩和されます。ただし、換気や構造などの安全・衛生に関わる規定は、仮設建築物にも適用されます。一時的だから緩和、でも安全はしっかり、と整理できます。

過去問でどう問われたか

工事用仮設建築物は、どの規定が緩和され、どれが適用されるかが繰り返し問われます。引っかけは大きく3型です。

  • ①緩和される規定を「適用される」とする(建築確認・接道・斜線制限・用途地域・建ぺい率)
  • ②適用される規定を「緩和される」とする(換気・構造耐力)
  • ③換気の開口部(床面積の1/20以上)を取り違える
年度・級・No.問われ方/引っかけ
令和7年度 1級 No.63緩和されないものを選ぶ=事務室の換気の開口部(床面積の1/20以上)は仮設でも緩和されない(適用される)←換気・正答:4
令和5年度 1級 No.58正しいもの=自重・積載・積雪・風圧・地震に対して安全な構造でなければならない(構造耐力は適用される。建築確認は適用除外)←構造耐力/確認・正答:4
令和7年度 1級 No.63(選択肢2)敷地に雨水・汚水を排出する下水管・下水溝・ため枡などの排水施設の設置は緩和される側として出題された(第19条は適用除外)←排水施設
平成22年度 1級 No.57正しいもの=事務室の換気は床面積の1/20以上の開口部(不足時は換気設備で代える)←換気

核心は3つです。建築確認・接道・斜線制限・用途地域・建ぺい率は緩和される、いっぽう換気・構造耐力は適用される。とくに換気の開口部は床面積の1/20以上です。緩和される側とされない側を入れ替えた記述が、誤り肢になります。

理解度チェック

問題:工事用仮設建築物には、前面道路の幅員に応じた斜線制限が適用される。

〇か×か。

答え:×

斜線制限は適用されません。接道義務・用途地域・建築確認なども緩和されます。一方、換気などの規定は適用されます。

問題:工事用仮設建築物の事務室の換気は、床面積に対して1/20以上の開口部を設けるか、一定の換気設備で代える。

〇か×か。

答え:

換気の規定は適用されます。床面積の1/20以上の開口部が不足する場合は、換気設備で代えることができます(平成22年度 1級 No.57・令和7年度 1級 No.63)。

問題:工事用仮設建築物には、敷地に雨水・汚水を排出する排水施設を設けなければならない。

〇か×か。

答え:×

敷地の排水施設(下水管・下水溝・ため枡など)は第19条(敷地の衛生及び安全)の規定で、第85条第2項の適用除外に挙げられているため、仮設建築物には適用されません。適用されるのは換気(1/20以上)と構造耐力です(令和7年度 1級 No.63は正答4=換気)。

問題:工事用仮設建築物には、敷地が道路に接していなければならないという接道義務が適用される。

〇か×か。

答え:×

接道義務は適用されません(緩和されます)。建築確認・斜線制限・用途地域なども緩和されます。

まとめ

工事用仮設建築物は、建築基準法の一部の規定が緩和されます。

建築確認・接道義務・斜線制限・用途地域などは適用されず、換気(1/20以上)・構造耐力は適用されるのが要点です。

緩和される規定と適用される規定を入れ替える引っかけが、過去問で繰り返されます。

参考資料

  • 建築基準法 第19条・第20条・第28条・第85条(仮設建築物に対する制限の緩和) e-Gov法令検索
  • 国土交通省「仮設建築物」関連資料

※ 制度は標準的な内容です。法令の改正があり得るため、最新の条文・資料で確認してください。

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