ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT
  1. HOME > コンクリート > セメントの種類とは?

セメントの種類とは?早強・低熱・高炉の使い分けと比表面積・水和熱を整理

けんせつる

けんせつる

早強・中庸熱・低熱、どれをどこで使うの?

粉が細かいと固まるのは速い?遅い?

この記事の要点

セメントとは、水と反応して発熱しながら固まる粉末の結合材のことです。この一行から、試験に出る性質はほぼ導けます。

  • 粉末度:比表面積が大きい(粉が細かい)ほど、水と接する面が増えて水和反応は速く進む。
  • 風化:空気中の水分と反応してしまうため、風化すると密度が小さくなる
  • アルカリ性:強いアルカリ性を示し、鉄筋に不動態被膜をつくって腐食を防ぐ。
  • 水和熱:普通ポルトランドセメントのほうが高炉セメントB種より大きい

種類の説明を、別のセメントの説明とそっくり入れ替えるのが定番の引っかけです。

まず、セメントが何をする材料なのかを押さえます。

セメントとは何か

セメントは、水と混ぜると化学反応(水和反応)を起こして硬化する粉末です。この反応のときに熱が出ます。これを水和熱といいます。

骨材(砂・砂利)は水と反応しません。反応して固まるのはセメントだけで、骨材はその中に固められている材料です。だからコンクリートの性質を決めるのは、どのセメントを選ぶかから始まります。配合そのものはコンクリートの配合、骨材の性質は骨材の性質と試験にまとめています。

セメントは大きく2つに分かれます。

セメントの種類(模式図) セメント ポルトランドセメント 混合セメント ・普通 …… 幅広い工事・左官用モルタル ・早強 …… 初期強度が要る(PC工事) ・中庸熱/低熱 …… マスコンクリート ・耐硫酸塩 …… 硫酸塩の作用を受ける所 ・高炉セメント  高炉スラグの微粉末を混合材とする  水和熱は普通ポルトランドより小さい
セメントの種類(模式図)。高炉スラグの微粉末を混合材とするのは高炉セメントです。耐硫酸塩ポルトランドセメントと取り違えないところが問われます。

種類ごとの使い分け

種類 使いどころ 理由
普通ポルトランドセメント 幅広い工事。小規模工事や左官用モルタルでも使う 標準的な性質で、入手しやすい
早強ポルトランドセメント プレストレストコンクリート工事など、初期強度を要する工事 強度が早く出るので、緊張作業や型枠の解体を早められる
中庸熱・低熱ポルトランドセメント マスコンクリート 水和熱が小さく、内部の温度上昇を抑えられる
耐硫酸塩ポルトランドセメント 硫酸塩の作用を受ける環境 ポルトランドセメントの一種。高炉スラグの微粉末を混ぜたものではない
高炉セメント マスコンクリート、海水の作用を受ける構造物など 高炉スラグを混合材とする混合セメント。水和熱が小さい

急ぐなら早強、熱を抑えるなら低熱。この2つで大半は判断できます。令和5年度1級No.7は、この表の4行目と5行目を入れ替えた形でした。耐硫酸塩ポルトランドセメントの説明に、高炉セメントの中身がそのまま入っていたのが誤りです。

気温による扱いの違いは寒中コンクリート・暑中コンクリートにまとめています。

なぜ細かいほど早く固まり、風化すると密度が下がるのか

比表面積(粉末度)

比表面積とは、粉の細かさを表す値です。同じ量のセメントでも、細かく砕けば表面積の合計は大きくなります。

水和反応は、セメントの粒の表面で水と接したところから起きます。だから表面積が大きいほど、同時に反応する場所が増えて反応が速く進みます。比表面積が大きいほど、水和反応は速く進みます。「緩やかに進む」は向きが逆で誤りです。

反応が速いということは、熱も早く出るということです。だから発熱を抑えたいマスコンクリートでは、反応がゆっくりな低熱・中庸熱や混合セメントを選びます。粉末度・強度の出方・水和熱は、全部つながっています。

風化

セメントは水と反応する材料なので、袋のまま置いておくと空気中の水分とも反応します。これが風化です。

反応してしまった分は、あとで水を入れても反応しません。つまり結合材として働く量が減ります。その結果、密度が小さくなり、強度も落ちます。保管で湿気を避けるのは、この反応を先に起こさせないためです。

アルカリ性と水和熱

  • アルカリ性……セメントは強いアルカリ性を示します。この性質が鉄筋の表面に不動態被膜をつくり、腐食を防ぎます。中性化が進むとこの被膜が失われ、鉄筋がさびます。コンクリートの劣化につながる話です。
  • 水和熱……水和熱は普通ポルトランドセメントのほうが高炉セメントB種より大きいです。高炉セメントは高炉スラグを混ぜているぶん、反応する成分が薄まるためです。

施工管理での確認ポイント

  • 納入伝票で種類を確認する:設計図書・配合計画書で指定された種類(普通・早強・中庸熱・低熱・高炉B種など)と、納入伝票の記載が一致しているかを見る。
  • 無断で種類を変えない:「工期が遅れそうだから早強に」は設計図書不適合になる。配合設計と強度の計算が変わるので、設計者・発注者の確認が要る。
  • 保管で湿気を避ける:袋詰めは地面から離し、雨掛かりを避けて保管する。風化したセメントは密度が下がり強度も落ちる。
  • 古いセメントを使わない:長期間置いた在庫は風化している可能性がある。納入日を確認する。
  • マスコンクリートでは発熱を確認する:部材が厚い構造物では、水和熱による内部の温度上昇と温度ひび割れを想定した種類が選ばれているかを見る。

混同しやすい用語

耐硫酸塩ポルトランドセメント と 高炉セメント

耐硫酸塩ポルトランドセメントはポルトランドセメントの一種で、硫酸塩の作用を受ける環境に用います。高炉スラグの微粉末を混合材とするのは高炉セメントで、こちらは混合セメントです。名前が長いセメントどうしで説明を入れ替えるのが引っかけです。

早強 と 低熱

早強ポルトランドセメントは初期強度を早く出したいときのもので、プレストレストコンクリート工事などに使います。低熱ポルトランドセメントは発熱を抑えたいときのもので、マスコンクリートに使います。急ぐなら早強、熱を抑えるなら低熱です。

比表面積 と 水和熱

比表面積は粉の細かさ、水和熱は反応で出る熱です。別の指標ですが向きは連動していて、細かいほど反応が速く、熱も早く出ます

過去問でどう問われたか

セメントは、2級では令和4年度後期・令和6年度前期・令和7年度と繰り返し出ています。1級でも令和5年度No.7に出ました。引っかけは大きく3パターンです。

  • 向きの逆転……比表面積が大きいほど水和反応が「緩やかに」進むとする。正しくは速く進みます。
  • 説明の入れ替え……耐硫酸塩ポルトランドセメントの説明に高炉セメントの中身を入れる。
  • 大小の入れ替え……水和熱の大小を、普通ポルトランドと高炉セメントB種で逆にする。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和7年度 2級(No.10)風化・水和熱・粉末度・種類ごとの強度の出方。水和熱は普通ポルトランドが高炉セメントB種より大きい ←③大小
令和6年度 2級前期(No.10)「比表面積が大きいほど水和反応が緩やかに進む」→ 速く進む ←①向き
令和5年度 1級(No.7)耐硫酸塩ポルトランドセメントを「高炉スラグ微粉末を混ぜたもの」→ それは高炉セメント ←②説明
令和4年度 2級後期(No.5)セメントが酸性かアルカリ性か。強いアルカリ性で鉄筋に不動態被膜。風化すると密度が小さくなる

つまり細かいほど速い、風化すると密度が下がる、強いアルカリ性、水和熱は普通のほうが大きい。この4つで肢が切れます。

管理人からのコメント

セメントの問題は、性質を1つずつ丸暗記しようとすると崩れます。「水と反応して発熱しながら固まる粉」という一点から考えると全部つながります。細かい粉ほど水に触れる面が増えるので反応は速い。反応が速ければ熱も早く出る。だから熱を抑えたいマスコンクリートでは、反応がゆっくりな低熱や混合セメントを選ぶ。

現場では、種類の取り違えは納入伝票で止めます。設計が普通指定なのに早強が入ってきたら、配合設計そのものが変わります。工期の都合で勝手に変えると設計図書不適合です。

理解度チェック

問題:セメントの比表面積が大きいほど、水和反応が速く進むのはなぜか。

水和反応はセメントの粒の表面で水と接したところから起きるためです。粉が細かいと表面積の合計が大きくなり、同時に反応する場所が増えます。「比表面積が大きいほど緩やかに進む」は向きが逆で誤りです。(令和6年度2級前期 No.10)

問題:セメントが風化すると密度が小さくなるのはなぜか。

空気中の水分と先に反応してしまうためです。反応してしまった分はあとで水を加えても反応せず、結合材として働く量が減ります。その結果、密度が下がり強度も落ちます。(令和4年度2級後期 No.5)

問題:マスコンクリートに低熱ポルトランドセメントや高炉セメントを使うのはなぜか。

部材が厚いと、水和熱が内部にこもって温度が上がり、冷えるときに温度ひび割れが生じるためです。低熱・中庸熱や混合セメントは水和熱が小さく、温度上昇を抑えられます。水和熱は普通ポルトランドセメントのほうが高炉セメントB種より大きくなります。

まとめ

  • セメントとは、水と反応して発熱しながら固まる粉末の結合材。
  • 比表面積(粉末度)が大きいほど、水和反応は速く進む。反応が速ければ熱も早く出る。
  • 風化すると密度が小さくなる。先に空気中の水分と反応してしまうため。
  • セメントは強いアルカリ性で、鉄筋に不動態被膜をつくって腐食を防ぐ。
  • 水和熱は普通ポルトランドセメント>高炉セメントB種
  • 早強=初期強度(プレストレストコンクリート工事)、低熱・中庸熱=マスコンクリート。
  • 高炉スラグの微粉末を混合材とするのは高炉セメント。耐硫酸塩ポルトランドセメントではない。

混和材料は混和材料、打込みと締固めはコンクリートの打込み・締固めで確認できます。

参考資料

  • 公益社団法人 土木学会「コンクリート標準示方書」
  • JIS R 5210 ポルトランドセメント/JIS R 5211 高炉セメント
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
T

無料・独学でまなぶ資格のT

T|運営・編集

土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

受験ガイド

分野から探す

過去問解説

このサイトについて

Topへ >>

  1. HOME > コンクリート > セメントの種類とは?