けんせつる
早強・中庸熱・低熱、どれをどこで使うの?
粉が細かいと固まるのは速い?遅い?
この記事の要点
セメントとは、水と反応して発熱しながら固まる粉末の結合材のことです。この一行から、試験に出る性質はほぼ導けます。
種類の説明を、別のセメントの説明とそっくり入れ替えるのが定番の引っかけです。
まず、セメントが何をする材料なのかを押さえます。
セメントは、水と混ぜると化学反応(水和反応)を起こして硬化する粉末です。この反応のときに熱が出ます。これを水和熱といいます。
骨材(砂・砂利)は水と反応しません。反応して固まるのはセメントだけで、骨材はその中に固められている材料です。だからコンクリートの性質を決めるのは、どのセメントを選ぶかから始まります。配合そのものはコンクリートの配合、骨材の性質は骨材の性質と試験にまとめています。
セメントは大きく2つに分かれます。
| 種類 | 使いどころ | 理由 |
|---|---|---|
| 普通ポルトランドセメント | 幅広い工事。小規模工事や左官用モルタルでも使う | 標準的な性質で、入手しやすい |
| 早強ポルトランドセメント | プレストレストコンクリート工事など、初期強度を要する工事 | 強度が早く出るので、緊張作業や型枠の解体を早められる |
| 中庸熱・低熱ポルトランドセメント | マスコンクリート | 水和熱が小さく、内部の温度上昇を抑えられる |
| 耐硫酸塩ポルトランドセメント | 硫酸塩の作用を受ける環境 | ポルトランドセメントの一種。高炉スラグの微粉末を混ぜたものではない |
| 高炉セメント | マスコンクリート、海水の作用を受ける構造物など | 高炉スラグを混合材とする混合セメント。水和熱が小さい |
急ぐなら早強、熱を抑えるなら低熱。この2つで大半は判断できます。令和5年度1級No.7は、この表の4行目と5行目を入れ替えた形でした。耐硫酸塩ポルトランドセメントの説明に、高炉セメントの中身がそのまま入っていたのが誤りです。
気温による扱いの違いは寒中コンクリート・暑中コンクリートにまとめています。
比表面積とは、粉の細かさを表す値です。同じ量のセメントでも、細かく砕けば表面積の合計は大きくなります。
水和反応は、セメントの粒の表面で水と接したところから起きます。だから表面積が大きいほど、同時に反応する場所が増えて反応が速く進みます。比表面積が大きいほど、水和反応は速く進みます。「緩やかに進む」は向きが逆で誤りです。
反応が速いということは、熱も早く出るということです。だから発熱を抑えたいマスコンクリートでは、反応がゆっくりな低熱・中庸熱や混合セメントを選びます。粉末度・強度の出方・水和熱は、全部つながっています。
セメントは水と反応する材料なので、袋のまま置いておくと空気中の水分とも反応します。これが風化です。
反応してしまった分は、あとで水を入れても反応しません。つまり結合材として働く量が減ります。その結果、密度が小さくなり、強度も落ちます。保管で湿気を避けるのは、この反応を先に起こさせないためです。
混同しやすい用語
耐硫酸塩ポルトランドセメント と 高炉セメント
耐硫酸塩ポルトランドセメントはポルトランドセメントの一種で、硫酸塩の作用を受ける環境に用います。高炉スラグの微粉末を混合材とするのは高炉セメントで、こちらは混合セメントです。名前が長いセメントどうしで説明を入れ替えるのが引っかけです。
早強 と 低熱
早強ポルトランドセメントは初期強度を早く出したいときのもので、プレストレストコンクリート工事などに使います。低熱ポルトランドセメントは発熱を抑えたいときのもので、マスコンクリートに使います。急ぐなら早強、熱を抑えるなら低熱です。
比表面積 と 水和熱
比表面積は粉の細かさ、水和熱は反応で出る熱です。別の指標ですが向きは連動していて、細かいほど反応が速く、熱も早く出ます。
セメントは、2級では令和4年度後期・令和6年度前期・令和7年度と繰り返し出ています。1級でも令和5年度No.7に出ました。引っかけは大きく3パターンです。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和7年度 2級(No.10) | 風化・水和熱・粉末度・種類ごとの強度の出方。水和熱は普通ポルトランドが高炉セメントB種より大きい ←③大小 |
| 令和6年度 2級前期(No.10) | 「比表面積が大きいほど水和反応が緩やかに進む」→ 速く進む ←①向き |
| 令和5年度 1級(No.7) | 耐硫酸塩ポルトランドセメントを「高炉スラグ微粉末を混ぜたもの」→ それは高炉セメント ←②説明 |
| 令和4年度 2級後期(No.5) | セメントが酸性かアルカリ性か。強いアルカリ性で鉄筋に不動態被膜。風化すると密度が小さくなる |
つまり細かいほど速い、風化すると密度が下がる、強いアルカリ性、水和熱は普通のほうが大きい。この4つで肢が切れます。
問題:セメントの比表面積が大きいほど、水和反応が速く進むのはなぜか。
水和反応はセメントの粒の表面で水と接したところから起きるためです。粉が細かいと表面積の合計が大きくなり、同時に反応する場所が増えます。「比表面積が大きいほど緩やかに進む」は向きが逆で誤りです。(令和6年度2級前期 No.10)
問題:セメントが風化すると密度が小さくなるのはなぜか。
空気中の水分と先に反応してしまうためです。反応してしまった分はあとで水を加えても反応せず、結合材として働く量が減ります。その結果、密度が下がり強度も落ちます。(令和4年度2級後期 No.5)
問題:マスコンクリートに低熱ポルトランドセメントや高炉セメントを使うのはなぜか。
部材が厚いと、水和熱が内部にこもって温度が上がり、冷えるときに温度ひび割れが生じるためです。低熱・中庸熱や混合セメントは水和熱が小さく、温度上昇を抑えられます。水和熱は普通ポルトランドセメントのほうが高炉セメントB種より大きくなります。
混和材料は混和材料、打込みと締固めはコンクリートの打込み・締固めで確認できます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
セメントの問題は、性質を1つずつ丸暗記しようとすると崩れます。「水と反応して発熱しながら固まる粉」という一点から考えると全部つながります。細かい粉ほど水に触れる面が増えるので反応は速い。反応が速ければ熱も早く出る。だから熱を抑えたいマスコンクリートでは、反応がゆっくりな低熱や混合セメントを選ぶ。
現場では、種類の取り違えは納入伝票で止めます。設計が普通指定なのに早強が入ってきたら、配合設計そのものが変わります。工期の都合で勝手に変えると設計図書不適合です。