けんせつる
塩害と凍害、要因がごっちゃになる…
コールドジョイントも劣化のうち?
この記事の要点
劣化機構と劣化要因は1対1で決まっています。出題はここを入れ替えてきます。
定番の誤りは「塩害/凍結融解作用」「化学的侵食/二酸化炭素」。要因を隣とすり替えます。
まず、6つの対応を押さえます。
| 劣化機構 | 劣化要因 | 起きること |
|---|---|---|
| 中性化 | 二酸化炭素 | アルカリ性が失われ、鉄筋が腐食しやすくなる |
| 塩害 | 塩化物イオン | 鉄筋表面の不動態被膜が破壊され、鉄筋が腐食する |
| 凍害 | 凍結融解作用 | 水が凍って膨らむ動きの繰返しで、表面のはく離やひび割れ |
| 化学的侵食 | 酸・硫酸塩(硫酸など) | セメント硬化体が溶解・膨張する。温泉地域や下水道管等で起こりやすい |
| アルカリシリカ反応 | 反応性骨材 | 骨材中の反応性シリカとセメントのアルカリが反応し、ゲルが吸水膨張してひび割れ |
| 疲労 | 繰返し荷重 | 静的強度より小さい応力でもひび割れが進む。床版など |
誤り肢の作り方は単純で、この表の要因を別の行と入れ替えるだけです。
「劣化機構に該当しないもの」を選ばせる問題が出ます。並ぶのはコールドジョイントです。
コールドジョイントは、打ち重ねるときに先に打った層が固まり始めてから次の層を打ち、両者が一体化せずにできる不連続面です。打重ね時間の間隔が長すぎたことが原因で生じる施工上の欠陥であって、時間とともに進む劣化のメカニズムではありません。
見分け方は「時間とともに進むか」です。劣化機構は年月をかけて進行しますが、コールドジョイントは打った瞬間にできているものです。
| 劣化機構 | 対策 | 出た誤り |
|---|---|---|
| 凍害 | AE剤・AE減水剤で微細な独立気泡を連行する | 膨張材(収縮ひび割れ対策) |
| 中性化 | かぶりを大きくする(鉄筋に達するまでの時間が延びる) | — |
| 塩害 | 水セメント比を小さくして緻密にする | 水セメント比を大きく |
| アルカリシリカ反応 | 低アルカリ形セメント、高炉セメント(B・C種)やフライアッシュセメント(B・C種)などの混合セメント、無害な骨材 | 早強ポルトランドセメント/流動化剤 |
アルカリシリカ反応の対策で使うのは混合セメントです。コンクリート中のアルカリ総量を抑えるためで、早強ポルトランドセメントはこの対策用のセメントではありません。
1級では中性化が単独で問われます。核心は進み方です。
中性化深さは、供用年数の平方根に比例します。√t則と呼ばれます。
理由は、中性化した層が厚くなるほど、そこを通り抜けて未反応の部分に届くまでに時間がかかるからです。つまり進行は年数とともに鈍ります。
「供用年数の二乗に比例する」は誤りです。二乗なら年数が経つほど加速することになり、実際の挙動と逆になります。
調査方法もあわせて出ます。フェノールフタレイン溶液をコンクリートの割裂面に噴霧し、表面から発色が認められない範囲までの深さを測定します。赤紫に発色した部分がアルカリ性で、発色しない部分が中性化した部分です。
水の関わり方が、中性化と鉄筋腐食で逆向きになります。ここが1級の引っかけどころです。
まとめると、乾いていると中性化は速いが腐食は進まない。濡れていると中性化は遅いが、水と酸素が交互に来る乾湿繰返しでは腐食が最も進むということです。
混同しやすい用語
劣化機構 と 施工上の欠陥
劣化機構は時間とともに進むメカニズムで、中性化・塩害・凍害・化学的侵食・アルカリシリカ反応・疲労の6つです。コールドジョイントは打重ね時間の超過で層が一体化せずにできる不連続面=施工上の欠陥で、劣化機構ではありません。「劣化機構に該当しないもの」を選ぶ問題で並びます。
中性化が速い条件 と 鉄筋腐食が速い条件
逆向きです。中性化は湿度が低いほど速く、常時乾燥している場合が最も速く進みます。一方鉄筋腐食は水と酸素の両方が必要なので、常時滞水では酸素が届かず遅くなります。「濡れているほど悪い」と考えると中性化で、「乾いているほど安全」と考えると腐食で、それぞれ逆になります。
劣化機構は2級で6年連続、1級では中性化やアルカリシリカ反応が単独で出ます。引っかけは3型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和8年度 2級(No.19) | アルカリシリカ反応対策に「早強ポルトランドセメント」→ 誤り。混合セメント ←②(正答2) |
| 令和7年度 2級後期(No.19) | 「化学的侵食/二酸化炭素」→ 誤り。二酸化炭素は中性化の要因 ←①(正答3) |
| 令和7年度 2級(No.19) | 凍害に膨張材、塩害に水セメント比を大きく、ASRに流動化剤→ 3つとも誤り ←②(正答2) |
| 令和6年度 2級後期(No.19) | コールドジョイントが劣化機構に該当しない ←③(正答3) |
| 令和5年度 2級後期(No.14) | 「塩害/凍結融解作用」→ 誤り。塩害の要因は塩化物イオン ←①(正答3) |
| 令和6年度 1級(No.25) | 中性化深さを「供用年数の二乗に比例」→ 誤り。平方根(√t則)←③(正答3) |
問題:塩害と凍害の劣化要因は、それぞれ何か。
塩害=塩化物イオン、凍害=凍結融解作用です。塩害は飛来塩分や海水に含まれる塩化物イオンが浸透し、鉄筋表面の不動態被膜を破壊して腐食させます。「塩害/凍結融解作用」は要因を入れ替えた誤りです。(令和5年度2級後期 No.14)
問題:コールドジョイントは劣化機構か。
劣化機構ではありません。打重ね時間の間隔が長すぎて層が一体化せずにできる不連続面=施工上の欠陥です。劣化機構は時間とともに進むもので、中性化・塩害・凍害・化学的侵食・アルカリシリカ反応・疲労の6つです。(令和6年度2級後期 No.19)
問題:中性化深さは、供用年数に対してどう進むか。
供用年数の平方根に比例します(√t則)。中性化した層が厚くなるほど二酸化炭素が奥へ届きにくくなり、進行は年数とともに鈍るためです。「二乗に比例」では加速することになり、実際と逆です。調査はフェノールフタレイン溶液を噴霧し、発色しない範囲までの深さを測ります。(令和6年度1級 No.25)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
2級はこの単元を6年連続で出しています。しかも表の対応を覚えるだけで解けます。6行あるうち、入れ替えられるのはたいてい塩害と凍害、中性化と化学的侵食の組です。この2組だけでも先に固めてください。
1級の√t則は、理屈で覚えたほうが早いです。中性化した層が壁になって、二酸化炭素が奥へ届きにくくなる。だからだんだん遅くなる。加速する形(二乗)はあり得ません。