ゼロから学ぶ土木施工管理|資格のT

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鉄筋の加工・組立とは?常温が原則、緊結は焼なまし鉄線でスペーサではない

けんせつる

けんせつる

スペーサって、鉄筋を縛るやつ?

かぶりって、鉄筋のどこから測るの?

この記事の要点

加工の決まりは鉄筋の材質を害さないため、組立の決まりはかぶりを確保するためにあります。

  • 加工は常温が原則。曲げ戻しは行わない。やむを得ず加熱したら徐冷する。
  • ★交点の要所を緊結するのは直径0.8mm以上の焼なまし鉄線スペーサではありません
  • スペーサかぶりを確保する器具。型枠に接するものはモルタル製・コンクリート製
  • かぶり鉄筋の表面から構造物表面までの最短距離。中心からではありません。

「スペーサで緊結する」「かぶりは鉄筋の中心から」。役割と測り方の取り違えが定番です。

まず、加工の原則から押さえます。

加工は常温が原則

加工の決まりは、すべて鉄筋の材質を害さないためにあります。

  • 常温で加工するのが原則です(冷間加工)。加熱すると材質が変わります。
  • 曲げ加工した鉄筋の曲げ戻しは行わないのが原則です。曲げ戻すと加工部を傷めてもろくなります
  • 径の太い鉄筋などをやむを得ず加熱加工する場合は、加熱温度を十分管理し、加熱加工後は徐冷します。「急冷させる」は材質を害するため誤りです。

3つとも同じ理屈です。熱を急に加えたり、急に冷やしたり、一度曲げたところを戻したりすると、鉄が本来の粘りを失います。

緊結は焼なまし鉄線、かぶり確保はスペーサ

この2つの取り違えが、いちばん出る引っかけです。役割がまったく違います。

焼なまし鉄線とスペーサとかぶり(模式図) 型枠 ★交点の要所=焼なまし鉄線 0.8mm以上で緊結 スペーサ モルタル製・コンクリート製 ★かぶり かぶり=鉄筋の「表面」から構造物表面までの最短距離(中心からではない)
焼なまし鉄線とスペーサとかぶり(模式図)。
部材 役割 決まり
焼なまし鉄線
(結束線・番線)
鉄筋どうしの交点の要所を緊結 直径0.8mm以上
スペーサ かぶりを確保 型枠に接するものはモルタル製・コンクリート製

「鉄筋どうしの交点の要所は、スペーサで緊結する」は誤りです。スペーサはかぶりを確保するための器具で、鉄筋どうしを縛る材料ではありません。溶接するのも違います。使うのは焼なまし鉄線です。

重ね継手も同じで、所定の長さを重ね合わせて直径0.8mm以上の焼なまし鉄線で数箇所緊結します。

スペーサの材質と数

型枠に接するスペーサは、原則としてモルタル製あるいはコンクリート製とします。型枠に接する面はコンクリート表面に出るため、本体と同じ材質のものを使うのです。

数については、かぶりを確実に保てるだけの必要な数を配置します。標準では床版やはりで1m²当たり4個程度以上柱や壁で1m²当たり2〜4個程度が目安です。

「必要最小限とし、1m²当たり1個以下を目安に配置する」は誤りです。それでは不足で、打込み時の自重や振動でかぶり厚さが確保できず、配筋がずれます

かぶりは「鉄筋の表面から」

かぶりとは、鉄筋の表面から構造物表面までの最短距離です。

「鉄筋の中心から構造物表面までの距離」は誤りです。中心から測ると、鉄筋の半径ぶん大きく出ます

あわせて、組立ての検査で問われる点が2つあります。

  • 鉄筋の平均間隔は、配置された10本程度の鉄筋間隔の平均値とします。1か所だけを測るのではありません。
  • 設計図書に示されていない組立用鉄筋や金網等も、所定のかぶりを確保します。図面に無くても鉄筋であることは変わらないためです。

錆と塗膜の扱い

  • 組立て後に長期間大気にさらす場合は、鉄筋表面に防錆処理を施します。発錆すると付着や断面に影響するためです。
  • 組み立ててから長時間経過した場合は、コンクリートを打ち込む前に付着を害するおそれのある浮き錆等を取り除きます
  • エポキシ樹脂塗装鉄筋は、加工・組立後に塗膜に損傷が生じていないことを確認します。

混同しやすい用語

焼なまし鉄線 と スペーサ

役割が違います。焼なまし鉄線(結束線・番線)は鉄筋どうしの交点の要所を緊結する材料で、直径0.8mm以上のものを使います。スペーサかぶりを確保する器具で、鉄筋を縛るものではありません。「交点の要所はスペーサで緊結する」という肢は、役割の違う2つを取り違えさせる引っかけです。

鉄筋の表面から と 鉄筋の中心から

かぶり鉄筋の表面から構造物表面までの最短距離です。「中心から」と測ると鉄筋の半径ぶん大きく出て、実際のかぶりが不足します。設計図書に示されていない組立用鉄筋や金網等も、所定のかぶりを確保します。

過去問でどう問われたか

鉄筋の加工・組立は1級・2級とも毎年出ます。引っかけは3型です。

  • 加工の原則を崩す……「加熱して行う」「加熱加工後は急冷させる」。
  • 部材の役割を取り違えさせる……「交点の要所はスペーサで緊結する」。
  • 数量・測り方をずらす……スペーサ「1m²当たり1個以下」、かぶりを「鉄筋の中心から」。
出題年度・級(問番)問われ方/引っかけ
令和7年度 1級(No.16)スペーサを「必要最小限とし1m²当たり1個以下」→ 誤り。必要な数を配置 ←③(正答1)
令和7年度 2級(No.13)加工を「加熱して行う」→ 誤り。常温が原則 ←①(正答1)
令和5年度 1級 問題B(No.34)かぶりを「鉄筋の中心から」→ 誤り。表面から最短距離。適当なものの数を答える型 ←③(正答3つ)
令和5年度 2級前期(No.8)「交点の要所はスペーサで緊結」→ 誤り。焼なまし鉄線 ←②(正答3)
平成25年度 2級(No.8)加熱加工後に「急冷させる」→ 誤り。徐冷する ←①(正答1)

管理人からのコメント

この単元は2つの部材の役割さえ分かれば大半が解けます。縛るのが焼なまし鉄線、浮かせるのがスペーサ。現場で見れば取り違えようがないのですが、文章になると入れ替えられます。

加工のほうは「材質を害さない」で全部つながります。加熱しない、急冷しない、曲げ戻さない。どれも鉄の粘りを守るためです。理由が1つなので、迷ったときはそこへ戻ってください。

理解度チェック

問題:鉄筋どうしの交点の要所は、何で緊結するか。

直径0.8mm以上の焼なまし鉄線(結束線・番線)です。スペーサかぶりを確保する器具で、鉄筋を縛る材料ではありません。溶接するのも違います。重ね継手も、所定の長さを重ね合わせて焼なまし鉄線で数箇所緊結します。(令和5年度2級前期 No.8)

問題:やむを得ず鉄筋を加熱加工したあと、どう冷やすか。

徐冷します。急冷すると材質を害します。そもそも加工は常温が原則で、加熱するのは径の太い鉄筋などやむを得ない場合に限られ、加熱温度を十分管理します。曲げ加工した鉄筋の曲げ戻しも、加工部を傷めるため原則行いません。(平成25年度2級 No.8、令和7年度2級 No.13)

問題:かぶりは、鉄筋のどこから測るか。

鉄筋の表面から構造物表面までの最短距離です。「中心から」では鉄筋の半径ぶん大きく出ます。設計図書に示されていない組立用鉄筋や金網等も、所定のかぶりを確保します。なお鉄筋の平均間隔は、配置された10本程度の間隔の平均値で見ます。(令和5年度1級 問題B No.34)

まとめ

  • 加工は常温が原則。曲げ戻しは行わない。加熱加工後は徐冷(急冷は誤り)。理由はすべて材質を害さないため。
  • ★交点の要所の緊結=直径0.8mm以上の焼なまし鉄線。スペーサでも溶接でもない。
  • スペーサかぶりを確保する器具。型枠に接するものはモルタル製・コンクリート製
  • スペーサの数=床版・はりで1m²当たり4個程度以上柱・壁で2〜4個程度。「1個以下」は不足で誤り。
  • かぶり鉄筋の表面から構造物表面までの最短距離。組立用鉄筋や金網等も所定のかぶりを確保。
  • 鉄筋の平均間隔=配置された10本程度の間隔の平均値。
  • 長期間大気にさらすなら防錆処理、長時間経過したら打込み前に浮き錆を除去、エポキシ樹脂塗装鉄筋は塗膜の損傷を確認。

打込みの手順はコンクリートの打込み・締固め、かぶり不足が招く劣化はコンクリートの劣化で確認できます。

参考資料

  • 土木学会「コンクリート標準示方書 施工編」
  • 一般財団法人 全国建設研修センター 公表の第一次検定 問題・正答
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土木施工管理技士試験で過去に問われた用語・数値・施工手順を、官公庁の仕様書や日本道路協会の便覧に照らして整理しています。

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