けんせつる
「できるだけ小さく」ばっかりで覚えられない!
スランプって小さくするんじゃないの?
この記事の要点
配合で決める値は、原則としてできるだけ小さくします。大きいほど不利になるためです。
原則を覚えたら、例外2つとセットで押さえてください。誤り肢はほぼこの2つに集まります。
まず、配合で決める値の定義から整理します。
| 値 | 定義 |
|---|---|
| 水セメント比 | 水とセメントの★質量比を百分率で表した値 |
| 細骨材率 | 全骨材量に対する細骨材量の★絶対容積比を百分率で表した値 |
| 単位水量 | コンクリート1m3をつくるのに用いる水の質量 |
| スランプ | やわらかさ(変形しやすさ)の指標 |
水セメント比を「絶対容積比」と書く肢は誤りです。絶対容積比なのは細骨材率のほうです。細骨材率は、砂(細骨材)と砂利・砕石(粗骨材)を合わせた全骨材のうち、細骨材が占める体積の割合を表します。
配合で決める値は、大きくすると不利になるものばかりです。だから所要の性能が得られる範囲で、できるだけ小さく定めます。
「スランプはできるだけ大きくする」「単位水量はできるだけ大きくする」はどちらも向きが逆で誤りです。この形は毎年出ます。
3つ4つ「小さく」が並ぶ中に、空気量を紛れ込ませる問題が出ます。ここだけ事情が違います。
凍結融解作用を受けるコンクリートでは、AE剤で微細な空気泡を連行し、適切な空気量を確保します。「凍結融解作用を受ける場合にはできるだけ少なくするのがよい」は向きが逆で誤りです。空気量を少なくすると凍害を受けやすくなります。
ただし、増やすほどよいわけでもありません。多すぎると強度が落ちます。確保するのは所定の範囲です。
ここが混乱しやすいところです。「スランプはできるだけ小さく」なのに、最小スランプは大きく定める場面が出てきます。
矛盾ではありません。別の話をしています。
下限を上げる条件は2つです。
①鋼材の最小あきが小さいほど、最小スランプは大きく定めます。鉄筋のすき間が狭いと流れにくく充填しにくいため、やわらかくする必要があるからです。
②締固め作業高さが大きいほど、最小スランプは大きく定めます。締固め作業高さとは、締め固める作業員の足元から打ち込む面までの高さです。この高さが大きいほど深い位置まで行き渡らせなければならず、自由落下による材料分離も起きやすくなります。「締固め作業高さが大きいほど小さくなるように定める」は誤りです。
作業高さ1mと0.5mを比べるなら、1mのほうをスランプ大に設定するのが適当です。
高性能AE減水剤を用いたコンクリートは、水セメント比とスランプが同じなら、通常のAE減水剤に比べて細骨材率を1〜2%程度大きく設定します。減水性能が高く単位水量を小さくできる分、材料分離を防ぐためです。「0〜1%小さく設定する」は向きが逆です。
圧送では、管内閉塞を防ぐために単位粉体量をある程度確保します。「できるだけ単位粉体量を減らす必要がある」は誤りです。減らしすぎると粘性が不足し、かえって閉塞しやすくなります。
混同しやすい用語
水セメント比 と 細骨材率
比の取り方が違います。水セメント比は質量比(水とセメントの重さの比)、細骨材率は絶対容積比(全骨材のうち細骨材が占める体積の割合)です。水セメント比を「絶対容積比」と書く肢が出ますが誤りです。
スランプ と 最小スランプ
指しているものが違います。原則のスランプは「作業に適する範囲でできるだけ小さく」。一方最小スランプはこれ以上下げると充填できない下限で、鋼材のあきが狭いほど、締固め作業高さが大きいほど大きく定めます。矛盾ではなく、原則の下限が条件で上がるという話です。
配合は1級・2級とも毎年出ます。引っかけは3型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和4年度 2級前期(No.6) | 3つの「小さく」に空気量を紛れ込ませる。「凍結融解を受ける場合は少なく」→ 誤り ←②(正答4) |
| 令和5年度 2級後期(No.6) | 「締固め作業高さが大きいほど小さく定める」→ 誤り。大きくする ←②(正答2) |
| 令和6年度 1級(No.13) | 高性能AE減水剤で細骨材率を「小さく」、スランプを「できるだけ大きく」、単位粉体量を「減らす」→ 3つとも逆 ←①③(正答1) |
| 令和7年度 2級後期(No.11) | 水セメント比を「絶対容積比」→ 誤り(質量比)。スランプ・単位水量を「大きく」→ 誤り ←①③(正答3) |
問題:凍結融解作用を受けるコンクリートの空気量は、できるだけ少なくするのがよいか。
誤りです。AE剤で微細な空気泡を連行し、適切な空気量を確保します。少なくすると凍害を受けやすくなります。ただし多すぎると強度が落ちるため、確保するのは所定の範囲です。単位水量・水セメント比・スランプが「できるだけ小さく」なのに対し、空気量だけが例外です。(令和4年度2級前期 No.6)
問題:締固め作業高さが大きいとき、最小スランプはどう定めるか。
大きく定めます。作業高さが大きいほど深い位置まで行き渡らせる必要があり、自由落下による材料分離も起きやすいためです。作業高さ1mと0.5mなら1mのほうをスランプ大にします。鋼材の最小あきが小さいほども同じく大きく定めます。(令和5年度2級後期 No.6、令和6年度1級 No.13)
問題:水セメント比と細骨材率は、それぞれ何の比か。
水セメント比は質量比(水とセメントの重さの比)、細骨材率は絶対容積比(全骨材量に対する細骨材量の体積の割合)を百分率で表した値です。水セメント比を「絶対容積比」とする肢は誤りです。(令和7年度2級後期 No.11)
スランプの測り方はスランプ試験と空気量、現場での判定はレディーミクストコンクリートの受入れ検査で確認できます。
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
この単元は原則1つと例外2つで片づきます。並んだ肢のうち「小さく」と書いてあるものは、たいてい正しい。誤りは空気量か最小スランプに潜んでいます。まずそこを見てください。
最小スランプでつまずく人が多いのは、原則と逆に見えるからです。「できるだけ小さく」は上を抑える話、「最小スランプ」は下限の話と切り分けると、条件が厳しいほど下限が上がるのは自然に読めます。鉄筋がびっしりの箇所に硬いコンクリートを流し込めない、というだけの話です。