けんせつる
混和剤と混和材って、一文字違いで何が違うの?
種類が多くて、どれがどの効果か覚えられない…
この記事の要点
混和材料とは、コンクリートに混ぜて性質を改善する材料のことです。使用量で2つに分かれます。
水和熱による温度上昇を下げるのは、フライアッシュと高炉スラグ微粉末の2つだけです。シリカフュームに水和熱低減、石灰石微粉末にアルカリシリカ反応抑制を書くのが引っかけです。
まず、2つの分け方から押さえます。
同じ「混和」でも、使用量で2つに分かれます。
「材」は材料として量に入る、「剤」は薬として少量。この違いが分かれば、どちらに属するかは量のイメージで判断できます。
| 材料 | おもな効果 |
|---|---|
| ★フライアッシュ | 丸い粒子でワーカビリティーを改善し単位水量を減らせる/★水和熱による温度上昇の低減/長期強度・水密性 |
| ★高炉スラグ微粉末 | ★水和熱の低減/長期強度の増進/水密性・化学抵抗性(アルカリシリカ反応の抑制)。※自己収縮は大きくなる傾向 |
| シリカフューム | マイクロフィラー効果でセメントペーストを密実にし、高強度・水密性。★水和熱の低減が目的ではない |
| 膨張材 | 乾燥収縮・硬化収縮に起因するひび割れの低減(縮む分をあらかじめ膨らませて相殺する) |
| 石灰石微粉末 | 材料分離・ブリーディングの抑制。★アルカリシリカ反応の抑制効果は期待できない |
水和熱による温度上昇を下げるのは、フライアッシュと高炉スラグ微粉末の2つです。どちらもセメントの一部を置き換えて使うので、発熱するセメントの量そのものが減ります。マスコンクリートやダムなど大断面の構造物で、温度ひび割れの対策になります。
逆に、高炉スラグ微粉末は自己収縮が大きくなる傾向があります。「収縮によるひび割れの発生を抑制できる」とするのは誤りです。収縮のひび割れを抑えるのは膨張材です。
| 材料 | おもな効果 |
|---|---|
| AE剤 | 微細な独立した空気泡(エントレインドエア)を均等に連行。ボールベアリングのようにはたらいてワーカビリティーを改善し、耐凍害性を高める |
| 減水剤 | セメントを分散させ、同じやわらかさで単位水量を減らす。★気泡は連行しない |
| AE減水剤 | 単位水量を減らし、空気を連行してワーカビリティー・耐久性を高める |
| 流動化剤 | 単位水量を変えずに流動性(スランプ)を増やす。練り混ぜたコンクリートに加える |
| 収縮低減剤 | 乾燥収縮ひずみを低減。ただし凍結融解抵抗性を低下させる場合があることに留意 |
高性能AE減水剤は、高い減水性能を持つ混和剤です。ここで問われるのが、条件変化への強さです。
出題では「コンクリート温度や使用材料等の諸条件の変化に対して、ワーカビリティー等が影響を受けにくい傾向がある」と書かれました。逆です。受けやすいのが正しい。
効きが強い薬ほど、条件が変われば出方も変わります。高性能AE減水剤はスランプの出方や保持性が変化しやすく、特に高温時にはスランプの経時低下が起きやすくなります。効きが強いぶん条件変化に敏感だと考えると、間違えません。
混同しやすい用語
水和熱を下げる材料 と そうでない材料
水和熱による温度上昇を下げるのはフライアッシュと高炉スラグ微粉末の2つです。どちらもセメントを置換して発熱量そのものを減らします。シリカフュームはマイクロフィラー効果で高強度・水密性を得る材料で、水和熱の低減が目的ではありません。AE減水剤・流動化剤は混和剤で、減水・空気連行・流動性の確保が目的です。
減水剤 と 流動化剤 と AE剤
3つとも施工しやすくしますが、やり方が違います。減水剤はセメントを分散させて単位水量を減らします(気泡は連行しない)。流動化剤は単位水量を変えずに流動性を増やします。AE剤は微細な独立気泡を連行してワーカビリティーと耐凍害性を高めます。
混和材料は1級・2級ともに毎年のように出ます。引っかけは2型です。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和5年度 2級前期(No.5) | 水和熱による温度上昇の低減に用いるものを選ぶ。フライアッシュが正解。シリカフューム・AE減水剤・流動化剤は目的が違う ←①(正答1) |
| 令和6年度 2級後期(No.10) | 「高炉スラグ微粉末は収縮によるひび割れの発生を抑制できる」→ 誤り。むしろ自己収縮は大きくなる傾向 ←①(正答2) |
| 令和5年度 1級(No.8) | 「石灰石微粉末は…アルカリシリカ反応を抑制する等の効果がある」→ 誤り。ブリーディング抑制は正しい ←①(正答3) |
| 令和7年度 1級(No.13) | 高性能AE減水剤が諸条件の変化に「影響を受けにくい傾向」→ 誤り。受けやすい ←②(正答3) |
| 令和8年度 2級(No.10) | 微細な独立気泡を均等に連行する混和剤を選ぶ。AE剤が正解(正答3) |
問題:水和熱による温度上昇を低減する混和材料はどれか。なぜ下がるのか。
フライアッシュと高炉スラグ微粉末です。どちらもセメントの一部を置き換えて使うため、発熱するセメントの量そのものが減り、内部温度の上がり方がゆるやかになります。シリカフュームはマイクロフィラー効果で高強度・水密性を得る材料で、水和熱の低減が目的ではありません。(令和5年度2級前期 No.5)
問題:高炉スラグ微粉末は、収縮によるひび割れを抑制できるか。
できません。むしろ自己収縮が大きくなる傾向があります。主な効果は水和熱の低減、長期強度の増進、水密性や化学抵抗性(アルカリシリカ反応の抑制)の向上です。収縮によるひび割れを抑えるのは膨張材です。(令和6年度2級後期 No.10)
問題:高性能AE減水剤は、コンクリート温度などの条件変化に強いか弱いか。
影響を受けやすい(弱い)です。高い減水性能を持つ一方で、スランプの出方や保持性が変化しやすく、特に高温時にはスランプの経時低下が起きやすくなります。「影響を受けにくい傾向がある」は逆で誤りです。効きが強いぶん条件変化に敏感、と覚えます。(令和7年度1級 No.13)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
管理人からのコメント
この単元は材料と効果の一対一対応がすべてです。誤り肢は、正しい材料に別の材料の効果を貼り付けて作られます。だから材料名を見た瞬間に効果が1つ浮かぶ状態にしておけば切れます。
覚える順番としては、まず水和熱を下げるのはフライアッシュと高炉スラグ微粉末の2つだけを固定してください。これが最頻出で、しかも他の材料に貼り付けられやすい効果です。次にAE剤=耐凍害性、膨張材=収縮ひび割れ。この3組で大半が取れます。