けんせつる
すりへり減量が大きいと、強いの?弱いの?
凍結融解の試験って、すり減り試験だっけ?
この記事の要点
骨材の性質とは、すりへり減量・吸水率・粗粒率・粒形など、コンクリートの強さと耐久性を左右する骨材そのものの性質のことです。
骨材はコンクリートの体積の大半を占める材料で、その質がそのまま構造物の質になります。押さえるのは向きです。
「大きいほど良くなる」と書いてあったら、まず疑う。骨材の性質は、たいてい小さいほうが良い骨材です。
まず、骨材に何が求められているのかを押さえます。
骨材は、セメントのように水と反応する材料ではありません。反応せず、そこに在り続ける材料です。だから求められるのは、次の3つに集約されます。
この3つから、性質の「向き」がすべて決まります。個別に暗記しなくても判断できます。
| 性質 | 大きいと(多いと)どうなるか |
|---|---|
| すりへり減量 | すりへり抵抗性が低下する(摩耗しやすい弱い骨材) |
| 吸水率 | 耐凍害性が低下する |
| 粗粒率 | 粒径の大きい骨材の割合が多い=粒度が粗い |
| 粒形 | 偏平・細長より球形がよい |
令和7年度2級後期No.10は「すり減り減量が大きい骨材を用いると、すり減り抵抗性が向上する」という肢が誤りでした。令和5年度2級後期No.5では、粗粒率が大きいときの粒度を「細かい」とする形で出ています。どちらも向きを逆にしただけです。
骨材の中には細かい空隙があり、そこに水が入ります。吸水率が大きいということは、骨材が水をたくさん抱えているということです。
その水が凍ると体積が約9%増えます。逃げ場が無ければ、膨らんだ分の力は骨材そのものを内側から押し広げます。凍結と融解が繰り返されるたびにこれが起き、骨材が割れ、コンクリートの表面がはがれていきます。だから吸水率が大きい骨材を使ったコンクリートは耐凍害性が低下します。
凍結融解を実際に何百回も繰り返して試験するのは時間がかかります。そこで、硫酸ナトリウムの結晶が空隙の中で成長するときの圧力を、氷が膨らむ力の代わりに使います。これが安定性試験です。骨材を硫酸ナトリウム溶液に浸して乾かす操作を繰り返し、どれだけ壊れたかで判定します。
だから凍結融解の適否は硫酸ナトリウムです。ロサンゼルス試験機は、鋼球と一緒に骨材を回転させてすり減らす装置で、測っているのは摩耗です。同じ「骨材が壊れる」試験でも、壊し方が違います。
令和6年度1級No.12は、凍結融解の適否を「ロサンゼルス試験機によるすり減り試験で判定する」とした肢が誤りでした。アルカリシリカ反応そのものはコンクリートの劣化で扱っています。
異なる種類の細骨材を混合して使う場合、測るタイミングが項目で違います。
| 項目 | どう判定するか | 理由 |
|---|---|---|
| 吸水率 | 混合前の各骨材ごとに規定に適合させる | 混合後で判定すると、吸水率の大きい骨材が平均に隠れる |
| 塩化物量 | 混合後の試料で測定して規定に適合すればよい | 鉄筋に効くのは全体の総量なので、平均で判断してよい |
吸水率は「1粒でも悪い骨材が混ざっていると、そこから壊れる」性質なので、平均では見られません。塩化物量は総量で効くので、混ぜたあとで見ます。目的が違うから扱いも違うという話です。
混同しやすい用語
安定性試験 と すり減り試験
硫酸ナトリウムによる安定性試験は、結晶が空隙で成長する圧力を氷の代わりに使って凍結融解に対する適否を見ます。ロサンゼルス試験機によるすり減り試験は、鋼球と回転させて摩耗抵抗性を見ます。凍るなら硫酸ナトリウム、すり減るならロサンゼルスで分けます。
粗粒率 と 粒形
粗粒率は粒の大きさの分布を表す数値で、大きいほど粒径の大きい骨材の割合が多くなります。粒形は粒のかたちで、球形がよく、偏平・細長は劣ります。
吸水率 と 塩化物量(混合するとき)
吸水率は混合前の各骨材ごと、塩化物量は混合後の試料で判定します。同じ「混ぜて使う」話でも扱いが逆です。
骨材は1級で令和5・6・7年度に、2級で令和5年度後期・令和7年度後期に出ています。1級では年に2問出る年もある頻出分野です。引っかけは大きく3パターンです。
| 出題年度・級(問番) | 問われ方/引っかけ |
|---|---|
| 令和7年度 2級後期(No.10) | 「すり減り減量が大きい骨材を用いるとすり減り抵抗性が向上する」→ 低下する ←①向き |
| 令和7年度 1級(No.11) | 細骨材の吸水率を「混合後の試料で測定し規定に適合すればよい」→ 混合前の各骨材ごと ←③タイミング |
| 令和7年度 1級(No.12) | 再生粗骨材Hの吸水率3.0%以下、高炉スラグ細骨材の混合、硫酸ナトリウムによる安定性試験はいずれも正しい |
| 令和6年度 1級(No.12) | 凍結融解の適否を「ロサンゼルス試験機のすり減り試験」で判定→ 硫酸ナトリウムの安定性試験 ←②試験 |
| 令和6年度 1級(No.11) | 粗骨材の定義(5mm網ふるいに85%以上)、砂利の絶乾密度2.5g/cm³以上 |
| 令和5年度 1級(No.6) | 異なる種類の細骨材の吸水率を「混合後の試料で測定」→ 混合前の各骨材ごと ←③タイミング |
| 令和5年度 2級後期(No.5) | 粗粒率が大きいときの粒度の向き。すりへり減量と抵抗性の関係 ←①向き |
つまりすりへり減量が大きいほど弱い、吸水率が大きいほど凍害に弱い、凍結融解は硫酸ナトリウム、吸水率は混合前。この4つで肢が切れます。
問題:吸水率が大きい骨材を用いたコンクリートの耐凍害性が低下するのはなぜか。
骨材の空隙に入った水が凍ると体積が増え、逃げ場が無ければ骨材を内側から押し広げるためです。凍結と融解が繰り返されるたびに骨材が割れ、コンクリートの表面がはがれていきます。吸水率が大きいほど抱える水が多くなります。
問題:凍結融解に対する骨材の適否を、硫酸ナトリウムによる安定性試験で判定するのはなぜか。
硫酸ナトリウムの結晶が空隙の中で成長するときの圧力を、氷が膨らむ力の代わりに使えるからです。凍結融解を実際に何百回も繰り返さずに判定できます。ロサンゼルス試験機のすり減り試験は鋼球で摩耗させる試験で、測っているのは摩耗抵抗性です。(令和6年度1級 No.12)
問題:異なる種類の細骨材を混合するとき、吸水率は混合前に測り、塩化物量は混合後でよいのはなぜか。
吸水率は「1種類でも悪い骨材が混ざっているとそこから壊れる」性質なので、平均に隠れると意味がないからです。塩化物量は鉄筋に効くのが全体の総量なので、混合後の平均で判断できます。目的が違うので扱いも逆になります。(令和7年度1級 No.11)
この用語が問われた過去問
参考資料
※ この記事の確認日:2026年9月
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管理人からのコメント
骨材の性質は、数値を覚えるより「どの向きが良い骨材か」を先に決めると迷いません。すりへり減量も吸水率も、小さいほうが良い骨材です。だから「大きいほど良くなる」と書いてある肢は、それだけでほぼ誤りだと分かります。
現場では、証明書だけ見て現物を見ないのが一番こわい失敗です。証明書は同じでも、保管中に泥や別の骨材が混ざることがあります。受入れのときに山を崩して中を見る習慣が要ります。