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じん肺・粉じんによる健康障害は過去問でどう問われる?|作業環境測定士

編集部

じん肺と石綿肺と中皮腫、COPD…似た言葉が多くて混ざりませんか?「じん肺=肺の線維化」を軸に、何が含まれて何が別なのかで整理すると見えてきます。

この記事の要点

じん肺は、粉じんを吸い込んで肺に生じる線維増殖性変化を主体とする病気です。けい肺(遊離けい酸)・石綿肺(石綿)などがあり、COPDや間質性肺炎は含まれません

石綿肺はじん肺の一種で、石綿による肺がん・中皮腫とは別。中皮腫は胸膜・腹膜・心膜に生じます。

粉じんの問題は、じん肺の定義・種類・合併症と、粉じんの粒径(吸引性と吸入性)が中心です。言葉の入れ替えが引っかけになります。

じん肺は粉じんによる肺の線維増殖性変化。けい肺・石綿肺などがあり、COPDや間質性肺炎は含みません。

じん肺とは

じん肺は、粉じんを吸入することで肺に線維増殖性変化が起こる病気です。

原因となる粉じんの種類で、けい肺(結晶質シリカ=遊離けい酸)、石綿肺(石綿)、炭素肺、アルミニウム肺などと呼ばれます。

遊離けい酸は肺の線維化を起こす作用が強いのが特徴です。

じん肺は、ある程度進行すると粉じんへのばく露をやめても進行することがあり、肺結核・続発性気管支炎などの合併症があります。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎は、じん肺の種類には含まれません。

粉じんの粒径と肺への到達

粉じんは、呼吸器のどこまで届くかで分けられます。

吸引性(インハラブル)粉じんは吸入性(レスピラブル)粉じんを含み、吸入性粉じんのほうが呼吸器の深部(肺胞)まで到達します。

空気力学相当径が1〜2 µm程度の粒子は肺胞に沈着しやすいです。

作業環境測定で、空気力学相当径4 µmの粒子を50%透過する分粒装置を使うのは、吸入性粉じんの濃度を測るためです。

なお、空気力学相当径とは、その粒子と同じ終末沈降速度をもつ密度1 g/cm³の球形粒子の直径で、光学顕微鏡で測る幾何的な大きさとは違います。

原因物質と健康障害

原因主な健康障害
遊離けい酸(結晶質シリカ)けい肺(線維化作用が強い)。管理濃度は遊離けい酸含有率が高いほど小さい
石綿石綿肺(じん肺の一種)、肺がん、中皮腫(胸膜・腹膜・心膜)
アーク溶接ヒュームじん肺(マンガンを含むことが多い)
木材粉じんぜんそく、鼻腔がん・副鼻腔がん(発がん性あり)

混同しやすい用語

じん肺 と COPD・間質性肺炎

じん肺は粉じんによる肺の線維増殖性変化です。COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎は、じん肺の種類には含まれません。

石綿肺 と 肺がん・中皮腫

石綿肺はじん肺の一種(線維化)です。石綿が原因の肺がんや中皮腫とは別もので、「石綿肺」を肺がん・中皮腫まで含む総称とするのは誤りです。中皮腫は胸膜だけでなく腹膜・心膜にも生じます。

過去問でどう問われたか

粉じん・じん肺は、労働衛生一般の問8で毎回問われます。定義・種類・粒径の入れ替えが中心です。

年度・問正答問われ方(引っかけの核心)
令和8年2月 問8「石綿肺」を、じん肺・肺がん・中皮腫を含む肺障害の総称とするのは誤り。石綿肺はじん肺の一種。
令和7年8月 問8「石綿による中皮腫は胸膜のみに生じる」=誤り。中皮腫は胸膜・腹膜・心膜に生じる。
令和7年2月 問8「4 µmを50%透過する分粒装置は吸引性粉じんの測定のため」=誤り。吸入性粉じんの測定用。
令和6年8月 問8「じん肺の種類にCOPD・間質性肺炎が含まれる」=誤り。じん肺は線維増殖性変化で、これらは含まない。
令和6年2月 問8「空気力学相当径は光学顕微鏡で計測して求める」=誤り。終末沈降速度で定義される。
令和5年8月 問8「木材粉じんは発がん性はない」=誤り。鼻腔がん等を起こす。

じん肺は肺の線維増殖性変化で、COPD・間質性肺炎は含みません。石綿肺はじん肺の一種で肺がん・中皮腫とは別、中皮腫は胸膜・腹膜・心膜に生じます。

理解度チェック

問題:じん肺の種類には、COPD(慢性閉塞性肺疾患)や間質性肺炎が含まれる。

〇か×か。

答えを見る

答え:×

じん肺は粉じんによる肺の線維増殖性変化です。COPDや間質性肺炎は含まれません(令和6年8月 問8)。

問題:作業環境測定で空気力学相当径4 µmを50%透過する分粒装置を使うのは、吸入性(レスピラブル)粉じんを測るためである。

〇か×か。

答えを見る

答え:

吸入性粉じん(呼吸器の深部・肺胞に達する粉じん)の濃度を測るためです(令和7年2月 問8)。

まとめ

じん肺は、粉じん吸入による肺の線維増殖性変化で、けい肺(遊離けい酸)・石綿肺(石綿)などがあります。

COPD・間質性肺炎は含まれず、ばく露をやめても進行することがあります。

吸引性粉じんは吸入性粉じんを含み、4 µm 50%の分粒装置は吸入性粉じんの測定用。石綿肺はじん肺の一種で、中皮腫(胸膜・腹膜・心膜)や肺がんとは別です。

参考資料

  • 粉じん・じん肺の基礎(線維増殖性変化、けい肺・石綿肺、中皮腫、吸引性/吸入性粉じん、空気力学相当径)は、労働衛生・じん肺法・粉じん障害防止規則にもとづく。
  • 過去問の問われ方は、安全衛生技術試験協会の公表試験問題(労働衛生一般 令和5年8月〜令和8年2月の問8)にもとづく・公表正答。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。