令和8年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問8は、粉じん及びそれによる健康障害に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。
この問題は、粉じんの基本(空気力学相当径・吸引性/吸入性粉じん・分粒装置・肺への線維化)と、石綿による疾病の名前を問うものです。核心は病名の範囲にあります。
引っかけは、石綿が原因で起こる肺の病気をひとまとめにして「石綿肺」と呼ばせるところです。
石綿肺は石綿粉じんによるじん肺(肺の線維化)を指す固有の病名で、肺がんや胸膜中皮腫まで含む総称ではありません。
※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。
正解:選択肢5(誤っている記述)
| 選択肢 | 正誤 | 解説 |
|---|---|---|
| 1 | ○(正しい) | 空気力学相当径を、同じ終末沈降速度をもつ密度1g/cm³の球形粒子の直径と定義するのは正しい。 |
| 2 | ○(正しい) | 吸引性粉じんの空気力学相当径を100μm程度以下とするのは正しい。 |
| 3 | ○(正しい) | 鉱物性粉じんをろ過捕集するとき、分粒装置で吸入性粉じんを取り出すのは正しい。 |
| 4 | ○(正しい) | 肺胞に沈着した粉じんが肺組織に線維増殖性変化を起こし、肺機能を下げるのは正しい。 |
| 5 | ×(誤り) | 石綿が原因のじん肺・肺がん・胸膜中皮腫をまとめて「石綿肺」と呼ぶとするのが誤り。石綿肺はじん肺だけを指す病名で、がんや中皮腫は含まない。 |
石綿肺は、石綿粉じんを長く吸い込んだことで肺が硬く変化する、石綿による じん肺の固有の病名です。中身は肺の線維化であって、がんではありません。
一方で石綿のばく露は、石綿肺のほかに肺がんや胸膜中皮腫も引き起こします。これらは石綿に関連して起こる病気どうしですが、それぞれ別の病気で、別の病名を持ちます。
選択肢5は、この別々の病気をひとくくりにして「石綿肺」という一つの名前で総称すると述べています。
じん肺である石綿肺の枠に、がんや中皮腫まで詰め込んでしまう点が誤りです。
石綿が原因という共通点はあっても、石綿肺=じん肺、肺がん・胸膜中皮腫=別の疾病と切り分けて覚えます。
問題:石綿が原因で起こる肺がんや胸膜中皮腫も、まとめて「石綿肺」と呼んでよいか。
いいえ。石綿肺は石綿粉じんによるじん肺(肺の線維化)を指す固有の病名です。肺がんや胸膜中皮腫は石綿に関連する別の病気で、石綿肺には含めません。
問題:作業環境測定で鉱物性粉じんをろ過捕集するとき、分粒装置で取り出すのはどの粉じんか。
吸入性粉じんです。分粒装置で大きい粒子を落とし、肺胞まで届く細かい側(吸入性粉じん)を取り出して捕集します。
出典
※ 最終更新:2026年6月