作業環境測定士 独学ノート
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令和7年2月 作業環境測定士試験 労働衛生一般 問8を解説(粉じんによる健康障害)

令和7年2月の作業環境測定士試験 労働衛生一般 問8は、粉じん及びそれによる健康障害に関する問題です。5つの記述のうち、誤っているものを1つ選びます。

この問題のポイント

この問題は、粉じんの分類(吸引性・咽頭通過性・吸入性)と、じん肺などの健康障害の基本をまとめて問うものです。

中心になるのは、4µmを50%透過する分粒装置が何のための装置かという一点で、引っかけの核心はこの装置で測るのを「吸引性粉じん」だと言い換えているところにあります。

分粒装置が拾うのは肺の深部まで届く成分で、用語が一つずれています。

※ 問題文そのものは、公益財団法人 安全衛生技術試験協会が公表している試験問題で確認できます。

正解:選択肢2(誤っている記述)

各選択肢の正誤

選択肢正誤解説
1○(正しい)粉じんを呼吸器のどこまで届くかで吸引性・咽頭通過性・吸入性に分ける整理は正しい。
2×(誤り)4µmを50%透過する分粒装置で測るのは吸入性(肺胞まで届く)粉じんであって、吸引性粉じんではない
3○(正しい)じん肺は粉じん吸入で肺に生じる線維増殖性変化が主体で、粉じんの種類でけい肺・炭素肺などと呼ぶのは正しい。
4○(正しい)じん肺が進むと酸素を取り込む力が落ち、酸素飽和度が下がってチアノーゼが出るのは正しい。
5○(正しい)石綿への長期ばく露で中皮腫・肺がん・石綿肺が起こりうるのは正しい。

選択肢2のポイント(ここが誤り)

分粒装置は、空気中の粉じんのうち決まった大きさまでの成分だけを通し、大きい粒子を手前で落とす装置です。

「空気力学相当径4µmを50%透過する」性能というのは、4µmあたりを境に小さい粒子ほどよく通し、大きい粒子ほど通さないという特性を表しています。

これは、口や鼻から入った粉じんのうち、気道の奥を抜けて肺胞まで達する成分の大きさにそろえてあります。

肺胞まで達するこの成分が吸入性(レスピラブル)粉じんです。

じん肺など肺の深部で起こる障害に直接かかわるのはこの成分なので、作業環境測定では分粒装置でこの大きさだけを取り出して濃度を測ります。

選択肢2は、この装置で測る対象を「吸引性粉じん」と言い換えている点が誤りです。

吸引性(インハラブル)粉じんは、鼻や口から吸い込まれる粉じん全体を指す、もっと広い分類で、肺胞まで届く成分に限った吸入性粉じんとは別の言葉です。

広い「吸引性」と、肺の奥に限った「吸入性」を取り違えさせるのがこの肢の狙いで、4µm分粒装置が拾うのは吸入性のほうだと押さえておけば見抜けます。

覚え方

  • 4µm・50%透過の分粒装置が測るのは吸入性(肺胞まで届く)粉じん
  • 吸引性=吸い込む粉じん全体/吸入性=肺の奥まで届く一部(範囲が広い・狭いで区別)
  • 分粒装置=大きい粒子を落とし、奥まで届く小さい成分だけ通す関所
  • じん肺=粉じん吸入による線維増殖性変化が主体(けい肺・石綿肺などはその一種)

理解度チェック

問題:空気力学相当径4µmを50%透過する分粒装置を作業環境測定で使うのは、どの粉じんの濃度を測るためか。

答えを見る

肺胞まで達する吸入性(レスピラブル)粉じんの濃度を測るためです。吸い込む粉じん全体を指す吸引性粉じんではありません。

問題:「吸引性粉じん」と「吸入性粉じん」は、それぞれ呼吸器のどこまでを対象にした分類か。

答えを見る

吸引性粉じんは鼻や口から吸い込まれる粉じん全体を指す広い分類で、吸入性粉じんはそのうち気道の奥を抜けて肺胞まで達する成分に限った分類です。範囲の広さが違います。

出典

  • 公益財団法人 安全衛生技術試験協会「作業環境測定士試験(労働衛生一般)令和7年2月」公表試験問題 問8・公表正答。
  • 粉じんの吸引性・吸入性の区分、吸入性粉じんの50%分離径(4µm)については、作業環境測定に関する基準・指針および日本産業衛生学会の粒径区分による。

この記事を書いた人

作業環境測定士 独学ノート 編集部

作業環境測定士試験を独学で受ける人のための学習ノートの編集部です。