管工事施工管理技士 独学ガイド

  1. HOME
  2. 空調・換気
  3. > 熱負荷の読み分け

冷房負荷に入れないものは何か?熱負荷の読み分け

T

T

顕熱だけの負荷と、顕熱も潜熱もある負荷の見分けがつきません。

計算に入れないものもあると聞きました。

この記事の要点

外気と人体の熱負荷は顕熱と潜熱で、OA機器は顕熱です。

冷房負荷計算では土間床、地中壁からの負荷を見込みません。

室内を正圧に保てる場合は、すきま風による負荷を考慮しません。

熱の種類は負荷の出どころで分かれます。

1級と2級の4年分を並べます。

熱負荷の種類と誤りとして出た記述を並べた図。1級管工事施工管理技術検定 第一次検定 問題A No.18(令和5年度・令和6年度)及び2級 第一次検定(前期)No.9(令和7年度・令和8年度)の記述と公表正答による。正しい肢として出た記述は、外気による熱負荷が顕熱と潜熱であること、人体からの熱負荷が顕熱と潜熱であること、OA機器による熱負荷が顕熱であること、冷房負荷計算では一般的に土間床・地中壁からの負荷は見込まないこと、空調方式により室内を正圧に保つことができる場合は一般的にすきま風による負荷を考慮しないこと、暖房負荷計算の構造体負荷は一般的に温度差を定常状態として計算すること、実効温度差は地域・方位・時刻だけではなく壁体の断面構成によっても異なること、熱伝導率は物質に固有な物性値でありその単位はワット毎メートル毎ケルビンであること。誤りとして出た記述は、冷房負荷計算では北側の外壁には実効温度差を用いないというもの、熱通過率は壁体の構造が同じであればその表面における気流の速度には影響されないというもの、ガラス面からの熱負荷はガラス面を透過した日射による負荷のみであるというもの、構造体の空気層は熱通過率に影響を与えないというもの。
左が正しい肢、右が誤りの肢。※公表正答で確定した記述を並べた図。

顕熱だけの負荷はどれか

OA機器です。

令和8年度 2級 第一次検定(前期)【No.9】(2)/令和7年度 同(3)(4)(いずれも正しい肢)

令和8年度(2) OA機器による熱負荷は、顕熱である。

令和7年度(3) 外気による熱負荷は、顕熱と潜熱である。

令和7年度(4) 人体からの熱負荷は、顕熱と潜熱である。

熱負荷の種類 熱の種類
外気による熱負荷 顕熱と潜熱
人体からの熱負荷 顕熱と潜熱
OA機器による熱負荷 顕熱

水分を持ち込むかどうかで分かれます。外気と人体は顕熱と潜熱です。

機器の発熱は片方だけです。OA機器は顕熱とされています。

冷房負荷で見込まないものは何か

土間床と地中壁です。

令和6年度 1級 第一次検定 問題A【No.18】(2)(3)(いずれも正しい肢)

(2) 冷房負荷計算では、一般的に、土間床、地中壁からの負荷は見込まない。

(3) 空調方式により室内を正圧に保つことができる場合は、一般的に、すきま風による負荷を考慮しない。

2つとも条件が付いています。一般的にという語です。

すきま風には前提があります。室内を正圧に保つことができる場合に考慮しません。

まちがえやすいポイント

すきま風の肢は2年で言い方が変わっています。

令和6年度は「空調方式により室内を正圧に保つことができる場合」、令和5年度は「サッシからの隙間風負荷は、室内を正圧に保つことができる場合は見込まなくてよい」です。どちらも正しい肢でした。

見込まないのは室内が正圧のときだけです。負圧なら外から空気が入るので条件が変わります。

実効温度差はどの外壁に使うのか

方位で外す肢が誤りとされました。

令和6年度 問題A【No.18】(1)(誤りの肢)/令和5年度 同(1)(正しい肢)

令和6年度 冷房負荷計算では、北側の外壁には、実効温度差を用いない。

令和5年度 実効温度差は、地域、方位、時刻だけではなく壁体の断面構成によっても異なる。

令和6年度の公表正答は(1)です。北側だから用いないという記述は誤りと確定します。

令和5年度の肢に変わる要素が並んでいます。地域、方位、時刻、壁体の断面構成です。

熱通過率は何で変わるのか

気流の速度と空気層で変わります。

令和5年度 1級(4)/令和8年度 2級(3)(いずれも誤りの肢)/令和7年度 2級(1)(正しい肢)

令和5年度 熱通過率は、壁体の構造が同じであれば、その表面における気流の速度には影響されない。

令和8年度 構造体の空気層は、熱通過率に影響を与えない。

令和7年度 構造体の熱通過率の値が小さいほど、構造体負荷(通過熱負荷)は小さくなる。

2つとも「影響しない」という書き方で誤りになっています。気流の速度も空気層も熱通過率に関わるということです。

熱伝導率とは別の値です。熱伝導率は物質に固有な物性値で、単位はW/(m・K)が令和5年度の正しい肢です。

ガラス面の熱負荷は日射だけか

日射だけではありません。

令和7年度 2級【No.9】(2)(誤りの肢)/令和8年度 同(1)(4)(いずれも正しい肢)

令和7年度 ガラス面からの熱負荷は、ガラス面を透過した日射による負荷のみである。

令和8年度(1) 外壁からの熱負荷は、太陽日射の影響も考慮する。

令和8年度(4) 窓ガラス面からの熱負荷は、ブラインドの有無を考慮する。

令和7年度の公表正答は(2)です。「のみ」と限定した記述は誤りと確定します。

考慮する要素が翌年度に示されました。ブラインドの有無です。

暖房負荷はどう計算するのか

定常状態として扱います。

令和6年度 問題A【No.18】(4)(正しい肢)

暖房負荷計算の構造体負荷は、一般的に、温度差を定常状態として計算する。

冷房負荷とは扱いが違います。温度差を定常状態として計算するとされています。

空気調和方式の比較は空気調和方式の読み分けで扱っています。

理解度チェック

Q.

OA機器による熱負荷は何か。

顕熱です。外気と人体は顕熱と潜熱です。

Q.

冷房負荷計算で見込まない負荷は。

一般的に、土間床、地中壁からの負荷です。

Q.

「北側の外壁には実効温度差を用いない」は正しいか。

誤りです。令和6年度の公表正答はこの肢でした。

Q.

熱伝導率の単位は。

W/(m・K)です。物質に固有な物性値とされています。

Q.

窓ガラス面の熱負荷で考慮するものは。

ブラインドの有無です。日射による負荷のみとした肢は誤りでした。

まとめ

  • 外気と人体の熱負荷は顕熱と潜熱
  • OA機器による熱負荷は顕熱
  • 冷房負荷では土間床、地中壁からの負荷を見込まない。
  • 室内が正圧ならすきま風の負荷を考慮しない。
  • 「北側の外壁には実効温度差を用いない」は誤り
  • 実効温度差は壁体の断面構成によっても異なる。
  • 熱通過率は気流の速度にも空気層にも関わる。
  • 暖房負荷の構造体負荷は定常状態として計算する。

熱負荷計算の細かい条件は設計の指針や物件の条件によって変わります。個別の判断は設計図書を確認してください。

あわせて読む

この語が出た問はどこか

解説を1問ずつ置いています。

参考資料

  • 1級管工事施工管理技術検定 第一次検定 問題A【No.18】(令和5年度・令和6年度)及び2級管工事施工管理技術検定 第一次検定(前期)【No.9】(令和7年度・令和8年度)、並びに各年度の公表正答肢(一般財団法人全国建設研修センター。試験問題/正答肢のページ)。公表正答は1級が令和5年度(4)・令和6年度(1)、2級が令和7年度(2)・令和8年度(3)です。肢の文言と正答の番号は、同PDFの当該ページを画像にして目視で確認しました。
  • ※ 熱負荷計算の計算式や係数については、この記事で扱った4年度の問題文の中に記述がありません。負荷の種類と扱いだけを記載しています。
  • ※ 熱通過率が気流の速度や空気層によってどう変わるかについては、正しい肢としての記述がありません。誤りとして出された事実だけを記載しています。
T

この記事を書いた人

T

管工事施工管理技士の用語・過去問を、法令や公的な基準など一次資料にあたって整理しています。

T

T

管工事施工管理技士の用語・条文・数値を、公表された過去問と一次資料にあたって整理しています。

Topへ >>