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ATき電方式に吸上変圧器は使うのか?JISが定義しているのは別の変圧器

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吸上変圧器の説明って、そのまま正しく書いてあるよね。

じゃあ、どこが違ってるの?

この記事の要点

吸上変圧器とは、巻線の一つを電車線に、他の巻線を帰線に直列に接続する巻線比1対1の変圧器のことです。

ATき電方式で使うのは単巻変圧器です。

説明文が正しくても、方式の名前が入れ替わっていることがあります。

き電方式は、変電所から電車線へ電気を送る回路の組み方です。

4つの方式が肢に並び、そのうち1つだけ説明の相手が違います。

吸上変圧器は巻線比1対1

まず、JISの定義を確かめます。

JIS E 2001:2002「鉄道-電車線路用語」 4301

吸上変圧器 巻線の一つは電車線に直列に接続され,他の巻線は絶縁された帰線に直列に接続される,巻線比が1:1の変圧器。

吸上変圧器は,迷走電流を減らす目的で,レール及び大地から電流を強制的に帰線へ吸い上げるべく,線路に沿って一定間隔ごとに設置される。

一定間隔ごとに設置して帰線へ吸い上げる、という説明はJISのとおりです

方式名と、使う変圧器の対応 肢は「方式名」と「説明文」の組み合わせで作られる 直接き電 変圧器なし 簡単だが 誘導障害が大きい BTき電 吸上変圧器 巻線比 1 : 1 電車線と帰線に直列 ATき電 単巻変圧器 ATポストに備える 電車線電圧の2倍 同軸き電 同軸ケーブル トンネル区間 並列き電 直流区間 吸上変圧器と単巻変圧器を入れ替えた肢が答えになる
変圧器の定義=JIS E 2001:2002 4301 吸上変圧器・5307 ATポスト

ATき電で使うのは単巻変圧器

ATの側にも定義があります。

JIS E 2001:2002「鉄道-電車線路用語」 5307

ATポスト き電線によって電車線電圧の2倍で給電する単巻変圧器を備えた変電所。

ATは単巻変圧器の側です。言い換えると、「吸上変圧器の説明を、単巻変圧器を使う方式に貼りつけた」ということです。

令和4年度 1級 第一次 No.44 選択肢3(答え)

ATき電方式は、一定の間隔ごとに吸上変圧器を設け、帰線電流を吸い上げることで通信誘導障害を軽減している。

変圧器 JISの定義
吸上変圧器 巻線比1対1。線路に沿って一定間隔ごとに設置し、レール及び大地から帰線へ電流を吸い上げる
単巻変圧器 ATポストに備えるもので、き電線によって電車線電圧の2倍で給電する

説明文そのものは正しく、掛かっている方式の名前だけが違います。

吸上変圧器は、電車線と帰線の両方に直列に入ります。巻線比が1対1なので、電車線を流れた電流と同じ大きさを帰線の側に流せます。

単巻変圧器はATポストに備わり、き電線で電車線電圧の2倍を送ります。同じ「変圧器」でも、置かれる場所も巻線の組み方も別です。

直接き電は簡単だが誘導障害が大きい

残る3つは正しい側に置かれています。

令和4年度 1級 第一次 No.44 選択肢1(正しい側)

直接き電方式は、回路構成は簡単であるが、通信誘導障害が大きい。

回路が簡単なほうが有利に見えますが、肢は不利な面と組にして書かれています。

並列き電は直流区間

令和4年度 1級 第一次 No.44 選択肢2(正しい側)

並列き電方式は、隣接する変電所が電気的に接続されており、直流き電区間で用いられる。

隣接する変電所と並列にき電する方式は、直流の側で標準的に使われます。例えば、直流の話が出たときに並列き電が出てきても、そこは疑う場所ではありません。

同軸き電はトンネル区間

令和4年度 1級 第一次 No.44 選択肢4(正しい側)

同軸き電方式は、ケーブルの内部導体を電車線、外部導体をレールに結ぶ方式で、主に狭隘な区間やトンネル区間に適する。

内部導体と外部導体の結ぶ相手が、この方式の要点です。

まちがえやすいポイント

吸上変圧器を使うのはBTき電方式です。

ATとBTはどちらも交流き電の方式ですが、使う変圧器が違います。ATは単巻変圧器、BTは吸上変圧器です。

この問題は、BTの側の説明をATの名前に付け替えています。説明文を読んで正しいと感じても、先頭の方式名を読み直してください。

混同しやすい語

吸上変圧器と単巻変圧器:吸上変圧器は巻線比1対1、単巻変圧器はATポストに備えて電車線電圧の2倍で給電します。

直接き電と並列き電:直接き電は回路構成が簡単で通信誘導障害が大きく、並列き電は隣接する変電所を電気的に接続する直流の方式です。

同軸き電の内部と外部:内部導体が電車線、外部導体がレールです。

き電線とき電分岐:き電線は電車線に平行して架設される架空電線、き電分岐はき電線からトロリ線への接続箇所です。

き電方式は、電車線路の他の話ともつながっています。

過去問でどう問われたか

き電方式の種類を4肢で並べる形は、第一次検定では令和4年度1級の1年度分です。

第二次検定では、用語を選んで技術的な内容を記述する問題の候補に挙がっています。令和6年度1級 問題4の「9.BTき電方式」、令和3年度2級 問題3の「電気鉄道のき電方式」です。どちらも「動作原理、発生原理、定義、目的、用途、方式、方法、特徴、対策など」を2つ書かせる形なので、方式の名前と使う変圧器の組を書けるようにしておきます。

この論点は、次の順に確かめます。

  • 1つ目 変圧器の名前が出たら、方式の名前と組が合っているかを見ます。
  • 2つ目 直接き電は簡単と誘導障害が大きいの組で正しい側です。
  • 3つ目 並列き電は直流、同軸き電はトンネル区間です。

狂わせているのは変圧器の1か所だけです。

電車線をどう吊るかは張架方式に、き電区分を分ける箇所はエアセクションにまとめました。

どこを確認すれば読み分けられるか

この系統の肢は、次の順に見ます。

  • 方式名を先に読む:説明が正しくても相手が違うことがあります。
  • 変圧器の種類で分ける:ATは単巻変圧器、吸上変圧器は別の方式です。
  • 直流か交流かを見る:並列き電は直流の側です。
  • 導体の結ぶ相手を読む:同軸き電は内部が電車線、外部がレールです。
  • 有利な面だけの肢を疑う:直接き電は不利な面と組で書かれています。

理解度チェック

Q.

ATき電方式で使う変圧器はどれか?

単巻変圧器です。JISでは、ATポストはき電線によって電車線電圧の2倍で給電する単巻変圧器を備えた変電所と定義されています。

Q.

吸上変圧器の巻線比はいくつか?

1対1です。線路に沿って一定間隔ごとに設置し、レール及び大地から帰線へ電流を吸い上げます。

Q.

並列き電方式は、直流と交流のどちらの区間で用いられるか?

直流き電区間です。隣接する変電所が電気的に接続されています。

Q.

同軸き電方式は、内部導体と外部導体をそれぞれ何に結ぶか?

内部導体を電車線、外部導体をレールに結びます。主に狭い区間やトンネル区間に適します。

まとめ

  • ATき電方式で使うのは単巻変圧器で、吸上変圧器の説明を貼りつけた肢が答え。
  • 吸上変圧器は巻線比1対1で、線路に沿って一定間隔ごとに設置する。
  • 直接き電は回路構成が簡単で通信誘導障害が大きい
  • 並列き電は直流区間、同軸き電は内部導体が電車線・外部導体がレール。

参考資料

  • JIS E 2001:2002「鉄道-電車線路用語」4301 吸上変圧器/5307 ATポスト/5202 き電線/5203 き電分岐(日本産業標準調査会
  • 一般財団法人 建設業振興基金 試験研修本部「電気工事施工管理技術検定 問題・正答肢」(公式サイト)令和3年度2級 第二次検定・令和4年度1級 第一次検定・令和6年度1級 第二次検定
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